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水神少女あいりん(4)

2011-01-27 | 水神少女あいりん
さて再び、風呂敷女の子を見てみましょう。


女の子は一軒一軒、近くの家のチャイムを押してまわっていました。


もし人が出てくれたら、こういうつもりでした。
(可愛い女の子のお手伝いさんはいりませんか?)


しかし、誰も出ません。

たまに顔を出してくれるときがあっても、話をきく前に「間に合ってます!」と断られてしまいます。



(まだなにも言ってないのに)
女の子は悲しくなりました。



でも、仕方ありません。


このところ強引な押し売りが街に現れるようになり、住民は警察や役所から
「突然の訪問者は即座に追い払うように」
と注意されていたのです。



ただ今50連敗中。

しかし女の子はめげずにチャイムを押し続けます。



「押し売りお断り!」
家の中から女性の叫び声がします。


51連敗……
52連敗……
53連敗……

さすがに女の子も気力がなくなってきました。


(次で最後にしよう)
(もし断られたら……今日は野宿ね)



女の子は重い足取りで、隣の家の前にやってきました。


(うわ、なんかボロっちい家)
(お手伝いさんを雇う余裕なんて、あるかしら)



とりあえず、チャイムを押してみました。

スカッ。

どうやら、チャイムの電池が切れているようです。鳴りません。


女の子は諦めて帰ろうとしましたが、これが最後、とドアを一回叩きました。


「はーい」
中から若い女の子の声がしました。


そしてすぐ、1人の女の子が顔を出しました。

木宇戸家の4女、マイでした。

そうです、ここは木宇戸家だったのです。


「なにかご用ですか?」
マイが尋ねました。


女の子は、今まで話すらきいてもらえなかったので、ちょっと驚きました。
驚いたので、なかなか言葉が出てきませんでした。


「あの」
マイが心配そうに女の子を見ています。

すると、家の奥からチサトがやってきました。
「なにしてんの、マイ」


チサトは、家の前に立っている女の子を見つめました。
「あなた誰?」


女の子は恥ずかしがりながらも、どうにか口を開きました。
「この家でお手伝いさんとして雇ってほしいなって……」


「はあ? 無理無理。ウチにそんな余裕あるように見える?」
チサトはだんだん腹が立ってきました。
「絶対家のことからかってるでしょ。これ罰ゲームかなんかなわけ?」


女の子は頭を振りました。


チサトは怒りながら女の子を責め続けます。


騒ぎを聞いて、「いったいなにごと?」とサキもやってきました。

女の子が説明します。


「ごめんなさい」
怒っているチサトの横で、サキが冷静に話します。
「とりあえず今日は帰ってもらえますか。今お姉ちゃんいないんで。私達だけでは決められませんので」


「舞美お姉がいる時だって無駄だよ。さよなら」
チサトがドアを閉めながら、そう言いました。



女の子はため息をつくと
「あの公園で野宿させてもらおう」
と悲しげに独り言をつぶやいて、歩き出しました。


と、一人の男と肩がぶつかりました。
「痛ってえなバッキャロー!」
全身黒ずくめの、恐い感じのおっさんでした。


女の子は
「すみません」
と直ぐに謝りました。


「気をつけろよネーチャン」
男は舌打ちしながら言うと、木宇戸家の玄関チャイムを押しました。
……当然、鳴りませんでしたが。
そして、ドアを何度も叩き始めました。


女の子は男の後ろ姿を見ながら、なんだか落ち着かなくなりました。
(頭のてっぺんがムズムズする……)
これは女の子の特徴でした。



膝が痛む。
心臓の音が速くなる。
髪の毛が立つ。
歯ががたがたと震える。
鼻の奥がツーンと痛む。
背筋が冷たく感じる。
膝が震え出す。
耳鳴りがする。

というように、人によって違いますが、体のサインがなにかを教えてくれることがあります。
女の子にとっては(頭のてっぺんがムズムズする)というのが正にそれでした。


(ま、気のせいかしらね)
女の子は自分に言い聞かせるように、公園へと歩いていきました。


(つづく)


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