『名も無く豊かに元気で面白く』

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「人の幸せを考えて働く弁護士」は仕事を失い、「人の不幸をお金に換えることに熱心な弁護士」が生き残る時代が到来する!

2018-09-01 07:04:48 | 日記

「訴訟大国」と呼ばれる移民の国アメリカの「劇場型訴訟社会」と違い、調整型のムラ社会でもある日本では、争いごとはできるだけ避けようとする。日本人は司法という「公の調整役」に対する抵抗感は根強い。お金のかからない友人や親類といった「非公式の調整役」に頼り、「なあなあ」で争いを解決させようとする。とにかく、黒白をはっきり付けることを好まない、和をもって尊しとする〈和解型〉社会だ。司法改革により、弁護士数はここ10年で2.3倍になりましたが、過払い金問題などがピークを過ぎ、肝心の民事訴訟数は10年前と変わりません。司法制度改革以前は「日弁連報酬基準」を基に業務を行い、1000万円を超える報酬を得ていた弁護士が今や実質500~600万円です。過疎地方はさらに悲惨のようです。「人の不幸をお金に換えることに熱心な弁護士」が今後増え、住みづらくなることが危惧されます。

以下抜粋コピー

弁護士の数が増えても、その"飯のタネ"である事件が増えたわけではない――。日本でも、欧米のように市民が気軽に弁護士らによる「司法サービス」を受けられる社会を目指し、段階的に行われたのが司法制度改革だ。

  この改革は、(1)弁護士報酬の完全自由化(2)弁護士の広告・宣伝の解禁(3)法曹(主に弁護士)人口の拡大――を3本柱としていた。2004年にスタートした「法科大学院」の制度により、司法試験制度ががらりと変わったことをご存じの方も多いだろう。 これらの改革により、弁護士の数は増加の一途をたどり、「弁護士白書」によると「司法制度改革元年」だった1999年に1万6731人だった弁護士の数は、2017年3月31日時点で3万8980人と約2.3倍に増加。日本弁護士連合会(日弁連)によると、18年1月にはついに4万人を超えたという。

ところが、増え続ける弁護士の数とは裏腹に、事件数は近年、横ばいで推移している。裁判所の司法統計によると、2005年には13万2727件だった民事事件数(新たに受理されたもの)は、09年の23万5508件をピークに減少傾向に転じ、14年には14万2487件と、05年の水準へと戻った。一時的に増加したのにはカラクリがある。05年から14年までの事件数のうち、クレジット・サラ金(クレ・サラ)問題でよく耳にする「過払い金」関連を除いた事件数は、ほぼ9万件と横ばいが続いている。つまり、事件数が増えたのは、単に「過払い金返還訴訟バブル」によるものだったということだ。06年に最高裁が利息制限法と出資法の上限金利の差(グレーゾーン金利)を認めない判決を出したため、一時的に訴訟が増えたのだ。

「プラチナ資格」今は昔……

司法試験の合格難度から「文系最高峰資格」の一つとされてきた弁護士。司法制度改革以前はどんなに営業下手でも、地道に仕事に取り組んでいれば、「弁護士登録後、10年で所得1000万円突破は堅かった」(兵庫県弁護士会所属弁護士)という。

 法曹資格さえ取れば、高収入と高い社会的地位が約束され、「ゴールド」を上回る「プラチナ資格」と呼ばれたほどだ。しかし、今ではM&A(企業の合併・買収)実務などを手掛ける大手渉外系事務所や、大手企業の法務部などに就職できた「エリート」でなければ、かつてのような高収入は望めなくなっているようだ。「弁護士余り」で就職できず、司法修習後すぐに独立する弁護士や、法律事務所から仕事を請け負って、売り上げの一部を法律事務所に「上納」しながら生活する弁護士さえいる。特に法科大学院を経て弁護士登録した「新司法試験組」は、エリートとそれ以外の能力の差が大きいとされる。

