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落武者の行方

09.02.02>>>迷走中?(since 04.09.13)

「Voxhumana第21回定期演奏会」

2009-09-21 | music
Tokyo Bunka Kaikan | Voxhumana "21st regular concert"

9月17日はヴォクスマーナの第21回定期演奏会に行ってきました。
迷って、結局行かないことにしていたのですが、サントリー音楽財団の今月の推薦コンサートのチケットが当たったので行って参りました。

プログラムは、
田中吉史『レチタティーヴォ・セッコの諸段階Ⅰ~Ⅵ(2008)』
渡辺俊哉『晩秋に(2009委嘱初演)』
----interval----
松平頼暁『Collision(2009委嘱初演)』
藤倉大『But, I fly(2005)』

指揮:西川竜太


ちょうど大ホールではスカラ座来日公演のドン・カルロが最終日。
時間的にもクライマックスの時間にこちらが開始。
高価すぎて手のでないセレブ公演の横でタダチケットで入場する私…。
人生の縮図であります。


田中さんの作品、着眼点が非常に面白いと思ったのですが、勉強不足でフィガロ、ジョヴァンニ、女庭師から抽出された6つの元ネタのレチタティーヴォ・セッコが良く分かってない身では、面白さはそれ以上良くわからないままでした(笑)

松平さんの新作は…、合唱曲としての良し悪しの判断はまた別にあるのかもしれませんが、とにかくお若い。
一番やんちゃ。
まるで子供の玩具遊び、言葉遊び、音遊びやないかい!!
それを白れっとやる御歳78歳。

アンコールのために書かれた、伊左治さんの三好達治「謎の音楽」による曲は、わざわざ狙って書いた調性音楽だけあって、人の声の美しさ、引き立つ。

どうでも良い話

2009-09-12 | music
最近、

キャンディードの「Glitter and be gay」
Bernstein Conducts Candide

Deutsche Grammophon

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と、

プーランクの「2台のピアノのための協奏曲」
プーランク / 2台のピアノのための協奏曲ニ短調
ラベック姉妹
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント

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にはまっています。

前者は本当に、最強に楽しくて最強に悲しい、こんなにワクワクしていいのかという感じ。
昨年藝大の松田トシ賞受賞記念で生で聴くまでは音源のみで、あまりにさらっと一流の人が歌うのを聴いてきたからコロラトゥーラとしての難しさを実感出来なかったのですが…聴いたらね…。
youtubeなどにもチェノウェスやダムラウ、デュセ(デセイ)等の動画が落ちてます。人によって、演出によって全く違うのでどれを観ても本当に楽しい。

後者は、昔はプーランクて全然良いと思わなかったんですが…。人間変わるものですな。
ラベック姉妹の魅力で2割増。
今年のPromsのBBC×ラベック姉妹の動画はネットにありました。
本当に素敵です。




明日は朝6時、起きてたらNHK-FMで「ノートルダム・ミサ」。

東京室内歌劇場「往きと復り」「妻を帽子と間違えた男」

2009-09-10 | music
Daiichi seimei Hall | The Tokyo Chamber Opera Theatre"Hin und Zurück","The man who mistook his wife for a hat"

9月6日、東京室内歌劇場41期第123回定期公演に行ってきました。

プログラムは、
パウル・ヒンデミット『往きと復り』
----interval----
マイケル・ナイマン『妻を帽子と間違えた男』


メモ程度で。


まさに室内オペラな小品2本立て。

ヒンデミットは10分程度でしょうか?あっという間に終わって、こういうのもアリか、という感じ。幕間劇、劇中劇、って感じです。
プログラムなどは見ていないので、「フィルムの逆回し技術をオペラでやってみた」という以外の本当の意図はわからないですが、逆回しと言っても本当に動きまで逆にまわすわけではないから結局往きで行った不可逆的な行為は元には戻らず、巻き戻った先は微妙に別の世界、「フィルムのようにはいかねーんだぜ!?現実は!」というところに面白さがあったのかな、という感じです。


目的だった「妻を帽子…」は、ちょっと微妙だったかな、と思います。
元々サックスの原著を読んでいる人間なので、オペラになってその面白さ(本当は面白がっちゃ失礼なのですが)が殆ど表現されていなかったような気がします。
Dr.サックスの本も症例を挙げているだけといえばだけなんですが、テキスト以上のイメージが、患者や周囲の苦労や驚き等々が伝わってくるんですね。ところが、ヴィジュアルとサウンドまで付いてもそれに負けている。

P夫妻とサックス教授3人の歌唱が、ある程度音程や音型のようなものを定めてからめられているのは面白く効果的に聴こえましたが(P夫人が後ろでせわしなくキャーキャーいってる感じとか)、オペラそのものの問題か、それとも演出の問題か。

演出も予算の制約やなんやらあるんでしょうが、もう少し頑張っても良かったのでは、と思いました。


でもヤ○オ●で大変お安く入手したので、オールOKです。



妻を帽子とまちがえた男 (サックス・コレクション)
オリバー サックス
晶文社

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Nyman: The Man Who Mistook His Wife for a Hat

CBS

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特別演奏会「グルッペン」

2009-09-03 | music
Suntory Hall | "SPECIAL CONCERT STOCKHAUSEN [GRUPPEN]"

