映画と音楽そして旅

主に懐かしい映画や音楽について…
時には新しい映画も…

〔シネマ〕(74)またも見ました「めぐり逢い」(リメイク版)

2006-03-01 00:15:29 | 映画
 ストリーもラストもが判っているリメイク版と云うものは、大体退屈なもの‥と思いこんでいた私は、今まであまり観たことがありませんでした。しかしこの映画に限っては、最後まで楽しんで見る事が出来ました。
 ストリーは1957年の旧作と大きく変わりませんが、この映画の見所はストリーがどうの‥と云うよりも、随所に見られるマイク(ウオーレン・ベイティ)とテリー(アネット・ベニング)の軽妙な言葉のやり取りでしょう。
 冒頭の二人の会話を聞いて安心したことが一つありました。それは「記憶の減退」についてですが、テリーの説によると、これは「年齢」は関係なく「ストレスの集積」が原因だ‥そうです。
 最近はよく物忘れしたり物覚えが悪くなりましたが、これは「年齢のせいじゃないよ‥情報過多の日常のせい」で、ちょっと脳内パソコンが‥という事にして置きましょう。〔とりあえず‥気休めですが)
 
 最も期待した場面は寄港した島に住んでいる、ジニー叔母さん(キャサリン・ヘップバーン)を訪問するところですね。叔母さんは彼女が気に入ってマイクのことをいろいろと話します。そしてピアノを弾いて‥旧作ではここでテリー(デボラ・カー)が歌うのですが‥リメイク版では、何故か歌はありませんでしたね。
 地中海に面した南フランスの風光も素敵でしたが、新作の牧歌的な田園風景も落ち着いて良い雰囲気でした。初対面から心が通じ合った二人の女性の別れの情景は、新旧どちらも良かったです。
 ラストの会話はどちらもほぼ同じような感じに思いました。待ち合わせ場所のエンパイヤ・ステート・ビルに来られなかった理由について‥どちらもが意地を張って遠回しの言い方をします。
 会話が噛み合わないまま‥サヨナラになりそうになった時‥始めて彼が知った彼女の真実‥結末が判っていても、やっぱりドキドキするしハッピーなラストが見えて来た時は、ホッとしてほのぼのと心が暖かくなりました。

 水の都ヴェニスを舞台に繰り広げられたラヴ・ロマンス‥「旅情」あれからご無沙汰のキャサリン・ヘップバーンでしたが、彼女はこの作品で名言を残しました。
 叔母さんは今幸せ?と云う問いに対して次のように語ります。
 「幸せを得ることはそれ程難しいことではない‥その幸せをいつまでも持ち続けていくことの方が難しいのよ‥」
 ほんとにその通り‥人生経験豊かな、彼女の言うことですから間違いありませんよ。
 「今、生きている幸せと充実感‥これを心豊かな未来に向けて、いつまでも大切にして行こうね‥」と云っているように感じました。これはマイクとテリーに対する、叔母としてのメッセージだったのかも‥
 この大女優もすでに他界して、オールド・フアンは尚一層寂しくなりました。
 
 マイクとテリー役のスターたちも良かったですね。旧作もリメイク版も一見コミカルなようで適度におセンチなムードも醸し出して、さりげない会話の中にちりばめられたユーモアとウイットを楽しむ映画のようでした。
 前のブログで触れた「めぐり逢えたら」の中で、旧作「めぐり逢い」にハマリこんでいたサニー(メグ・ライアン)が、このリメイク版を見ていればどんな風に感じたでしょうか‥などと俄かに気になってきました。。
 いずれにしてもあまり頭を使わずに、二人の会話を聴きながら気分よく観られた楽しーい映画でした。

 57年の「めぐり逢い」やっぱりもう一度‥じゃない‥新旧合わせて四度目‥を観たくなりました‥