  14年の国税庁の調査によると、独立して事務所などを営んでいる弁護士の売り上げ(収入)から必要経費を差し引いた「年間事業所得」の中央値は約400万円という。単純比較は難しいが、実質的な「手取り額」は、都市部の平均的なサラリーマンより低いのではないだろうか。さらに、同年の日弁連のアンケートによると、事業所得200万円以下の弁護士が、なんと総数の8分の1を占めているという。業界はまさに「食えない弁護士」であふれ始めているのだ。

 そして、「食えている弁護士」も生き残りをかけて必死になっている。

 60~70代のベテラン弁護士でさえ、「ブログやツイッターを開設して、顧客にアピールする」「30分までの相談を無料にする」「1回目の相談の際は交通費や駐車場代まで負担する」などと、本業以外のサービスや宣伝活動にも力を入れているのが実情だ。

司法制度改革以前、弁護士は「日弁連報酬基準」を基に業務を行い、報酬を得ていた。それに、自らの能力を顧客にアピールしようにも「債務整理に強い」「離婚案件が得意」といった専門性や得意分野を打ち出すことさえできなかった。日弁連の規定で広告が禁止されていたからだ。つまり“横並び”に近かった。弁護士は「自由業」ではあるものの、日弁連に登録しなければ弁護士業を営むことはできない。さらに、司法修習期を軸とする縦横のつながりもあり、「護送船団方式」に守られた公的な職業という色合いが強い業界だった。ところが、司法制度改革により弁護士の報酬は自由化された。ここで登場したのが顧客から「着手金」と呼ばれる報酬を受け取らない弁護士だ。

  例えば、過払い金返還請求であれば、貸金業者などから返還される過払い金の一部を報酬に充当する。顧客からの着手金は無料、「完全成功報酬制」というスタイルである。

債務整理を例に取ると、今、自己破産申請を弁護士に依頼する場合、ややリーズナブルな法律事務所で20万円、一般的には30万円が相場だ。離婚調停の場合だと着手金30万円、顧客の希望通りに事が運んだら、成功報酬は50万円程度といったところだ。これだけの金額を現金で支払える人は、案外、少ないのではないだろうか。 かつて弁護士といえば、「八百屋弁護士」とも呼ばれた〈街弁=街の弁護士〉にみられるように、一人で債務整理から離婚事案、企業間のトラブルまで、あらゆる案件を最初から最後まで手掛けたものだった。

 一方、新興大手では、面談、書面、裁判……など、担当を細かく区分けし、書類作成などの雑務は法曹資格を持たない「パラリーガル」と呼ばれる事務員を活用。過払い金請求や債務整理などの案件に絞り、効率よくサービスを提供するようになった。近年、弁護士たちの年代によって、目指す方向性が大きく異なっている。

超難関とされた旧司法試験をパスした50代以上のベテランだと、その立ち位置を問わず、〈法律家〉という意識で仕事をする弁護士が多い。これに対し、「新司法試験組」の20~30代の若手は〈サービス業〉であることを前面に押し出す。 この方向性は、事件と向き合うスタイルにも大きく反映されている。50代以上の弁護士だと、民事事件ではできるだけ訴訟を避けようとする。示談交渉に力を入れ、原告・被告のどちらについた場合でも、円満な解決を目指す傾向がある。

 元裁判官の50代の弁護士は「民事の争いは結局、金額なのです。原告側であればできるだけ高額、被告側であればできるだけ低額の『解決金額』で落としどころを探って、早期の事件解決を目指します。自分が原告側の代理人(弁護士)なら被告側の立場、被告側の代理人なら原告側の立場も考え、広い視点で事件に向き合えば、訴訟に持ち込まなくても解決するものです」と語る。ところが今、若手弁護士の間には、こうした発想を持つ者は少なく、ベテランの意識とは大きな隔たりが生まれているようだ。 近年、増えてきた派手なパフォーマンスで相手を揺さぶる発想の弁護士。しかし、派手なパフォーマンスとは裏腹に、実際にはなかなか事件を解決させることができないとの指摘もある。弁護士界では「相手方はもちろんのこと、自分の依頼者をも困らせてしまうことも頻繁にある」との声をよく耳にする。

コメント (2)
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