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水神少女あいりん(13)

2011-12-24 | 水神少女あいりん
掃除用具は、二階の廊下奥にある収納スペースに、まとめて置いてありました。
愛理は、木宇戸家の4姉妹が用具を出し入れしている姿を度々見ていたので、知っていたのでした。

あった。これこれ
電気掃除機を見つけると、それを引きずりながら愛理はまず自分の部屋へと入っていきました。

この部屋は元々舞美の一人部屋でした。
愛理が住むようになってからも、舞美が隙を見て掃除をしていたので室内は清潔に保たれていました。

でも、とにかく掃除機をかけてみようと、愛理は電気掃除機を手に取りました。
しかし全く動く気配がありません。

どうしちゃったのかな。故障?
愛理は電気掃除機に付いているスイッチをいろいろと押してみますが、うんともすんともいいません。
でも昨日も確か舞美ちゃん、普通に使ってたしなぁ

愛理は、どうすれば動くようになるのか、いろいろと試してみることにしました。

ソーラーパワー!!!
愛理は電気掃除機を窓辺で持ち上げ、日の光に当ててみました。
でも、駄目でした。

電気掃除機のボディを優しく叩きながら
もしもし、もしもし
と声をかけてみました。
駄目でした。

コップに水を入れ、電気掃除機の吸い込み口から一口分、流し入れてみました。
駄目でした。

台所から角砂糖を持ってきて
怖がらないで。よーし、よーし
と言いながら電気掃除機の前でちらつかせてみました。
駄目でした。

あのぅ、先輩。
私、先輩の掃除してる姿に憧れて、この部に入ったんですよ。
でも先輩、私の前だと全然動いてくれないんですね。
なんでですか。私が何をしたっていうんですか!
もしまた動いてくれたら、私、先輩のこと……

と、愛理は部活コント風に甘えてみましたが、やっぱり駄目でした。

そうして小一時間、無駄な時間が過ぎていきました。

愛理はため息をつくと、ポケットから銭狸の『妖怪おまじないカード』を取り出し、床に叩きつけました。

すると、妖怪・銭狸が実体化し、目の前に現れました。
「おはようございます姫様」
銭狸は眠そうに目をこすりながら、愛理に言いました。

銭狸は前日、24時間のアルバイトを終え、稼いだお金で酒を飲み、深夜に帰ってきて眠っていたのでした。
「お酒だけはどうしてもやめられない」
という銭狸の涙ながらの説得に、週1回ならという約束で昨日から愛理に許可されたのでした。

あのさぁ、この掃除機、全然動かないんだけど
愛理は何の説明もなしに、銭狸に言いました。

銭狸はしばらく寝ぼけながら電気掃除機を見つめていました。
しかしどうにか愛理の意図を理解し、電機コードを引っ張り出すとコンセントに差し込みスイッチを入れました。

「どうぞ」
銭狸は愛理に電気掃除機を手渡すと「それじゃまた、しばらく寝かせていただきます」
と言って、自ら『妖怪おまじないカード』へと戻っていきました。

なんだ、簡単じゃない
一通り部屋の掃除を終えた愛理は、スイッチも入れられなかったことを忘れたかのように、そうつぶやきました。
この調子で、他の部屋も掃除してあげよう

愛理は、隣の部屋へ向かいました。
途中、電気掃除機のコンセントを差しっぱなしで移動したため途中で思い切りすっ転ぶという失敗はありましたが、コンセントを抜き、隣の部屋でまた差し込むということくらいは愛理にも理解できることでした。

こちらの部屋は元々サキの一人部屋でしたが、愛理が一緒に住むことで、今は舞美との二人部屋になっていました。

室内は、舞美が自分の荷物をそのまま詰め込んで持ってきたボストンバッグと、サキが元々使っていたタンスやテーブルなどが置いてありました。
タンスの上部にある棚には、サキが亡くなった母親から譲り受けた小物やアクセサリー類などが、大事に飾ってありました。

舞美が以前に
サキ、あなたが一番お母さんに似てる。だからこれは、あなたが使って
と言って、サキに渡してくれたものでした。
サキが躊躇していると、舞美は
もちろん、必要な時には私や、チサトやマイにも貸してね』と付け足して言ったのでした。

愛理は電気掃除機のスイッチを入れ、部屋の掃除を始めました。
やがて床だけでなく、照明に付いた埃も一緒に取れることに気が付きました。
鼻歌を歌いながら、次はタンスの側面にある埃も電気掃除機で吸い上げていきます。
棚に付いた埃も。

そして案の定、小物やアクセサリーも吸い取ってしまいました。
しかし、愛理はそれに全然気が付きませんでした。

すると、電気掃除機の吸い込む力が弱まっていきました。
愛理は再び『妖怪おまじないカード』を床に叩きつけると、銭狸を呼び出しました。

「今度はなんです、姫様」
明らかに不機嫌な銭狸に
そんな態度だとバイトと飲酒、禁止にしようかな
と愛理は言い放ちました。「掃除機の調子が悪くなった。直して

すると銭狸は半泣き状態で、電気掃除機を調べ始めました。
そして、中に詰まっていた小物・アクセサリー類を埃まみれになりながら取り出すと、愛理へと返しました。

「これで大丈夫なはずです。ではおやすみ、さいなら!」
銭狸は言い終わるか終わらないかのところで、再びカードへと戻っていきました。

そんな銭狸の苦労はなかったかのように
よし、順調!
と言いながら、愛理はまた隣の部屋へと移動していきました。

(つづく)


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