本日、寄り付き前主要銘柄でストップ安気配が軒並み点灯していましたが、メジャーSQで強引に下げたいファンド筋の動きでした。しかし、25日線を下回ったところで切り返され、逆に踏み上げ。相場の転換点です。お決まりの売り仕掛けをし、巨額の損失を抱え年末から春先に破たんする空売りファンドも出てくるはずです。「一寸先は闇」は買いにも、売りにも、使われる言葉ですが今回は9/8にスタートした上げ相場が小休止し、上に向け再スタートしたと読むべきでしょう。
以下抜粋コピー
日経平均は11月上旬に高値を打ってから最初の調整では25日移動平均できれいに下げ止まり、その後堅調な戻り歩調を辿るかに見えた。ところが今週に入ってから弱含み、一昨日6日は445円安と今年最大の急落を演じた。下げ幅の大きさもさることながら、25日線を下抜け長い陰線を引いたことで、サポートラインがブレイクされたと悲観的な見方が強まった。しかし、これは典型的な、「弱気筋を振るい落とす」動きである。「振るい落とし」とは仕手筋が使う手だが、市場全体でも似たような動きになることがある。市場全体を動かすことは仕手筋には到底無理でヘッジファンドでさえそのようなことはできないから、まさに「意図せざる市場の動きの妙」と言えるだろう。
「弱気筋」とは最近になって強気に転換した投資家も含む。こうした投資家は遅れて相場に乗ったのでじゅうぶんなバッファーがないから、少し下がると耐えられない。行動ファイナンスが教える「損失回避バイアス」も働いて、「損しないうちに」と思ってすぐ投げてしまう。そうした腰の据わっていない投資家は、どうせすぐ売ってしまうので、早いうちに振り落したほうが、相場は軽くなってかえって上昇する。下手に空売りでもしてくれれば踏み上げ相場でさらに上がる。
6日の急落のようなことが起きると、市場関係者はその理由をあれこれ探す。中東情勢、中国経済、SQ絡みの(および米国のトリプル・ウィッチング絡みの)需給要因、海外勢の12月決算を控えた利益確定、etc. よくわからない時に使われる「ヘッジファンドの仕掛け売り」という常套句もよく耳にした。しかし、常々述べている通り、何か明確な理由があって株価が動くことなど稀である。逆の言い方をすれば、特段、たいした理由もなく株価は大きく動く。目先の動きに一喜一憂せずに中長期的なトレンドを見定めることが肝要である。
相場は値幅ではなく日柄で調整すると述べてきた。実際、市場の中身は半導体関連のハイテク株が売りに押され調整が続いてきた。これは日米同様の展開であったが、米国のフィラデルフィア半導体株価指数(SOX指数)は一目均衡表の雲の上限できれいに切り返している。ハイテク株の調整も一巡した感がある。日本株のこのラリーの起点は9/8であった。年内、残り3週間。まずは終値で2万3000円台に乗せ、それからザラ場高値を抜き、年末に2万4000円手前まで迫るような動きになるだろう。 チーフ・ストラテジスト 広木 隆氏