映画と音楽そして旅

主に懐かしい映画や音楽について…
時には新しい映画も…

〔CD雑記帳)「あの日にかえりたい」 〔荒井由美)

2006-03-02 00:11:32 | 音楽
 CDアルバム「私の青春譜」より 作詞/作曲 荒井由美 編曲 松任谷正隆
 <悩みなき きのうのほほえみ
  わけもなく にくらしいのよ
  青春の後姿を 
  人はみな 忘れてしまう
  あの頃のわたしに戻って 
  あの人に会いたい>

 深夜放送に親しんでいた四十代の頃‥こんな歌に耳を傾けながら、もう返らない遠い時代に思いを馳せることがありました。
 のびのびと自由で何の心配もなかったあの頃‥青春の後姿‥そうかなぁ‥人はみんなそんなに簡単に、青春時代の軌跡を忘れてしまうものなのかなぁ‥
 私は今でも忘れていないけど‥今でもしっかり覚えているけど‥
 でもあの頃に戻って見たい‥出来るものなら‥そうして見たいです。
 
 忘れたい程つらい哀しい青春の記憶‥泣きながら写真を破って‥その後でそっとつなげてみる‥そんなロマンチックな恋を想像したり、憧れたことってあったのかなぁ‥ちょっぴりはあったかな‥でも本気で考えたことは、あんまり記憶にありませんでしたね‥
 あの頃は映画や音楽マニアの友達とそれらしき話題になっても、単に「映画」や「小説」の上での話題であって、直接「恋」とか「愛」とかにつながるものではなかったし、どうせ虚構の世界‥現実に起こり得るはずがない‥みんながお互いにそう思っていたから、なにも起こらないのが当たり前でした。
 あの頃私たちの憧れと云えば世界の恋人‥オードリー・ヘップバーンであり、グレゴリー・ペックでしたから‥最初から望みが高すぎて大物ばかりを狙っていた人ばかりでしから、永遠に噛み合う筈がありませんでした。
 「ローマの休日」みたいな世界にハマルことで、現実逃避したいと云う人間ばかりの集まりでしたから、リアリティの世界に戻るようなことは考えませんでした。
 それでも現実的なハードルをクリアして0.1%未満の確率で、仲間同士でゴールインしたカップルが出来ると、それはそれは大変でみんなの祝福の嵐に包まれて‥機関誌には第一面トップ記事の新居訪問と直撃インタビュー、それは現代の週刊誌かワイド・ショーなみの扱いでした。
 でも私たちの真実の気持ちは祝福と同時に羨望よりも、これで「二人の青春は終わった‥」と云う同情の気持ちもありました。
 現実的な悩みはいっぱい抱えながらも、シネマやミュージックの世界に浸ることで、その日その日をなんとか生きていたあの青春の日々‥ 

 やがて迎えた中年時代‥家族たちの生活を守るために、一転して「働き蜂」一筋に大変身‥転んでも只では起きない私は、そこで深夜放送に出会いました。
 でも若い頃ほどはハマリこめませんでした。それは大人としての分別が出来てきたことと、年齢のせいか‥なによりも「睡魔」には勝てず、夢うつつで聴いていたからです。
 それがまた勤務中と云うことを忘れるぐらい、夢幻的な雰囲気で‥それであの頃の音楽にはやはり思い出が多いのです。