エスペラントな日々

エスペラントを学び始めて27年目である。この言葉をめぐる日常些事、学習や読書、海外旅行や国際交流等々について記す。

合成語と固有名詞

2021-03-20 | 文法のない言語の文法


今回は第6章(vortoj kaj ludoj per vortoj )から
6.1 合成語は単語(語根)を単純に繋げて作る。主単語は最後に置かれる。発音や意味をわかりやすくするために、語根に文法語尾をつける場合もある。
   skribtablo / skribotablo (= tablo, sur kiu oni skribas)
   unutaga (= kiu daŭras unu tagon) / unuataga (= kiu estas en la unua tago)

6.2 単語の合成 エスペラントでは新しい単語を作るためにふんだんに単語を合成する。
 唯一の一般的規則は、主単語が最後に置かれることである。
   rondiro = iro en rondo
   piediro = iro per piedoj
   militiro = iro cele al milito
 もちろん、合成された単語に語尾を加えても良い。
   ondiro, rondira, rondire, rondiri; piediro, piedira, piedire, piediri
 いくらでも長い合成語を作ることが出来るが、出来れば2語、最大限3語までにしておいた方がよい。
   skribotabloriparistedzinamikino → amikino de la edzino de skribotabloriparisto.

6.3 その他の説明事項
 エスペラントでは形容詞語根と名詞語根の合成語が広く使われている。
   dika+fingro → dik-fingro / etfingro / mezfingro
 これらは次のように表すのが望ましい。
   dika fingro (polekso) / malgranda fingro / meza fingro ( la plej longa fingro)
 それぞれの単語の意味をつなぐという説明は可能であるが、主に英語における方法であり、エスペラントでは良くない。これは規則ではなく、「しない方がよい」ということである。規則は存在しないし、規則を作ったり変更したりすることも出来ない。

6.3.1 合成語の発音
 一般的な規則で、後ろから2番目の音節にアクセントがある。しかし、元の単語のアクセントを残すことは合成語の意味を理解するのに役立つ。
 vaporŝipo では、i に主アクセントがあるが、vapor(o) の o にも弱いアクセントを残す。
   aŭtomobil-akcidento, parenc-kunveno, piedpilk-ludo, membro-kotizo

6.3.2 合成部分に母音やハイフンを置くべきか否か?
 Skrib-tablo と skribo-tablo は全く同じ意味である。意味上でなく、発音をしやすくするために母音をつけ加えることはかまわない。Akv-knabo (knabo, kiu portas akvon) → Akvoknabo
 同様に、意味をわかりやすくするためにハイフンを使ってもよい。
 これらのことについても規則はない。

6.4 名前の表現は合成語ではない
 エスペラントでは、固有名詞の前にその一般名詞が直接置かれる。
   Doktoro Zamenhof
   La urbo Parizo
   La monto Everest
 これらは、例えば doktoro de Zamenhof, la urbo de Parizo, la monto de Everest / Zamenhof-doktoro, la Parizo-urbo, la Everest-monto などではない。
 la monato Majo(5月という月):La monato nomiĝas “Majo”(その月は5月という名前の月である) Mjo は monato を特定している語 (identiga priskribo) である。
 Esperantisto estas nomata ĉiu persono, kiu scias kaj uzas la lingvon Esperanto.:Esperanto は、lingvo の固有名詞である。lingvo には対格語尾がついているが、Esperanto にはつけない。複数語尾でも同様である。
 La ĉefurbo de Britujo estas Londono, sed ankaŭ en Kanado kaj Usono oni havas urbojn Londono.
(参考)PMEG
(注意) 主に英語の影響で、次のような正しくない形が使われている。
 Zamenhof-strato, Ho-Chi-Min-urbo, Progreso kaj Libereco Partio. これらの正しい形は以下のようである。
 Strato Zamenhof, urbo Ho-Chi-min, partio Progreso kaj Libereco.

