最近Twitter、Facebookで話題になり、かつ同僚レジデントとも話題になったことです
同僚曰く
「ミシガン大家庭医で診る患者さんが、誰に診てもらっているかに関係なく殆ど同じパターンの治療を受けていることに驚いた」
例えば糖尿病でのメトフォルミン、心不全でのメトプロロール、降圧剤としてのハイドロクロロサイアザイド
確かにアテンディング、レジデント含め100人以上がケアする患者さん達の治療内容が
極めて統一されているのは以前から感じていました
例えば、入院した患者さんの薬をレビューする時に
「何じゃこの薬?」とか「どうしてこれを服用していないんだ?」と思う事が殆どありません
逆に、疑問に思って患者さんに問いただしてもはっきりしない場合は
過去のカルテをさかのぼると、「なるほど」というイベントが記載してあり納得することが多いのです
思い返せば、日本で診療していた時はこのような「統一感」を感じることはあまりありませんでした
こうした「医療の標準化」を達成するための仕掛けは日々の診療の中にたくさん埋もれています
例えば
そして一番大きいのがCieloシステムです
Cielo systemを簡単に説明すると、
「患者さんのプロファイル(年齢、性別、プロブレムリストなど)から自動で作成されるリマインダー」でしょうか
患者さんが外来を受診すると、医師はその患者さんの診療に関連するリマインダーの一覧用紙を渡されます
ここに含まれる情報は
例えば65歳男性で糖尿病の患者さんでは
1年以内の便潜血によるがん検診もしくは10年以内の大腸内視鏡をしていなければ「大腸がん検診」のリマインダーが出ます
ちなみに前立腺がん検診に関しては
「前立腺がん検診について話題に出すこと」というリマインダーが出ます
「前立腺がん検診をすすめる」ではありません
そしてこのリマインダーに対して、自分がどのようなアクションをとったかチェックマークをつけて提出する必要があります
糖尿病では眼科受診もありますが
受診ごとに測定される血圧から自動的に
「血圧の厳格なコントロール」というリマインダーが出ます
これは「2型糖尿病の管理では、血糖管理よりも厳格な血圧コントロールが一番重要である」という知見をもとにセットされたリマインダーです
こうして患者さんの受診ごとに用紙を渡されますが
この用紙は指定の回収ボックスに毎日提出します
そして毎月、医師ごとにこの用紙の提出率、必要なアクションがどれだけとられているかという率が一覧になってメールでフィードバックされます
こうした様々な投資によって、自動的に「標準」が刷り込まれていくのですが
こうしたガイドライン、プロトコールの背景にあるエビデンスを理解し
自分の患者さんのnarrativeとすりあわせる真のEBM
Artの部分も重要です
その部分は日々の外来プリセプティングなどで議論されるのですが
現在のレジデント教育では、エビデンスの解釈という点が少し弱いかと感じています
レジデンシーはじめにあるBlock monthでかなりEBMについてのセッションがありますが
普段は月に1回のJournal Clubがメインです
Journal Clubなどを通じてのやりとりからは、各レジデントがどの程度個々の論文やガイドラインを理解しているかには疑問を感じています
例えばLR(尤度比)、RR(relative risk)、ARR(Absolute Risk Reduction)など
もしかしてあんまり分かっていない?意識していない?と思われる同僚もいます
昨年まではEBMのメッカMcmaster大学出身のアテンディングがいて熱心にレジデント教育をしていたのですが
その先生が栄転で辞めてからは、Journal Clubが形骸化している感じがします
自分の得意分野なのでなんとかしたい気はあるのですが、既にシニアプロジェクトを2つ抱えているので
とりあえず二の足を踏んでいます
同僚曰く
「ミシガン大家庭医で診る患者さんが、誰に診てもらっているかに関係なく殆ど同じパターンの治療を受けていることに驚いた」
例えば糖尿病でのメトフォルミン、心不全でのメトプロロール、降圧剤としてのハイドロクロロサイアザイド
確かにアテンディング、レジデント含め100人以上がケアする患者さん達の治療内容が
極めて統一されているのは以前から感じていました
例えば、入院した患者さんの薬をレビューする時に
「何じゃこの薬?」とか「どうしてこれを服用していないんだ?」と思う事が殆どありません
逆に、疑問に思って患者さんに問いただしてもはっきりしない場合は
過去のカルテをさかのぼると、「なるほど」というイベントが記載してあり納得することが多いのです
思い返せば、日本で診療していた時はこのような「統一感」を感じることはあまりありませんでした
こうした「医療の標準化」を達成するための仕掛けは日々の診療の中にたくさん埋もれています
例えば
- ミシガン大で作成されているガイドライン
- レクチャーなどによる最新知識のアップデート
- pay for performanceに対するクリニックごとの取り組み
- 入院オーダーのセット化
そして一番大きいのがCieloシステムです
Cielo systemを簡単に説明すると、
「患者さんのプロファイル(年齢、性別、プロブレムリストなど)から自動で作成されるリマインダー」でしょうか
患者さんが外来を受診すると、医師はその患者さんの診療に関連するリマインダーの一覧用紙を渡されます
ここに含まれる情報は
- 年齢、性別
- 主治医
- がん検診
- 予防接種、喫煙
- 慢性疾患のプロブレムリスト
- 急性疾患のプロブレムのリスト
- 慢性疾患に関してカバーするべき診療内容 などです
例えば65歳男性で糖尿病の患者さんでは
1年以内の便潜血によるがん検診もしくは10年以内の大腸内視鏡をしていなければ「大腸がん検診」のリマインダーが出ます
ちなみに前立腺がん検診に関しては
「前立腺がん検診について話題に出すこと」というリマインダーが出ます
「前立腺がん検診をすすめる」ではありません
そしてこのリマインダーに対して、自分がどのようなアクションをとったかチェックマークをつけて提出する必要があります
糖尿病では眼科受診もありますが
受診ごとに測定される血圧から自動的に
「血圧の厳格なコントロール」というリマインダーが出ます
これは「2型糖尿病の管理では、血糖管理よりも厳格な血圧コントロールが一番重要である」という知見をもとにセットされたリマインダーです
こうして患者さんの受診ごとに用紙を渡されますが
この用紙は指定の回収ボックスに毎日提出します
そして毎月、医師ごとにこの用紙の提出率、必要なアクションがどれだけとられているかという率が一覧になってメールでフィードバックされます
こうした様々な投資によって、自動的に「標準」が刷り込まれていくのですが
こうしたガイドライン、プロトコールの背景にあるエビデンスを理解し
自分の患者さんのnarrativeとすりあわせる真のEBM
Artの部分も重要です
その部分は日々の外来プリセプティングなどで議論されるのですが
現在のレジデント教育では、エビデンスの解釈という点が少し弱いかと感じています
レジデンシーはじめにあるBlock monthでかなりEBMについてのセッションがありますが
普段は月に1回のJournal Clubがメインです
Journal Clubなどを通じてのやりとりからは、各レジデントがどの程度個々の論文やガイドラインを理解しているかには疑問を感じています
例えばLR(尤度比)、RR(relative risk)、ARR(Absolute Risk Reduction)など
もしかしてあんまり分かっていない?意識していない?と思われる同僚もいます
昨年まではEBMのメッカMcmaster大学出身のアテンディングがいて熱心にレジデント教育をしていたのですが
その先生が栄転で辞めてからは、Journal Clubが形骸化している感じがします
自分の得意分野なのでなんとかしたい気はあるのですが、既にシニアプロジェクトを2つ抱えているので
とりあえず二の足を踏んでいます