今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

外来のビデオレビュー

2009-02-28 13:13:52 | 教育
外科の先生が休暇中のため、今日は一日クリニック

クリニックのカンファルームで3月の誕生会の昼食をとった後の一時間は、psychologyの先生とビデオレビュー

1週間前に診た患者さんのうち3人分をビデオに撮ってあります

撮影当日はそのpsychologyの先生がリアルタイムで観察したうえで、フィードバックをしてくれており

今日はそのビデオを見ながら、さらにフィードバックをいただきました

仕組んだものなのか、たまたまなのか、3例とも小児でかつ対象的な3例(プライバシー保護のため詳細は微妙にアレンジ)

1.4歳で健康な女児のwell child exam(けんしん)
2.1歳でDi George 症候群の男児のウイルス肺炎後の中耳炎疑い
3.10歳で健康な男児がレスリングのクラブ活動中に下腿打撲


1例目

自己評価
 社交的な女児で、健康の心配も少なかったため、終止女児とのラポールがとれていた

フィードバック
 大きな改善点は無く、細かい用語の問題のみ
  • 子供には 'toilet' よりも 'potty'
  • お漏らしは 'accident'


2例目
 こちらは1例目と対象的に反省が多く、1例目で時間をとって遅れ気味だったことと、医学的に問題のある症例のため情報収集に気をとられたことが背景にあり

自己評価
  • コミュニケーションとしては、相手の言葉に対して一つ一つ相づちが入っていたのだが、共感の表現がミニマムで、目の当たりにするとショックですらある

フィードバック
  • 最初の挨拶で自己紹介はしたが、相手が両親であることを確認しなかった(名前まで尋ねる必要は無いが、相手の役割は確認するべし)
  • 母親が表していた、心配の表現に対する共感の言葉が少なかった(あっさりしすぎ)
  • パソコンで以前の情報を収集する時に、一言「ちょっとカルテ確認しますね」「このパソコン遅いんですよね」など実況中継があるとよい
  • 母親が殆ど答えていたが、父親の意見も一度は伺うと良かった


3例目は残念ながら時間切れで、あとで1人でビデオを見ました


ところで、こうしたビデオレビューは毎年定期的に行いますが

1年目は患者さんとのコミュニケーションに関するものが主な目的です

別に要望を出したわけではありませんが、内科を主にやってきた自分としては

子供と保護者(主に親)の両方とコミュニケーションをはかる必要がある小児に不慣れなため

今回の症例選択は絶妙でした

実はこうしたビデオレビュー

名大にいた頃から、指導する側として何度も携わっていましたが

学習者としてやってほしいと切望しながら、これまで実現していなかったことです

ようやく実現したうれしさと、2例目でみた自分があまりにも「共感の態度がとれていない」ことに対するショックとでいっぱいです

このショックが改善に繋がれば良いのですが

ちなみに今回のフィードバックにはクリニックの副ディレクターの先生も同席しており

来年やってくるインターンのオリエンテーションで小児診察の新しいセッションを考えており

私のビデオをそのネタに使えないかと見に来られたようです

どうやら良いネタらしく「採用決定」ということで「使っても良い?」と聞かれましたが

まあ、嫌とは言えません・・・ 

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