藤野から世界へ

神奈川県の北端、藤野町に住み始めた夫婦が山里の暮らしの中で感じたり、考えたりしたことをつれづれに綴ります。

晩秋の低山

2009-11-30 21:46:00 | 山登り
 いつの間にか冬が忍び寄ってきているのを感じる昨今、紅葉最後のチャンスかと、久々に連れ合いと山登り。目指すは、家から毎日眺めている相模川対岸の金剛山(419.8m)~峯山(423m)~日連山~宝山(374.2m)のプチ縦走コース。連れ合いが登るのは初めてだが、私は確か5回目。短いながら縦走気分を味わえて、眺めのよいところも有るし、藤野の地形を知る入門コースでもある。

 金剛山は、山頂に火伏せの古峯神社を祀り、登山道は昔からの山道を辿っている。途中に「○○丁目」という石碑が現れてくる。山頂の神社裏手に杉の大木が立っているのだが、この焦げ目、私は「不届き者の火の不始末か」と思っていたのだが、連れ合いの推測では「雷が落ちたんではないか」と。確かに良く見ると、根元の方は余り焦げていないし、ある枝だけが死んでいて、その付け根から焦げ目が始まっている。



 ちなみに、晩秋の紅葉はこんな感じ、なぜか春先に咲くはずの躑躅(つつじ)も咲いていた。





 宝山から、さぁ下山というその途中、篠原の方に目をやると、何と最近問題になっている篠原の残土処分場の現場が丸見えになっていた。残土というのは、建築現場で出る土砂のことで、法令による規制も無い(産業廃棄物に相当する物が混入している場合は産業廃棄物となる)。一体どこから出たどういう土砂なのか分からないものが、毎日ダンプで運ばれてきて、谷に埋められていく。藤野に限らず、全国どこでも問題になっている。各自治体では残土条例を制定して一定の規制をかけていて、藤野町時代にも条例があったのだが、相模原市には盛土条例という、残土そのものを対象にしたのではない不十分な条例しか無く、特に合併以降、藤野各地で残土処分場の問題が聞かれるようになった。残土自体も問題だし、ダンプが狭い山道をひっきりなしに通るので、地域住民の平穏な生活も脅かされている。



 この写真を見ると、かなり広範囲に埋め立てているのが分かる。連れ合いによると、工事の現状を知る貴重な写真だとのこと。山を歩いていると、普段は分からないこんな情報を得ることも出来る。

 下山して、帰宅途中にある日連(ひづれ)神社にて。日連は、私達の住んでいる小渕(おぶち)とは、相模川を挟んで対岸にある集落である。楓と銀杏が見事だった。昔から大切にされてきたのだろう。




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紅葉の低山

2009-11-15 20:58:00 | 山登り
 いよいよ藤野も紅葉シーズン真っ盛りである。ここの所天気が悪かったのだが、日曜は晴れ。藤野で、今まで登ったことのない山域を歩こうと思い、藤野駅から日野(東京都日野市ではない)登山口、大沢の頭、イタドリ沢の頭、矢の音、孫山の頭、与瀬神社、慈眼寺、相模湖駅と、中央自動車道の少し北側の変わった名前の山々を歩いてみた。
 デジカメの調子が悪く、残念ながら写真はイタドリ沢の頭まで。特に展望のよいところはないのだが、矢の音までは殆ど人に会わず、静かな山歩きが楽しめた。雨のおかげが空気は澄んで、日射しはまぶしく、風の音が耳に心地よかった。



 これがイタドリ沢の頭。ピークというよりは、稜線上の瘤のようなところであった。



 矢の音は明王峠と与瀬神社への分岐点にある。高尾山ないし陣馬山から縦走してきた人達が、明王峠から下って与瀬神社を経て相模湖駅へエスケープするため、矢の音辺りから登山者が俄然多くなる。

 与瀬神社は、創建年代は不明だが、この辺りではかなり大きな神社で、毎年4月の例大祭も盛大に行われている。すぐ傍にある慈眼寺は高野山真言宗の寺院だが、元々は蔵王権現を祀っており、明治時代に神仏分離されて現在に至る。
 神社も寺も趣があるのだが、眼下を中央自動車道が走っているため、騒音がうるさい。そのアンバランスな対比はまたいつか写真にて報告したい。
 
 神社入り口から相模湖駅まで徒歩5分。筆者にとっては車でしょっちゅう通るエリアなのだが、こうして細い道を徒歩で歩くと、全く知らない場所に来たかのような感動を覚える。藤野のよく知っている筈の道も、歩くとまた違った発見がありそうだ。
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藤野にある真言宗の寺院

2009-11-09 17:49:00 | 藤野歩き
 日向薬師の帰り、藤野にある同じ高野山真言宗の寺院を訪ねてみたので、簡単に紹介する。

 篠原にある福寿院。津久井観音霊場の第43番札所でもある。津久井観音霊場は、宝暦年間(1752~63)に第1番札所である雲居寺の大雲無禅和尚により開設されたと言われる。開設当初は33ヵ所だったが、近年、津久井地域の寺院や観音堂から霊場への加入希望があり、新規加入寺院を番外霊場として組み入れた。1990年の本開帳の機会に番外扱いを通番に改め、33ヶ所に10ヵ所の霊場が加わり、津久井観音霊場43ヵ所となる。
 というのは後から調べたのだが、つまりここは満願の寺であった。