6.5 固有名詞の使用について
 簡単にいえば、エスペラントアカデミーは以下のように勧めている。
1. 次の3つの方法があり、実際に使われている。
a) 完全にエスペラント化する:Afriko, Nov-Jorko, Bulonjo-ĉe-Maro
b) 部分的なエスペラント化:Zamenhof, Gamal Abdel Naser(エジプトの元大統領), Ban Ki-mun(潘基文・元国連事務総長)
c) オリジナルの書き方を使う:Kálmán Kalocsay, Dèng Xiăopíng
 a), b) には以下の3つの方法がある。
 オリジナルの発音に基づく場合:Ŝekspiro, Budapeŝto
 オリジナルの書き方に基づく場合:Londono, Freŭdo(フロイト:オーストリアの精神学者)
 オリジナルの意味に基づく場合:Nigra Maro, Bonaero(ブエノスアイレス)
2. アカデミーは、以上の3つの方法にはそれぞれに利点と欠点があり、以下のように勧めている。
3. 以上の3つの方法のどれかを選ぶ場合、様々な具体的な状況を考慮に入れて、その利点・欠点を比較・検討する。
4. 良く使われる固有名詞を完全にエスペラント化する方法は維持・支持する価値がある。とくに次のような場合、
a) しばしば使われる事柄:例えばコンピュータ関連の名前:Vindozo, Linukso, Guglo
b) 広く知られている固有名詞(大都市や地理上の名前、歴史的偉人、主に科学などで派生語が必要な場合):Komenio, Voltero, Ejnŝtejno, Baĥo, Galvano – galvanismo, Koŝio – koŝia vico)
5. 比較的新しい、またはまだあまり知られていない名前を必要に応じてエスペラント化する場合は、誤解を避けるためにできるだけカッコや脚注でオリジナルの語を示しておく。
6. 完全にエスペラント化された固有名詞には、エスペラントのどの語尾もつけることが出来る。
   La londona Esperanto-klubo / Mi vizitas Parizon.
 同様に、部分的にエスペラント化された固有名詞で、母音で終わる場合は少なくとも対格語尾 -n をつけることが出来る。
   Ĉu vi legis Makjaveli-n?
 子音で終わる固有名詞にもエスペラントの語尾をつけることが出来る。
   la zamenhofa vespero / Mi ofte legas Zamenhof-on.
(参考)アカデミーの文書

6.6 2つの部分から成る名前
 ラテン文字の民族語には、2つの部分から成る名前が沢山ある。
   Tel Aviv, Addis Abeba, Hong Kong, San Marino, São Paulo
 これらはそのままこの形で書く。外国人が勝手に変えるわけにはいかない。
 エスペラントでは、論理的にも、語尾を加える都合でも、一つの語として機能する。従って一つの語として書くのが都合がよい。
   Telavivo, Adisabebo, Hongkongo, Sanmarino, Saopaŭlo
 フランスには3つの部分から成る名前が多くある。これらはハイフンでつながれている。これらは一語として書くことを勧める。
   Choisy-le-Roi → Ŝŭasileruao
 地名で、後の2つが地理的な説明の場合がある。この場合は、地理的な部分を訳してしまえばよい。
   Boulogne sur Mer → Bulonjo ĉe maro
 同様にドイツの地名でも、
   Frankfurt am Main → Frankfurto ĉe Majno

英語話者への追加事項
 誰でもドイツ語に長い名前があることを知っている。
   Bundesverfassungsgericht (Federa Konstitucia Tribunalo)
 英語にもっと長い名前があることは誰も知らない。
   United Nations Education, Scientific and Cultural Organization = Organizaĵo de Unuiĝintaj Nacioj pri Edukato, Scienco kaj Kulturo.
   United Nations Truce Supervision Organization = Organizaĵo de Unuiĝintaj Nacioj pri Kontrolo de Milit-paŭzoj.
   New World Information and Communication Order = Nova Monda informa kaj komunika Ordo.
 これらをどう訳すか? 長い考慮の結果:
 一つの方法は、主要な語から始めて、それに繋げられた部分を分解する。例えば、
 United Nations Truce Supervision Organization は、3つの部分に分解できる。:
 United Nations, Truce Supervision, Organization そうしたら、まず最後の語を訳して、その他の部分をつけ加える。Organizaĵo de Unuiĝintaj Nacioj pri Kontrolo de Milit-paŭzoj.
 New World Information and Communication Order. の場合はもう少し難しい。New はWorld だけにかかるのか、それとも全体にかかるのか?World は Information にだけかかるのか、Information and Communication にかかるのか? 論理的には、次のような間違った翻訳を考えるかも知れない。
 Nov-monda informa kaj komunika ordo aŭ Nova mond-informada kaj komunika Ordo.

 *このあと、いくつかの練習問題があるが、省略する。最後の部分は、英語がわからないので私の手に余るが、多くの新しい外国語(主に英語)をどう訳すのかという問題に関わる。適当に訳して、元の英語をカッコ書きしておけば、実用的にはいいだろうと思う。
 
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