化学系エンジニアの独り言

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オイルサンド

2006-01-13 | 石油
カナダ、正確にはアルバータ州からというべきかも知れないが、オイルサンドから生産される石油を輸入するため、経済産業省と石油各社は検討を始める。

アルバータ州にはサウジアラビアの原油埋蔵量に匹敵する量のオイルサンドがあると推定されている。オイルサンドはタールサンドとも言われるように、重質油分を含んだ土のことです。サンドと呼んでいますが、見た目は黒い土です。砂状なのはむしろオイルシェールの方ですね。

このオイルサンドから経済的にオイルを回収するには8%程度の含有量が必要といわれていましたが、このところの原油高を受けて採算は著しく向上しているものと思われます。オイルサンドからお湯を使って油分を抽出し、この油水混合物からさらに軽油相当油でタール分を抽出します。抽出されるのはタール状ですから、そのままでは既存の石油精製にまわすことができませんので、水素化分解や熱分解により軽質油に変換します。この軽質油が人造原油として、原油と同様に市場で取引されるわけです。オイルサンド開発会社のSyncrudeではこの人造原油をSSB(Syncrude sour crude)と呼んでいます。

水素化分解をするには大量の水素と分解装置が必要です。あるいは熱分解すればコークスが副生物として残ります。欲しいのは液体燃料ですので、このコークスは廃棄というか山積にされているはずです。硫黄含有量が8%とかありますから、そのまま燃料にするには強力な排煙脱硫装置が必要です。

Syncrude社にはかつて三菱石油が出資していたはずです。そのまま新日石に受け継がれているのかもしれません。また、石油公団も別の会社と組んでオイルサンド開発を進めていたはずです。

原油調達先の分散という観点からは、望ましいこと思います。また、人造原油を生産するキー技術の水素化分解や熱分解においては日本の技術も大いに活用できるのではないでしょうか。