藤野から世界へ

神奈川県の北端、藤野町に住み始めた夫婦が山里の暮らしの中で感じたり、考えたりしたことをつれづれに綴ります。

秩父観音霊場結願

2010-09-02 07:31:00 | 
 今年の2月、旧正月から始めた秩父観音霊場霊場札所巡りが、のべ7日間をかけて結願
した。札所巡りは、24番光智山法泉寺辺りから山寺の雰囲気を見せるが、今回2日間をかけて回った札所は、岩場の寺ということができるだろう。

 28番札所石竜山橋立堂。このお寺は、大岸壁の下に立っていて、秩父観音霊場の中では唯一馬頭観世音を本尊とする。観音堂が立っている辺りからは縄文遺跡が出土している。また、奥の院が橋立鍾乳洞となっていて、見学することもできる。なかなか大きな鍾乳洞である。



 31番札所鷲窟山観音院。ここを訪れた時の衝撃は筆舌に尽くしがたいものがある。四国霊場45番の岩屋寺を思い起こした。これは岩屋寺。

http://wind.ap.teacup.com/applet/fujino/20090709/archive

 そしてこれが観音院。60mある岸壁の下に立っている。周囲は全て岸壁で、行者が水垢離をした滝もある。観音堂は昭和に再建されたコンクリート造りなのだが、周囲の光景が凄すぎて、古いとか新しいとかそういうことを感じさせない。



 左手岸壁には沢山の石仏群。そして、磨崖仏。弘法大師が爪で彫ったと言われているが、詳細は定かではない。実際には室町時代のものではないかと言われている。この寺は、かつては修験堂の一大道場だったので、修行者が彫った可能性もある。



 これがハイライトだったなと思いながら32番札所般若山法性寺に向かった。この寺は、東国花の寺としても有名なのだが、ここの観音堂もやはり岸壁。斜面なので懸崖造りになっている。



 奥の院へは、裏山を500m程登るのだが、参道ではなく、普通の山道である。そのつもりで行かないと厳しいだろう。
 登り詰めると、尾根が、



 この様に、何と全長200mの岩になっていて、船の形をしている。頭の方には聖観世音菩薩、尾の方には大日如来が祀られている。これは頭の方。ここからの眺めは最高だが、気を付けて行かれたい。
 この岩のため、この寺はお船観音とも呼ばれている。

 そしていよいよ結願の寺、34番札所の日沢山水潜寺。この寺は、秩父観音霊場のみならず、坂東と西国を合わせた日本百観音の結願の寺にもなっている。



 ここも背後は岸壁で、岩屋から長命水と呼ばれる清水が涌き出しているのだが、巡礼は、この水で体を清めて俗世界に戻っていったと言われている。そこから寺の名前となった。

 やっと秩父観音霊場巡りを終えることができた。終わってみればのべ7日間。通しではなく、空いた時間を利用してやったのだが、忙しい中で気持ちを持ち続けるということが意外に難しく、正直しばらく忘れていたこともあった。そんな中で、物事をやり遂げるということはとても充実感があることだと思う。また、巡礼を始めた当初に考えていた色々な思いや悩みが、巡礼をしていく時間の中でゆっくりと熟成していく。その過程を見つめていくことが、最後の方になればなるほど楽しいことになっていた。昔の人達も、こんな風にゆっくり時間をかけて人生を見つめ直し、そして新しい出発をしていったのだろう。

 今週末からは、連れ合いと北インドのラダックという場所を旅して来ます。ラダックは、チベット文化圏に属しているヒマラヤの麓の高所。山と寺にゆっくり抱かれてきます。
コメント
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