映画と音楽そして旅

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(シネマ雑記帳) (77) アメリカ映画 「噂の二人」

2006-03-14 00:32:02 | 映画
 この作品も少し苦手とする分野だったので、一歩引いて敬遠していたのですが、我が敬愛するオードリー・ヘップバーンの作品なので、避けて通るわけには行きませんのでレンタルして観ました。
 カレン(A・ヘップバーン)とマーサ(シャーリー・マクレーン)は同じ女学校に勤める女教師ですが、日頃から反抗的な生徒メアリーの告げ口で、二人は特別な関係ではないか‥と疑いの目を向けられます。職を失い世間の好奇の目にさらされ、婚約者ジョー(ジェームズ・ガーナー)もカレンの元を去って行きます。
 あの「ローマの休日」から9年も経ち今まで「王女さま」「下町の娘」「貴族の令嬢」と美貌を売り物にした役柄が多かった彼女が、本格的な演技派女優を目指したと云われる映画です。
 映画自体も華やかなカラーではなく地味なモノクロ作品で、このあたりE・テイラーの「陽のあたる場所」のような感じの映画になりました。
 現在では特に問題視されそうもないように思われることが、不道徳 不自然だとして罪悪視されていた頃に、映画に出ること自体に勇気が必要だったと思います。 しかし興味本位的な描写は避けて、追い詰められていく二人の心の動きを追った映画として、今までの作品に比べて異質なものを感じます。
 生徒達の教師に対する態度について、現在の視点で見ればなぜ子供達が反抗的になるのか、大人の論理を押し付けてはいなかったのだろうか?などと少し気にかかりました。
 自ら生命を絶ったマーサの葬儀の後で、毅然として胸を張ってみんなの前を通り過ぎていくカレンの姿に、戦後のウイーンを舞台としたあの有名な映画のアリダ・ヴァリの姿を、ふと思い出すような印象的なラスト・シーンでした。