驚く無かれ、ここ肥前浜宿では、現役の貝灰製造所が存在する。
残念ながら、窯自体は見れなかったが、有明海で大量に産する“サルボウ貝”を焼いて今も石灰を製造している。
ただ、よくよく話を聞くと、町並み保存地区で修理修景の工事に使用する漆喰は、貝灰ではなく、建材用のブレンドされた市販のものを使うらしい。ナント!左官業者的にはコストのことがあるらしいが、これでは何のための町並み保存か、と信じられない思いもした。
実は笑えない話だが、国の保存地区となって白壁が修復されても、正確にはそれは昔の土壁ではない。塗るときの材料が、まず違う。今は施工コストの関係で、市販の土と漆喰を使用する。従って、どこでも概ね眩しすぎるほどの純白で均一な白壁となる。全く、白ける話である。
しかも、施工技術の関係もあり、直ぐにはがれるケースが後を絶たず、板壁にしてくれという住民からの要望もあると聞く。伝統的景観を残すために公金投入をする大儀が危うくなっている。
が、左官だけを責められる話ではモチロン無い。腕を上げようにも現場の少なさ、コストの厳しさ、様々な環境要因が本物の技術養成にネックとなっている。
美しい日本、安倍さん、どうやって作りましょう。