イルカラグーンは、ちょうどプールの清掃中だった。
プールの底には、3頭のイルカが横たわっていた。
青いバンドの先が人工尾びれで、イルカの名前がフジ。
飼育員とのやり取りが、楽しい。
フジは、海洋博公園に来たことと獣医の植田さんに出会えたことが運命だった。
30年近く前、駿河湾で獲れたイルカのフジは、その名を富士山からもらった。
ジャンプは上手ではなかったが、3頭を生み、ビックマザーと呼ばれた。
病気になり尾びれの大半を失ったが、植田さんがブリヂストンに掛け合い、イルカの人工尾びれ開発という世界初のプロジェクトが始まった…。
ブリヂストンは、無償で、フジが死ぬまで人工尾びれを提供してくれるという。
最新バージョンは、長時間装着できるタイプらしい。
これが成功すると、もう一度出産できるかもしれない、と植田さんはいう。
そしたら、「もう一度 宙(そら)へ」から、「もう一度 母へ」だね。
新しい薬や最新の治療をさせてもらえて、自分は日本一恵まれた獣医かもしれないという。
情熱的な飼育員と、素晴らしい獣医に恵まれて、イルカ達は幸せだと思う。