 日連にある青蓮寺。我が家と相模川を挟んで対岸にある。ここは津久井観音霊場の第26番となる。江戸時代は代官所が置かれて、津久井地域の政治・文化の中心の1つだったそうである。今は周りを畑に囲まれた静かな寺である。


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日向薬師再訪

2009-11-09 16:45:00 | 山登り
 今年の5月19日に、大山から浄発願寺奥の院を歩いたことは既に日記にしたが、その際に時間切れで訪れることの出来なかった日向薬師に行くことが出来た。この寺は、行基が霊亀2(716)年に開山したと伝えられ、現在は高野山真言宗に属する。かつては日向山霊山寺と称し、子院13坊を擁する大寺院であったが、ここも浄発願寺同様、廃仏毀釈で多くの堂舎が失われ、現在は霊山寺の別当坊であった宝城坊のみが寺籍を継いでいる。
 日向薬師の名は、本尊が薬師三尊であることから来ているが、柴折薬師(高知県)、米山薬師(新潟県)と共に「日本三大薬師」に数えられることもあり、峰の薬師、高尾山薬王院、新井薬師と共に「武相四大薬師」として信仰を集めている。

 時間がある方は、日向薬師最寄りの「日向薬師」バス停ではなく、「薬師入口」バス停から歩くと、道々石仏や馬頭観音などが見られる。今回は、「日向薬師」バス停駐車場に車を停めて歩いた。日向薬師の寺林は自然林と杉の植林の混合だが、とても大切にされてきたようで、現在では神奈川県の天然記念物にも指定されている位見事である。寺林をしばらく登ると仁王門があり、さらに行くと本堂が現れる。

 なんと、茅葺きの屋根である。茅葺きの寺というと、以前に塩船観音寺を訪ねたが、どこか親しみやすい。



 登山コースの途中でもあるために、登山者も多く立ち寄っている。毎年4月15日には火渡りの儀式が行われている。

 境内には宝物殿や鐘堂の他、幹が空洞となった霊樹の中に虚空蔵菩薩が祀られている。ちなみに、この木は生きていて、上は青々と茂っている。



 何となく去りがたい雰囲気があり、暫く休んだ。
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現代のお寺

2009-11-04 22:51:00 | 街歩き
 久々に都内に、連れ合いと一緒に出かけた。目指すは青山。青山と言えば、我々には縁遠いオシャレな店が立ち並んでいる場所なのだが、そこで行われた「五八三二四六」というイベントに参加したのだ。

 会場は地上は何階建てだったか、地下は2階のカフェHy's前にて。ちなみに「五八三」とは高野山、「二四六」とは青山通り(国道246号線)を指す。「五八三二四六」とは高野山と青山通りをつなぐという意味である。ここは、普段はカフェ、レストラン、ギャラリー、ダンス教室に使われているのだが、この日一日は丸ごとお寺になってしまう、というイベントだったのだ。



 ついて早速、真言宗に伝わる瞑想、阿字観の実修に参加。阿字観は、禅宗の坐禅とは異なる。坐禅が、人間の主観的な思考をなるべく排除して無になる方法を取るのに対して、阿字観は、良いイメージを湧かせて心の中を良い物で一杯にするという方法を取る。具体的には阿息観という呼吸法とイメージ法を組み合わせた瞑想なのである。
 
 中央が阿字本尊。サンスクリット語の「あ」が書かれている。両側には胎蔵界・金剛界曼荼羅。30分程の実修だったが、ちょっと良い気分になる。



 地下の梵字曼荼羅。見えにくいかも知れないが、サンスクリット語の文字がお香で書かれていて、それが燃えている。文字はそれぞれ別々の仏を指している。ここでは、声明という儀礼に用いられる宗教音楽とバイオリンの演奏も行われて、なかなか幻想的だった。



 その他、普段はギャラリーとなっている部屋で写経も行われていた。普通に青山を歩いているような若い男女が熱心に般若心経を書いている。

 これは講演会の会場。中央は、高野山から持ってきた弘法大師空海像。壇上に灯されている灯りは、これも高野山から持ってきた千年以上前から灯されている貧女の一燈。蛭川立と高野山のお坊さんのバトルトークが非常に面白かった。 



 このイベントは、今年で3回目となる高野山カフェの番外編。実は、カフェHy'sのオーナーが熱心な信者なようなのだが、高野山真言宗総本山金剛峯寺と若い人達の協力によって、実に見事なアートな感じのイベントになっていた。会場内には、高野山からやってきたお坊さんが20人程。普段はあり得ない近い距離感で、気さくにお坊さんと立ち話が出来る。参加した皆さんにとっても、真面目に気軽にお寺(この場合、高野山という限定になるのだが)と触れ合えるまたとない機会となったのではないだろうか。

http://www.nankaikoya.jp/cafe/
http://www.583246.com/
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