米証券業金融市場協会(SIFMA)は最新の四季報で、世界取引所連盟のデータを引用し、米国に上場している株式の時価総額が昨年49兆ドルと、世界合計109兆ドルの44.9%を占めたことを紹介した。
この割合は前年から5ポイント以上も増えており、ドットコム・バブルのピーク時に50%を超えて以来の最高だ。
対照的に、中国株の世界全体に占める割合はわずか6%と、前年の半分近くに落ち込み、過去10年で最低となった。
<80年代の日本とは違う>
他の尺度によっては、米中株式市場の格差はさらに大きくなる。
別のデータでは、世界の株式市場に占める米国株の割合は71%に達する一方で、中国株は過去8年間で最低の2.7%だ。3年前に付けたピークの6.6%から半分以下に縮小しており、日本株の現在のシェアである約6%に比べても半分に満たない。
日本と中国を比較すると、有益な知見が得られる。
日本は中国にとって、アジアにおける経済、金融面の主なライバルだ。そして、以前ならば中国に流入していたかもしれない世界の資金が、ここ数カ月は日本に流れて日本株が34年ぶりの高値を付ける一助となった。
歴史を踏まえてみても、中国株の不振ぶりが浮かび上がってくる。日本が米国から世界一の経済大国の座を奪いそうな勢いだった1980年代末、世界の株式時価総額に占める日本株のシェアは、約4年にわたって米国株を上回っていた。
1988年12月には、MSCI世界株式時価総額に占める日本株のシェアが過去最高の44%となり、米国株のシェアは過去最低の29%に落ち込んだことで、両者の格差はピークに達した。
それもはるか昔のこと。米国株のシェアは現在、日本株を約64ポイントも上回り、その差は過去最高となっている。もっとも、米国は経済規模も日本の5倍余りだ。
これに対し、米国経済の規模は中国の5倍には程遠い。
しかし米国は、ハイテクおよび人工知能(AI)ブームの最前線として、また世界最大にして最も流動性の高い市場として、グローバル投資家にとって必須の投資先であると同時に巨額の資金流入を難なく吸収できる数少ない国の一つでもある。
FRB次第ではあるにせよ、米国株の勢いは少なくとも短期的には、簡単には止められない。