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水神少女あいりん(9理)

2011-03-18 | 水神少女あいりん
(キュウリって言われてもな)

愛理は、わかっていましたが自分の財布を開けてみました。
……やはり、1円も入っていませんでした。


そのうちに、黒ずくめの男の姿も見失ってしまいました。
ため息をつきながら歩くうちに、愛理は再び区役所前の噴水公園へと来ていました。


「どうしたんだい?」
愛理は突然話しかけられました。
相手をよく見ると、舞美から師匠と呼ばれていた、あのホームレスでした。


「キュウリが」
愛理はつぶやきました。
「キュウリが……食べたい」
ホームレスにこんなことを言っても仕方ないことはわかっていましたが。



するとそのホームレス師匠は。
「はい、これ」
と愛理に百円玉1枚と、五円玉1枚を差し出しました。


「だってこれ、大事なお金じゃ?」
愛理が驚いて尋ねると。



「一週間かけて集めた全財産さ。
もちろん悪いことしたわけじゃないよ。
でも、君が本当に困った顔をしていたから。
僕が使うより、君がキュウリを買って食べたほうがいいことのような気がしたから」
とホームレス師匠はこたえました。
「さあ、遠慮なく!」



「ありがとう」
愛理は笑顔で受け取りました。
そして近くにあった百均コンビニで、2本入りのキュウリを買いました。


愛理が店を出てしばらく歩くと、どこからか歌声が聞こえてきました。
(あの声は)
急いで歌声のするほうへと走っていくと、上機嫌な様子で黒ずくめの酔っぱらいが歩いているのを発見しました。
そして、塀に囲まれた路地へと入っていきました。


(よし。ここなら誰にも見つかる心配ないわね)
愛理は買ったキュウリを取り出すと、一口かじりました。


(つづく)


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