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水神少女あいりん(11)

2011-04-22 | 水神少女あいりん
いつの間にか、朝になっていました。


その頃、木宇戸家では、いつものように舞美が起きていて弁当を作っていました。
でも新しくおかずを買うお金はありませんでした。


幸いお米はお隣さんが、茨城の実家で作っているお米を少し分けてくれていました。
しかしそれも、今日の分で全部なくなってしまいました。


舞美は弁当箱を4つ並べると、白飯を詰めていきました。
でも足りずに、どれも弁当箱の半分くらいにしかなりませんでした。


舞美は少し考えた後で、自分の分を他の三人の弁当箱へと移し替えました。


そして空っぽの弁当箱をバッグに入れると、寝ている妹や、愛理(本当は家にいませんが)を起こさないような声で
「行ってきます」
と言い、玄関へと駆けていきました。


ドアの前には、愛理が立っていました。
ポケットから銭狸の妖怪おまじないカードを取り出すと、地面に叩きつけました。
すると、カードは本物の銭狸へと姿を変えました。


銭狸は、愛理に向かって丁寧にお辞儀をしました。
「姫様、なにかご用で?」
その目は、さっきまでの反抗的で悪い光りが消え、愛理への忠誠心で溢れていました。


「いい? 騙し取ったお金を返すのよ。ちゃんと謝ってね」
愛理は銭狸の肩を叩き、そう言いました。

銭狸はうなずくと、家に来た時と同じ黒ずくめの人間へと姿を変えました。


ちょうどその時、家の中から舞美が出てきました。
「あれ、愛理ちゃん。なんでこんなところに?」

銭狸は舞美を見ると即、その場で土下座をしました。


舞美は動揺して思わず
「まあ」
と驚きの声を上げました。


すると、この騒ぎになにごとかとサキ・チサト・マイの三人も家から出てきました。

銭狸はお金を騙し取ったことを4人に謝り、お酒に使ってしまった以外の分をすべて返しました。

舞美は思わず銭狸に
「あ、ありがとうございますっ」
と言ってしまいました。


「お礼なんて言わんでください、お嬢さん」
銭狸は慌てて、また深々と頭を下げるのでした。


そして舞美は、愛理に
「ごめんなさい。愛理ちゃんが正しかったのにね」
と謝りました。


愛理は頭を振り、ほほえんで
「舞美ちゃんはゼーンゼン悪いことなんてしてないから」
と言いました。そして、おじぎをしながら
「私、荷物取ってきます。お世話になりました」
と言って、自分の与えられた部屋へと戻っていきました。


愛理が自分の風呂敷を手に再び玄関へと来ると、4姉妹がまだそこに立っていました。


「あのね愛理ちゃん。お願いがあるんだけど」
舞美は頬を赤くしながら、愛理に話しかけました。
「よかったら、一緒にここで暮らさない?」


愛理は、言葉が出ませんでした。

舞美は困った様子で、再び口を開きました。
「駄目、かな?」

「でも……」
愛理は、なんと言ったらいいのかわかりませんでした。


「今回のことがどうとかじゃなくって。
愛理ちゃんがいたら楽しいかなって思って。
3人も賛成してくれてるのよ」

舞美の言葉に、愛理は胸が熱くなりました。


そして思わず、愛理は舞美を抱きしめました。


「みーたん。そろそろお仕事」
数分後、サキがそう言ってやっと、愛理は舞美から体を離したのでした。


舞美は元気よく仕事へと向かいました。
サキとマイはあくびをしながら、家の中へと戻っていきました。

チサトは、愛理をじっと見ていました。
……愛理は気まずくなりました。


チサトはやがて
「よろしくな、居候」
と言い、自分の部屋へと帰っていきました。


愛理は少し驚いた後で、チサトの背中へ声を掛けました。
「よろしく」
そして笑顔になって、もう一回大きな声で
「よろしく!」
と言い、家の中へと入っていったのでした。


(第一話・終わり)


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