化学系エンジニアの独り言

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2030年に石油依存度40%に

2006-01-17 | エネルギー
経済産業省は2030年までのエネルギー政策の基本方針となる新エネルギー戦略の検討に着手した。新・エネルギー政策であって新エネルギー・政策ではないでしょう。

一次エネルギーに占める石油の割合を現状の50%から2030年には40%未満にするという。ということは、石油以外の一次エネルギーの利用を引き上げることを意味する。天然ガスの積極的活用や新エネルギーの利用を増やす方向である。そのため、新エネルギー産業の確立を推進するそうである。

また、電力需要に占める原子力の割合は現状の30%を少なくとも維持、それ以上に高める方針である。そのため使用済核燃料を再処理してプルトニウムを利用する核燃料サイクルの早期確立も目指す。

石油依存度を下げるもう一つの方法に、石油利用の省エネを推進し、石油使用量そのものを他の一次エネルギー使用量に対して相対的に減少させれば、石油依存度は下がる。そのため、2030年までに日本のエネルギー効率を現在より30%程度改選する。
現状はGDP1万ドル当たりのエネルギー使用量は原油換算1.22kLであるから、0.85kLまで下げることになる。原油価格を$60/bblとすれば1.22kLは$460になる。1万ドル生産するのに460ドル、つまりエネルギーコストは4.6%というのが日本の生産構造とも言える。

電力は原子力や天然ガスに増やす。暖房等の熱需要についても電気利用や天然ガスへの転換が可能であるが、自動車すなわち輸送部門(船や飛行機も)では石油に代わるエネルギーは見当たらない。石油ほどエネルギー密度の高い燃料はないからです。経産省の目標では、現在ほぼ100%に近い運輸部門の石油依存度を80%以下にするとなっている。ここが一番難しいが、電気自動車などで代替できる分野は意外とありそうです。