春 夏 秋 冬

めぐり来る 春夏秋 麗しき 大和し護れ 民草いとえ 
          

ブログ休止のお知らせ

このブログの表題に入れた短歌の、春夏秋冬の中の冬の字が、誰かによって削られて、修正不能になって久しいのですが、昨日から編集画面までが、誰かにいじられたようで、出す事が出来なくなっています。 この記事作成画面も、何時使用不能になるかもしれない状況にありますので、 春夏秋冬はこの記事をもって、しばらく休ませていただく事にしました。(2010年3月) * * * * * * *  Fc2ブログに不祥事が起き、広告主が引き上げたそうです。 Fc2は何時終了になるか予断を許さない状況かと思い、 気になる過去記事を少しずつ、こちらのブログに写す事にしました。(2015・4・24)

諫早湾干拓工事の置き土産に苦しむ地元農漁民

2009年07月07日 15時06分38秒 | 思想信条

小長井町漁協 県に排水抗議 長崎・諫干調整池
2009年7月7日 00:15 カテゴリー:政治 九州 > 長崎
 長崎県諫早市の小長井町漁協(新宮隆喜組合長)は6日、大雨で増水した諫早湾干拓地の調整池内の淡水をアサリ養殖場などの近くに排水した長崎県に抗議し、今後は事前協議を徹底するよう申し入れた。

 同県は、大雨により潮受け堤防内側の農地が冠水し、堤防南側の排水門の開門だけでは水位が下がらないとして、3日に北部排水門も開門。漁場への悪影響を懸念した漁協側が現地事務所に押し掛ける騒ぎとなった。

 6日、県庁を訪れた新宮組合長は「1回の排水でアサリやタイラギは死んでしまう」などと抗議。県側は「(開門は)ぎりぎりの判断だった」と説明した。漁協側は、開門に際し電話とファクスで通知があっただけで十分な協議がなかったとして、排水する際の水位などの基準設定や地元説明を行うよう要求。県側は「今後、相談させていただきたい」と回答した。
=2009/07/07付 西日本新聞朝刊=


漁協が排水に抗議という記事を見て、初めはちょっと面食らった。
諫早湾の潮受け堤防の開門を求めて漁協は訴訟し、昨年漁協側が勝訴して喜んだのだった。
その判決に行政側が大人しく従って(控訴せず)すぐに開門されるかどうかで、気をもんだのは、丁度1年前の今頃7月初旬の事であった。
漁師さんのために、諫早湾の水門を直ちに開けて上げて!
しかし下に引用した論説記事を読んで、私は自分が何にも分かっていなかったことを知った。

潮受け堤防を空けることは漁業者にとっては、すぐに実行して少しでも早く有明海の水質浄化をして欲しい、喫緊の課題ではあるけれど、現在入植している干拓地の農民にしたら、塩水の逆流の恐れがあるため、絶対に避けて欲しい事であった。

漁業者と農業者の両方が納得する為には、新たな施設が必要であると、諫干弁護団は国に申し入れているけれど、その対応ははかばかしくない。

今回の排水に抗議したのは、潮受け堤防を開けたのではなく、調整池の水量が、大雨で増水したのを流す為の排水に対してで、
これでは有明海の水質改善の為には何の役にも立たないのみならず、
排水口の近くに漁協が作っているアサリ養殖場が、この排水でやられて、アサリやタイラギが死んでしまう恐れがあるからであった。

調整池を開けなかったら、農地が冠水してしまうし,開けたら漁民の農地とも言うべき養殖場が、駄目になってしまう恐れがある。
農業と漁業の利害が真反対に対立するジレンマに、長崎県は置かれているらしい。

農水省は即刻諫干弁護団の案を検討して、1日も早く潮受け堤防を恒久的に開けられるようにするべきなのではないだろうか。
アセスの何のと言っていたら、6~7年もかかると言うのに、農水省はアセスメントにこだわり、長崎県は対策が出来ないうちは、潮受け堤防を開ける事を絶対に受け入れる事は出来ないだろうと言う事である。

此れでは、塩水の逆流の恐れがあるからと言って潮受け堤防は開かれない、
洪水になりそうだからと言って、突然淡水を養殖地に流し込まれると言う具合に、漁民だけが我慢させられる構図となっており、はなはだ不公平な事になっているような気がする。
(引用)

重き門:諫干勝訴判決から1年/中 『拒否権』 /佐賀 
◇「同意」得るための対案
 国営諫早湾干拓事業(諫干)の潮受け堤防閉め切りから丸12年になる今年4月15日、九州農政局が熊本市に有明海沿岸4県の関係者を集め、開門調査の環境アセスメントの説明会を初めて開いた。

 「開門には最後まで反対する」(長崎県側の参加者)。「開門なくして有明海の再生はない」(有明海沿岸の漁業者)。

 堤防開門をめぐって賛否双方の発言は平行線をたどった。

 ヤジや怒声が飛び交う荒れた会議の中、最後部の関係者席から声が上がった。「開ければ被害が出るという反対意見は当然だ」

 諫干訴訟弁護団の馬奈木昭雄団長(67)だった。「反対する方々も納得する対策がセットでないと、同意はあり得ない」

 静まり返った会場に、馬奈木団長の声だけが響いた。

  ◇    ◇

 今年1月28日、原告弁護団や支援者約10人が、長崎県諫早市の諫早中央浄化センターを視察した。堤防開門で塩水化する調整池の代替水源として、同センターの処理水を使えるかどうか調べるためだ。

 諫早市下水道管理課によると、センターの処理水は月2回の定期検査を行い、水質は極めて良好という。参加者は「代替水源として活用できるはず」と自信を深めた。

 地元農家の間には、農業用水の確保だけでなく、長年苦しめられた冠水被害や、塩害の再来に対する不安が強い。

 こうした声に応えようと、原告弁護団は対案を示している。排水施設の増設などで被害対策を図りながら、来年5月から段階的に開門するとの方法だ。長崎県側を含めた利害関係者が一堂に会する「開門協議会」の設置も提言している。
 馬奈木団長は「農業も漁業も成り立つ最も合理的な案だ。農水省の方法でなければならない理由はない」と訴える。一方、農水省は「アセスの結果を得ないうちに対策工事をしたり、関係者と協議するのは難しい」と、対案の受け入れを拒否している。

  ◇    ◇

 08年7月。開門調査の前提として若林正俊農相(当時)は「関係者の同意」を条件に挙げた。無難に見える言葉でも、開門を目指す側には「長崎県に与えられた拒否権」と映る。

 原告弁護団は言う。「対策工事をしないままでは、長崎県側が開門に同意するわけがない」


重き門:諫干開門判決から1年/上 募る不信 /長崎
 ◇「農」「漁」接点見えず

重き門:諫干勝訴判決から1年/下 対話の試み /佐賀
 ◇折り合える道探る