Suntory Hall Blue Rose | Toshio HOSOKAWA opera"HANJO"
8月23日、細川俊夫のオペラ「班女」の日本初演2日目に行ってきました。
花子 : 半田美和子
実子 : フレドリカ・ブリレンブルク
吉雄 : 小森輝彦
指揮はヨハネス・デーブス
演奏は東京シンフォニエッタ
演者が3人で、能舞台にインスピレーションを得た橋掛りのある小さな舞台がブルーローズ内に特設され、脇で東京シンフォニエッタが演奏するという形式。
座席が正面最前列だったため、歌手が近い近い…1mくらい?
こんな間近でオペラを観るのは初めてです。
内容としては、原作が三島の近代能楽集で魅力的な話だし、音楽も細川さんらしく、小編成でも重く、冷静な激情を感じさせるもの。
1幕6場の70分強とコンパクトでこの手のものとしては妥当なヴォリューム。
それなりに良かったとは思うんですが、何というかちょっと予定調和的というかオペラとしては物足りない作品であったようにも感じます。
美術も非常に簡素で、それが日本的で〝間″の表現と言いたいのかもしれませんが、それが研ぎ澄まされたものかというと、疑問。
オートマティスムの〝書″っぽい背景は見ようによって如何様にもとれて、雰囲気はありますが・・・。
それは別に、ザ・オペラなゴージャスな演出を求めるということでは全然無く・・・ただ、狙ったとおりの演出効果があったのかどうか、ということで。
これに限らず、アジアの作曲家における「東洋と西洋」という永遠の問題、葛藤はプログラムノートでも触れられているし、今年のテーマ作曲家であるウンスク・チンもこのことについて語っています。
考え出すと難しすぎる、この問題・・・。
ニュー・プロダクションということで、前の演出はどういった感じだったんでしょうかね。
前述の、東洋人による西洋音楽ということに関して、日本語の原作をドナルド・キーンが英訳したものを敢えてベースにするなど、様々なフィルターを通して制作されたようで、そんなに簡単な話ではないんだとは思いますが、「能のもつ本質を全く違ったかたちでよみがえらせたい」これが叶ったかどうかは疑問です。
ここには細川さんが海外で非常に評価されていることとの繋がりもあるような気がします。
まあ、でもいつも通り色々考えて、広い意味では楽しんだので。
実子役のフレドリカはさすがに初演以来何度も歌っているだけあって、凄く安定していました。
吉雄役の小森さんは、失礼な言い方かもしれませんが、声が憎々しくて(普段はどうなのかはわかりません)残念な感じの吉雄にある意味あっていたように思います。
花子役の半田さんは良いところ、もったいないところ、両方。
でも、これ難しいですよね…きっと。オペラの演技、全くわかりませんが。普通のオペラとは演技の仕方も変わってくるだろうし。
語り(セリフ)と歌の対比はあまり有効に感じられなかったですがね…
ラスト、結局このお話を通して何も進まなかったし何も変わらなかった花子の世界(だって、花子の世界では現実に存在しているリアル吉雄は吉雄では無いんですからね。訪問してきたのは、ただの通りすがりの風のようなものでしょう)にはズシリとくるものがありました。
そして、実子。
トータルとしては上に書いた感じでしたが、音楽の響きとストーリーが相俟って非常に感動的で涙脆い私は眼に汗じんわりな部分もあっただけに、「なんだか、もったいないなぁ」というのが正直な感想かもしれません。
8月23日、細川俊夫のオペラ「班女」の日本初演2日目に行ってきました。
花子 : 半田美和子
実子 : フレドリカ・ブリレンブルク
吉雄 : 小森輝彦
指揮はヨハネス・デーブス
演奏は東京シンフォニエッタ
演者が3人で、能舞台にインスピレーションを得た橋掛りのある小さな舞台がブルーローズ内に特設され、脇で東京シンフォニエッタが演奏するという形式。
座席が正面最前列だったため、歌手が近い近い…1mくらい?
こんな間近でオペラを観るのは初めてです。
内容としては、原作が三島の近代能楽集で魅力的な話だし、音楽も細川さんらしく、小編成でも重く、冷静な激情を感じさせるもの。
1幕6場の70分強とコンパクトでこの手のものとしては妥当なヴォリューム。
それなりに良かったとは思うんですが、何というかちょっと予定調和的というかオペラとしては物足りない作品であったようにも感じます。
美術も非常に簡素で、それが日本的で〝間″の表現と言いたいのかもしれませんが、それが研ぎ澄まされたものかというと、疑問。
オートマティスムの〝書″っぽい背景は見ようによって如何様にもとれて、雰囲気はありますが・・・。
それは別に、ザ・オペラなゴージャスな演出を求めるということでは全然無く・・・ただ、狙ったとおりの演出効果があったのかどうか、ということで。
これに限らず、アジアの作曲家における「東洋と西洋」という永遠の問題、葛藤はプログラムノートでも触れられているし、今年のテーマ作曲家であるウンスク・チンもこのことについて語っています。
考え出すと難しすぎる、この問題・・・。
ニュー・プロダクションということで、前の演出はどういった感じだったんでしょうかね。
前述の、東洋人による西洋音楽ということに関して、日本語の原作をドナルド・キーンが英訳したものを敢えてベースにするなど、様々なフィルターを通して制作されたようで、そんなに簡単な話ではないんだとは思いますが、「能のもつ本質を全く違ったかたちでよみがえらせたい」これが叶ったかどうかは疑問です。
ここには細川さんが海外で非常に評価されていることとの繋がりもあるような気がします。
まあ、でもいつも通り色々考えて、広い意味では楽しんだので。
実子役のフレドリカはさすがに初演以来何度も歌っているだけあって、凄く安定していました。
吉雄役の小森さんは、失礼な言い方かもしれませんが、声が憎々しくて(普段はどうなのかはわかりません)残念な感じの吉雄にある意味あっていたように思います。
花子役の半田さんは良いところ、もったいないところ、両方。
でも、これ難しいですよね…きっと。オペラの演技、全くわかりませんが。普通のオペラとは演技の仕方も変わってくるだろうし。
語り(セリフ)と歌の対比はあまり有効に感じられなかったですがね…
ラスト、結局このお話を通して何も進まなかったし何も変わらなかった花子の世界(だって、花子の世界では現実に存在しているリアル吉雄は吉雄では無いんですからね。訪問してきたのは、ただの通りすがりの風のようなものでしょう)にはズシリとくるものがありました。
そして、実子。
トータルとしては上に書いた感じでしたが、音楽の響きとストーリーが相俟って非常に感動的で涙脆い私は眼に汗じんわりな部分もあっただけに、「なんだか、もったいないなぁ」というのが正直な感想かもしれません。
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