8月29日、サントリー音楽財団創設40周年記念 サマーフェスティバル2009 MUSIC TODAY 21 特別演奏会「グルッペン」に行ってきました。

プログラムは、
ジェルジ・リゲティ『12人の女声と管弦楽のための「時計と雲」』
カールハインツ・シュトックハウゼン『3群のオーケストラのための「グルッペン」』
----interval----
カールハインツ・シュトックハウゼン『3群のオーケストラのための「グルッペン」』(2回目)

指揮:スザンナ・マルッキ、パブロ・ヘラス=カサド、クレメント・パワー
合唱:東京混声合唱団
管弦楽:NHK交響楽団



メモ程度で。

N響が日本初演して以来、35年ぶりに再びN響によって演奏された「gruppen」。

オーケストラⅠとオーケストラⅢのステージを、座席を潰してホールに特設する気合いのはいった演奏は、確かに音響的効果があったように思います(当たり前っちゃ当たり前ですが)。
グルッペン含めシュトックハウゼンの理論に精通してるわけでは全くないし、特に興味もないのでそういった観点からは聴けませんが、ここまでしただけあってサラウンド効果は体感。
「聴衆は席を移動して、空間を飛び交うクラングケルパー(音の実体)の変化を体験する」という作曲者の意図
なるほど、という感じ。

最初は囲まれた中央ブロック、2回目はオケⅠの正面2階席で聴きましたが、全体としての感じは2回目のほうが良かったか。勿論1回目の方が音の居場所は感じやすかったですがね。


関係ないですが、指揮が3人とも実にキュートでした。
ふわふわヘアのカサド、アンテルコンタンポラン監督でもあるマルッキ女史素敵、そのアシスタントのクレメント・パワー動きが可愛い。

そしてNHK技研による研究録音が96chという気合い。
放送予定は一切無いそうです。
一柳さんと野平さん、お見かけしました。
そんなでした。


「時計と雲」も良かったなー
やはり、架空のリゲティ帝国、の音楽。
生は一層異様。
サントリーの浮かんだ反響板見ながら聴いていたら変な気分になりました。

細川俊夫「班女」

2009-08-26 | music
Suntory Hall Blue Rose | Toshio HOSOKAWA opera"HANJO"

8月23日、細川俊夫のオペラ「班女」の日本初演2日目に行ってきました。

花子 : 半田美和子
実子 : フレドリカ・ブリレンブルク
吉雄 : 小森輝彦

指揮はヨハネス・デーブス
演奏は東京シンフォニエッタ



演者が3人で、能舞台にインスピレーションを得た橋掛りのある小さな舞台がブルーローズ内に特設され、脇で東京シンフォニエッタが演奏するという形式。
座席が正面最前列だったため、歌手が近い近い…1mくらい?
こんな間近でオペラを観るのは初めてです。

内容としては、原作が三島の近代能楽集で魅力的な話だし、音楽も細川さんらしく、小編成でも重く、冷静な激情を感じさせるもの。
1幕6場の70分強とコンパクトでこの手のものとしては妥当なヴォリューム。

それなりに良かったとは思うんですが、何というかちょっと予定調和的というかオペラとしては物足りない作品であったようにも感じます。
美術も非常に簡素で、それが日本的で〝間″の表現と言いたいのかもしれませんが、それが研ぎ澄まされたものかというと、疑問。
オートマティスムの〝書″っぽい背景は見ようによって如何様にもとれて、雰囲気はありますが・・・。

それは別に、ザ・オペラなゴージャスな演出を求めるということでは全然無く・・・ただ、狙ったとおりの演出効果があったのかどうか、ということで。

これに限らず、アジアの作曲家における「東洋と西洋」という永遠の問題、葛藤はプログラムノートでも触れられているし、今年のテーマ作曲家であるウンスク・チンもこのことについて語っています。
考え出すと難しすぎる、この問題・・・。
ニュー・プロダクションということで、前の演出はどういった感じだったんでしょうかね。

前述の、東洋人による西洋音楽ということに関して、日本語の原作をドナルド・キーンが英訳したものを敢えてベースにするなど、様々なフィルターを通して制作されたようで、そんなに簡単な話ではないんだとは思いますが、「能のもつ本質を全く違ったかたちでよみがえらせたい」これが叶ったかどうかは疑問です。
ここには細川さんが海外で非常に評価されていることとの繋がりもあるような気がします。


まあ、でもいつも通り色々考えて、広い意味では楽しんだので。
実子役のフレドリカはさすがに初演以来何度も歌っているだけあって、凄く安定していました。
吉雄役の小森さんは、失礼な言い方かもしれませんが、声が憎々しくて(普段はどうなのかはわかりません)残念な感じの吉雄にある意味あっていたように思います。
花子役の半田さんは良いところ、もったいないところ、両方。
でも、これ難しいですよね…きっと。オペラの演技、全くわかりませんが。普通のオペラとは演技の仕方も変わってくるだろうし。
語り(セリフ)と歌の対比はあまり有効に感じられなかったですがね…




ラスト、結局このお話を通して何も進まなかったし何も変わらなかった花子の世界(だって、花子の世界では現実に存在しているリアル吉雄は吉雄では無いんですからね。訪問してきたのは、ただの通りすがりの風のようなものでしょう)にはズシリとくるものがありました。
そして、実子。

トータルとしては上に書いた感じでしたが、音楽の響きとストーリーが相俟って非常に感動的で涙脆い私は眼に汗じんわりな部分もあっただけに、「なんだか、もったいないなぁ」というのが正直な感想かもしれません。


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