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玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

多肉果とは

2018-09-02 06:51:27 | 果実
多肉果とは
 花が終われば果実ができます。さまざまななタイプの果実がありますが、動けない植物にとって果実を作る最大の目的は、遺伝子を伝えてくれる種子をふさわしい場所に移動させることです。そのために、タンポポやカエデのように風で飛ぶ果実、ヌスビトハギのようにトゲで動物の体について運ばれる果実などさまざまなタイプがあります。
 この冊子では種子を果肉が包み、動物が食べることで種子を運ぶ「多肉果」を取り上げます。その中にもいろいろあって、チゴユリなどはジューシーですがナンテンなどはスカスカだし、イイギリなどは特に味がしませんがエノキなどは甘みがあります。多肉果は動物に種子を運ばせるためにさまざまな工夫(生物学では適応と言う)をしています。多肉果に赤系の色で直径5〜10ミリメートルのものが多いのは、視覚の優れた鳥類に対して、緑を背景にして目立ち、一飲みできるのが有利だからだと考えられています。甘い匂いや味がするものは視覚は劣るが嗅覚がすぐれた哺乳類に食べられるためと考えられています。
 玉川上水では津田塾大学のタヌキの糞からエノキやムクノキの果実がよく出てきますが、栽培植物のカキやギンナン(イチョウの果実)も出てきます。玉川上水からは少し離れていますが、小平市内のある駐車場の鳥だまりになっている電線の下に落とされた鳥の糞または吐き出したものからは大量のトウネズミモチが検出されたほか、エノキ、ネズミモチ、センダンなどが見られました。また小平霊園のトウネズミモチの下にはトウネズミモチの種子が多かったのは当然ですが、そのほかにもイヌツゲ、ナンテンなどが見られましたし、霊園の近くのクロガネモチの木の下に外から運び込まれたものにはピラカンサ、ナンテン、マンリョウなどがありました。
 これらの事実は多肉果が動物に食べてもらうための適応をし、動物を利用して種子を散布しているということを確かに示しています。玉川上水での植物の動きにも鳥やタヌキが関わっているはずで、そういう調査もしてみたいものです。

果実 はじめに

2018-09-01 22:34:41 | 果実
はじめに

私たちは「玉川上水花マップ」の成果として、夏の花として「2018夏」を、秋の花として「2017/2018秋」を作りました。春の花も予定していますが、その前に冬の号を出すことにしました。ただし「冬の花」でも「マップ」でもないので、説明をしておきます。
 私たちは花マップ作りのために毎月玉川上水を手分けして歩き、花の記録をとってきましたが、もちろん咲いた花のあとに実る果実にも関心があります。中には花は目立たないが果実はよく目立つものもあります。そこで、玉川上水を特徴づける「木の実・草の実」というタイトルの冊子を作ることにしました。いくつかの果実はすでに花の時に取り上げたので重複になるし、スペースの関係もあって分布図は載せないで、ミニ図鑑のようなものにしました。
 この冊子の作りとしては、基本的には解説のあとに自然状態の果実の写真に、果実と種子を取り上げて5mm格子のついたシャーレに載せた写真の組み合わせに解説をつけました。その意味で季節の花を取り上げた冊子とは違うものになっていることをご了解ください。