映画と音楽そして旅

主に懐かしい映画や音楽について…
時には新しい映画も…

(妄想ひとり旅) (13) 「河口湖」

2006-03-30 00:11:17 | 旅 おでかけ
 乙女峠で一日過ごしたので茶店の軒先を借りて泊まることにしました。
昔はここに関所があって旅人は留め置かれたので、「お留」→「乙女」に転化したそうです。
 ところで今までは富士山を東方向から写したので、次は北方向から撮ることにしました。と云うことは「河口湖」あたりになる訳ですが,カーナビで調べたら東名高速 御殿場ICあたりから国道138号線を行けば良いそうです。しかし昭和6年時点ではそんな道は勿論ありませんので、草深きあるのか,ないのかさっぱりわからない道を草木をかきわけながら山道を辿りました。
 そのうちパッと視界が開けたと思うと、木の陰からやっと河口湖が見えてきました。太陽光線の関係もあり湖畔の道を辿りながら、夕暮れ近い富士山の撮影に適した場所を探すのが大変でした。
 静まり帰った湖面を見つめていると、ふと思い出した歌がありました。
   <山の寂しい湖に 一人来たのも悲しい心>
 戦前にの高峰三枝子のヒツト曲ですが、私が一番好きなところは‥
  <水にたそがれ迫る頃 岸の林をしずかに行けば
   雲は流れてむらさきの  うすきスミレにほろほろと
   いつか涙の陽が落ちる(作詞 佐藤惣之助 作曲 服部良一「湖畔の宿」)
 私には姉が二人もいたので子供の頃から、こんな叙情歌謡ばかり聴きながら育ちました。覚えなければ不思議です。もう一つお気に入りの歌もがありました。
  <落ち葉散る散る山あいの 青い静かな湖恋し
   星かすみれか真珠の玉か 乙女ごころの夢のいろ 夢のいろ>
  (作詞 西条八十 作曲 早乙女光 「湖畔の乙女」)
 はかなく消えた淡い恋に打ち沈む傷心の女性と、山あいの美しい自然風景‥はるか遠いふるさとの湖に、思いを馳せる乙女心が伝わってくるようです。
 草むらに腰を下ろし懐旧の念に駆られているうちに、いつの間にか陽は西に沈み静かな湖面は鉛色に沈んで夕闇が迫って来ました。
   
昭和初期のモノクロ写真は正確には、北ではなく西北方向になりますが、静かなたたずまいを見せるこのの写真からは、観光客で賑わう現在の河口湖は想像出来ませんね。
 昨年11月に私は富士五湖を訪れましたが、その頃のブログに記事を書きましたのでよろしければご覧下さい。