山里の暮らしに関する一考察

本州内の町で、人口密度が下から2番目の小さな町・宮城県七ヶ宿に所在する社内で最小の事業所、七ヶ宿林業所のブログです。

そんなに弱くは無い

2012-03-17 14:39:07 | 山里の
016

何の話かというと、マツとかスギの根のことです。
山地で土砂災害があると、何かと人工林犯人説が流布されます。
確かに、手入れの遅れた過密林や造林不適地に植栽された林分等は、災害の誘発要因になっているのでしょうが、これらのことによってマツ、スギの根は浅く軟弱と決めつけるのには、違うんじゃないの?と思います。

最近我が県の新聞などで、津波によって失われた海岸防潮林の再造成に関する記事をチラホラ見掛けます。
大概がいのちを守る森の防潮堤推進東北協議会のイベントの様子や提言を掲げ、それに関する国・県側の方針を軽く触れる感じの記事です。

両者共に、瓦礫を埋設し堤体を設けることによって根の伸長を阻害する地下水を避け、根系の充実を図る。と言うところまでは同じなのですが、前者の方は宮脇理論で極相構成樹種の植栽で、行政側はクロマツ主体の植栽のようです。

 宮脇理論は乱暴に言うと、マツ・スギ・ヒノキ等の人工林やコナラ・クヌギ等の二次林は”ニセモノ”で極相林こそが本物の森。ニセモノの森は弱く人手が掛かる、本物の森は安定しているので強く人手も掛からない、だから地場(潜在的自然植生)にある極相構成樹種でスパッと原生林の様な森を作りましょう! 鎮守の森が理想形です。という感じだと思います。
 で、この先生はこのたびの防潮林再生にあたり「海岸防潮林が津波に負けたのは根の浅いクロマツだから、広葉樹は津波に耐えたから広葉樹を植えましょう」と仰っております。

 林業屋からすると「ニセモノって言われても、そもそも緑化するのが目的じゃなくて、木材生産が主目的なんだけど」と思ったり、「鎮守の森は大事な空間だから、成林に至るまでは随分人手を経ているんじゃないの?」と思いつつ、広葉樹を植えるのは良しとして、我々にとって愛しい針葉樹を貶める発言に心を痛めております。

つづくかな?