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水神少女あいりん(10)

2011-04-21 | 水神少女あいりん
愛理は買ったキュウリを取り出すと、一口かじりました。


するとたちまち、キュウリの中の水分が体中に広がるような感じがしました。
まるで血液が沸騰でもしたような感覚でした。


愛理の皮膚はその熱で変化が起こり、うろこが表れました。
口は尖り、くちばし状になりました。
指の間に水かきができました。
頭のてっぺんになにやら堅い、お皿のようなものが飛び出していました。


『やった。本来の姿に戻れた』
と愛理は思いました。


愛理は前を行く黒ずくめの酔っぱらいに対し
「待ちなさい」
と叫びました。


「はあ? またおまえか」
振り向き愛理を見た酔っぱらいは、顔面蒼白になりました。
「あ、あなたは……姫様」


愛理は厳しい表情で
「さあ、すぐに木宇戸家へ戻りお金を返すのです」
と酔っぱらいに言いました。


黒ずくめの酔っぱらいはしばらくまごついていましたが、突然笑い出しました。


「なにがおかしいのです」
愛理は不機嫌そうに言いました。


酔っぱらいは鼻で笑い
「こんな状況で、この人間界であなたに何を言われようと、従う気はありませんぜ」
と言い、また愛理に臭い息を吹きかけました。


「ううっ臭い」
愛理が怯んだ隙に、黒ずくめの酔っぱらいは走って逃げていきました。
「待ちなさい」
愛理も慌てて追いかけました。


「くらえっ」
黒ずくめの酔っぱらいは振り返ると、すぐそこまで迫ってきた愛理に枯れ葉を投げつけました。

枯れ葉は柵へと姿を変え、愛理の追うスピードは落ちていきました。
その間に、黒ずくめの酔っぱらいは遠くへ逃げてしまいました。


「待ちなさい。こうなったら……」
愛理は集中すると
「水竜!」
と叫びました。
するとどこからか水が集まってきて竜型の波となり、愛理を乗せて走り出しました。


あっという間に酔っぱらいに追いついた愛理は
「くらえっ、水神拳」
と、手から勢いのある水を発射しました。



黒ずくめの酔っぱらいはそれに当たると、勢いよくすっ転びました。
「こいつめっ」
そして怒って正体を現しました。
それは、さっき木宇戸家で見た『妖怪おまじないカード』の銭狸そのものでした。


「正体を現したわね。久しぶり、銭狸」
愛理が言いました。


銭狸は答えず、枯れ葉をそこら中に撒き散らしました。
「枯れ葉分身!」
術を使った銭狸は、50体に増えて見えました。


「水神拳っ」
愛理は一体一体倒していきますが、どれも枯れ葉となって崩れ落ちていきました。
疲労感の中、最後の一体を倒しましたが、それも枯れ葉でした。


愛理が呆然としていると、背中に衝撃を感じ気を失ってしまいました。
本物の銭狸が背後に回り、愛理に蹴りを入れたのです。


「どうした姫様」
銭狸は枯れ葉を縄に変えると愛理を縛り、大きな木の枝に吊しました。
「命は助けてやろう。じゃあな、姫様」
銭狸は枯れ葉をまとうと、再び黒ずくめの人間へと姿を変え、去っていこうとしました。



そこで、愛理は目を覚ましました。
どうにか残っている力を振り絞り、水神拳を人間に化けた銭狸の足下を狙って飛ばしました。
銭狸は倒れました。


「今だっ。水鏡!」
愛理は、銭狸の体に向かって目から光線を出しました。

みるみるうちに、銭狸は一枚の札へと変形していきました。
それは……『妖怪おまじないカード』にそっくりでした。


「こうすれば、人間界でも目立たないでしょ」
愛理は得意そうに呟きました。


愛理が、銭狸の描かれた『妖怪おまじないカード』を拾うと、同時に変身する力が果て、また人間の姿へと変わりました。
そしてそのカードをポケットにしまうと、夜の町を歩いて去っていきました。


(つづく)


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