うさこさんと映画

映画のノートです。
目標の五百本に到達、少し休憩。
ありがとうございました。
筋や結末を記していることがあります。

0164. The Gauntlet (1977)

2006年11月25日 | 1970s
ガントレット/クリント・イーストウッド
109 min USA


The Gauntlet (1977)
Directed by Clint Eastwood. Writing credits Michael Butler and Dennis Shryack. Cinematography by Rexford L. Metz. Performed by Clint Eastwood (Ben Shockley) and Sondra Locke (Gus Mally).



監督と主演をこなしたイーストウッドはまだ若い。1930年生まれ、この作品の時点で三十代なかば。でもこのひとは、感心するくらい雰囲気が変わらない。6フィート4インチ(1.93メートル)という背のたかさはそのまま、髪を白くして皺をふやせば今の顔になる。

ここでは証人になる娼婦を法廷まで護送する警察官を演じている。上司はスキャンダルをかくしていて、発覚をおそれて証人を抹殺しにかかる。定型どおりのストーリーだった。

山場は一斉射撃のシーンだろう。主役はバスをのっとって、証人と二人で法廷にむかう(「おれはただしいことをしている、だからバスをのっとってもゆるされる。バイクを盗んでもゆるされる、ひとを殺してもゆるされる」)。ところが悪役の上司の采配で、銃をかまえたおおぜいの警察官が配置されている。進んでくるバスにむかって、警官たちは大量の銃弾を浴びせる。ヒーローとヒロインは、鉄板で保護した運転席を死守しながら法廷にたどりつく。畏敬にうたれたように立ちつくす警官たち。おしまい。

アメリカン・ムーヴィーでスターの役柄といえば、まずはタフガイ系ヒーローが思いうかぶ。「ガンマンの系譜」である。この作品はその点でも典型的……と書くといかにもファロス神話のラベルがぺたりとはりつきそうだけれど(笑)、アメリカン・ヒーローの条件はかわらない。一にルックス、二に腕力。三、四がなくて五に弁舌。映画史上の「タフガイ」は誰から始まるの? ダグラス・フェアバンクス・シニアかな。



メモリータグ■ヒーローとヒロインが二人で貨車にのりこむと、まちかまえていたように「ならず者」たちに襲われる(ほんとうは、かれらはそのまえに主人公にバイクを奪われた被害者です)。ヒーローはとっさに銃を干草のなかに隠して手首を縛られるままになる。彼を助けようとヒロインはグリーンのシャツをはだけ、胸をさらして男たちを誘う(アメリカでメジャー興行の作品にヌードやセミヌードが使われるのは、おそらく1970年前後だけでは)。そこで主人公は憤然と縄をひきちぎって立ち上がり、隠しておいた銃を手に、暴行をくいとめる。ふふ、缶詰のほうれんそうがでてきそう。

#こうした状況で最後まで立ち上がれない男性主人公が出てくる例は、ヒッチコックの『裏窓』くらいでは。足をギプスに覆われた男が持っているのは銃ではなく、望遠レンズだけだった。ヒッチコックいいなあ、なさけなくて。




最新の画像もっと見る