今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

飛び込みお産

2009-06-13 11:39:25 | 家庭医療
「家庭医の先生、ERに電話をして下さい」と院内放送が流れました

つい1分前に、ERからポケベルがなって、シニアレジデントが電話をしに行ったばかりです

「何か緊急が起きているに違いない」と思いERに向かって歩き出すと

「STAT, Delivery in ER」とポケベルが鳴りました

STATとはラテン語でSTATIM

英語ではImmediately、日本語では「緊急」

昨年もチェルシーのERでお産がありましたが、そもそもチェルシー病院にはお産病棟がありません

当然、産科医もいません

一応ERの先生もお産に対応できますが、不慣れなため家庭医が呼ばれます

といっても、呼ばれた時間は午後3時で回診終了後、

前回同様、アテンディングは院内におらず

2年目のシニアと、1年目の自分しかいません

ドキドキしながら行ってみると、お腹の大きな黒人の妊婦さんがベッドでうなっています

周りを母親、姉妹とおぼしき女性が5人取り囲んでいます

話を聞くと、既に4人産んでいる経産婦さん

「予定日は?」と聞くと

「先月まで生理があったので、妊娠に気づいたのはつい最近」とのことで

「今陣痛を起こしているんだから、今日が予定日でしょ」とお母さんが笑っています

周産期ケアはもちろん受けておらず

これまでの出産も、周産期ケア無しで、ランダムに病院を選んで飛び込み出産を繰り返していたようです

しかも、話を総合すると

  • 前回の出産前に心臓の穴を手術した
  • 前回の出産時はpreeclampsiaをおこしていた
  • 前回の出産後に、脳梗塞を起こしていた

さらに、現在の血圧は 175/85

・・・

ヤバいじゃん・・・


内診所見、陣痛の具合などから

「まだ間に合う」と判断し

ミシガン大へ救急車で搬送としました

ちなみにエコーで赤ちゃんは推定38週でした


それにしても・・・ちゃんと周産期ケア受けましょうよ、みんな~




チェルシーの街並

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