今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

家庭医の専門性

2008-04-16 11:58:08 | 家庭医療

先週末、家庭医療学会の指導医講習会がありました


平成20年度 第1回 家庭医療後期研修プログラム指導医養成のためのワークショップ


私は参加できませんでしたが、参加してきた三つ葉在宅クリニックの舩木先生とディスカッションしました


主に岡田先生のセッションに参加して、舩木先生が考察した内容がトピックです


 家庭医の専門性はどこにあるのか?という自分たちの視点よりも、


患者さんの視点「家庭医にかかりたい」と思わせるユニークネスは何か?


医療サイドからの専門性だけみていてもはっきりしません


例えば、プライマリ・ケアの5つの理念

  • 近接性
  • 包括性
  • 協調性
  • 継続性
  • 責任性


例えば、家庭医を特徴づける能力

  • 患者中心・家族志向の医療を提供する能力
  • 包括的で継続的、かつ効率的な医療を提供する能力
  • 地域・コミュニティーをケアする能力

特定非営利活動法人 日本家庭医療学会認定後期研修プログラム(バージョン1.0)より抜粋



継続性でしょうか?

「継続的にみてくれる町のお医者さんは沢山います」


包括性?

「何でも聞いてくれる、開業医の先生はいらっしゃいます」


昨年10月に医療制度の変革の底流にあるもの~家庭医療はどこへ行くのか?で、「日本の家庭医療にフィールドはほとんどない」と過激な意見を書きましたが、自分の専門性ばかり強調しているようであれば、やっぱり状況は変わらないように思います


人々は自分のお医者さんに何を求めているのでしょうか?


安心感!!


すなわち

「この先生にかかりたい 」

     ↑

「この先生にかかっておけば安心」

      ↑

「いつでもみてくれる」と「すぐにみてくれる」


すなわち

フルの一次救急を如何に提供するか?

(ちなみに崩壊しつつありますが、病院は二次救急)


ソロプラクティスで、「いつでも、すぐに対応してくれる」お医者さんはいらっしゃいます


TFCでも、過去にその話は出ていました


患者さんに自分の携帯番号を渡すことによって、患者さんの安心感に結び付けている

 

それを自らの信念として語り、大事にされていた(いる)のが故田坂先生であり、友人の守屋先生です

 

ただ、ソロプラクティスでそれを継続する場合、医師の身体的、精神的負担はあまりに大きいのです

 


そこで

「グループ診療による、24時間対応」

 

ソロプラクティスで既に開業していると難しいですが


逆に、これから参入する家庭医にとって一つのあり方ではないか?

 

「家庭医」ではありませんが、


在宅のグループ診療で「いつでも、すぐにみてくれる」を文字通り実践している舩木先生だからこその説得力がありました

 

アメリカの家庭医はグループ診療が基本ですが

 

「いつでも、すぐに」をちゃんと実践しているかといわれると疑問のようです


理想的なグループ診療のありかた


アメリカで学んでくる大きなテーマになりそうです


以前から漠然と考えていたようなことが、舩木先生と話すと霧がはれて、クリアになります


ありがたいです