いま、アメリカの若い世代の間で「Dumb Phone(アホ携帯)」が人気になっている。アホ携帯とは、電話やメッセージ、アラーム、カレンダーなど機能が限定的な携帯電話のことだ。アメリカの人気ラッパーであるケンドリック・ラマーが、昨年11月に、シンプルなスマホの販売を手がけるLight社とコラボレーションし、アホ携帯「Linght Phone」を250台限定で発売すると、即日完売した。
実はこのアホ携帯が若者の間で売れ始めたのは2〜3年前からだという。もともとは、ガラケーを買う動きがあったが、デザイン性に古さが残る。そこでケンドリック・ラマーが、スマホのような見た目にし、販売したのだ。
アホ携帯が売れるのはなぜなのか。専門家は3つの要因を挙げる。
一つ目の理由は容易に想像がつくかもしれないが、スマホ中毒からの脱却だ。最小限の機能に終始する携帯電話を持つことで、何時間もSNSなどに時間を費やすことがなくなる。
アメリカの調査会社、カウンターポイント社のレポートでも「Z世代とミレニアル世代が抱くスマホとSNSがもたらす精神衛生上の懸念から、米国市場ではフィーチャーフォンが復活している。台数の伸びは大きくないかもしれないが、デジタルデトックスとしてフィーチャーフォンを求める消費者の需要は続くだろう」としている。
二つ目はプライバシーの懸念。GAFAを中心としたビッグデータを保有するIT企業による個人情報の取得を回避しようとする動きだ。
そして三つ目がノスタルジーだ。例えば日本では、1986年に発売されたレンズ付フィルム「写ルンです」や、1990年代後半に女子高校生の間で流行した「ルーズソックス」がときを経て再ブレイクする「昭和・平成レトロブーム」は定期的に起きている。日本においても、スマホばかり見ている人ばかり、❝乗り遅れるな❞洗脳から脱却するときが来たと思える。