1月の米雇用統計では雇用者数が1年ぶりの大幅増となり、賃金も伸びが加速した。労働市場が再び勢いを増していることが示唆され、利下げが先送りされる可能性が高まった。
ケンブリッジ大学クイーンズカレッジの学長で、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでもあるモハメド・エラリアン氏は、「米金融当局にちょっとした頭痛をもたらすのが、賃金増加の数字だ」と語った。
雇用統計に関する市場関係者の見方は以下の通り。
◎LPLファイナンシャルのチーフ・グローバル・ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏:
どのように解釈してもサプライズであり、むしろショッキングだ。非農業部門雇用者数の35万3000人増という数字は、労働市場が適正化に向かう、もしくはバランスを取り戻しつつあるという見方を裏切るものだ。力強い労働市場が消費者の信頼感と支出を支えている。市場は最初の利下げに対する予想を再調整することになるだろう。
◎ノースエンド・プライベート・ウェルスのマネージングパートナー、アレックス・マクグラス氏:
これで3月利下げにはっきりと別れを告げることができるだろう。利下げは高い確率で5月になりそうだ。
◎ブルーチップ・デーリー・トレンド・リポートのラリー・テンタレリ氏:
1月の雇用統計は経済と消費者にとって非常に強気なサインだとわれわれはみている。利下げ開始は今年5、6月ごろになると考えられる。総じて、強い労働市場は経済と株式市場の双方にとってプラスだろう。われわれとしては、株式市場に短期的な弱さが見られれば買いに動く姿勢だ。
◎Eトレード・ファイナンシャルのマネジングディレクター、クリス・ラーキン氏:
連邦公開市場委員会(FOMC)は3月利下げの見方に冷や水を浴びせたばかりだが、今回の雇用統計が予想外に力強かったことから状況が変わることはないだろう。金融当局者らはインフレ圧力が抑制されているさらなる証拠を目にしたいと述べてきたが、そうした発言を行う上で今回のようなデータは想定していなかったはずだ。今後数カ月間、同じような強い数字が続いた場合、市場は利下げの開始時期や幅について確信を弱める可能性がある。
◎チャールズ・シュワブUKのディレクター、リチャード・フリン氏:
今回の強い雇用統計は、労働市場での需要が予想以上に強いことを示している。米金融当局の最初の利下げを夏近くに遅らせるさらなる要因になるだろう。経済が順調を維持するのであれば、それは悪いことではないかもしれない。何を急ぐ必要があるのか。
◎インディペンデント・アドバイザー・アライアンス(IAA)のクリス・ザカレリ最高投資責任者(CIO):
債券市場は即座に反応し、金利が大幅に上昇した。より高水準の米政策金利が長期間続くという現実がようやく認識されつつある。一方で株式市場は、利下げと力強い経済のどちらが株価上昇の原動力としてより重要かを判断する必要がある。2023年にリセッション(景気後退)が訪れず多くの市場関係者が不意打ちを食らったように、今年もリセッションが起きない可能性は常にある。もしそうだった場合、リセッションなしに新たな弱気相場が始まるとは考えにくい。
2023年にリセッションが起こらず、2024年もノーランディングで此の侭金利引き下げが筆者は疑問です。