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企業システム・レビュー・ネット

企業経営を左右する企業情報システム(経営+ITソリューション)のデータバンク作りを目指す

◇企業システム◇ERPパッケージ「SAP Business One」日本対応機能強化版発売

2008-05-01 16:08:36 | ERP
 SAPジャパンはERPパッケージ「SAP Business One 2007B」の提供を開始した。特徴は①ビジネスプロセスを自動的に調整し、円滑に構築するための機能を強化=照合処理機能で、内部で持っていた2つの照合エンジンを統合し、これにより一部のレポート間で不整合が発生するリスクを軽減するなどの機能の強化など②操作性やパフォーマンスの向上=日本の商習慣に対応した機能として、前受・前払依頼書と請求書処理の機能を強化し、処理プロセスや仕訳転記のロジックを拡張したなど。(4月23日発表)

 【コメント】SAP Business Oneは中堅・中小企業向けのERPパケージで、グローバルで約1万8000社のユーザーを持つ。ERP市場は大手企業はほぼ飽和し、後は買い替え需要が焦点となっている。ERPの性格上製品のリプレースは期待できず、競業各社は必然的に守りの体制となる。これに対し中堅・中小企業の市場はまだ新規需要が見込まれる。

 大手企業のERP市場はSAPを代表とする外資系ベンダーの独壇場となっている。これに対し、中堅・中小企業の市場は、国産勢がシェアを押さえている。一部外資系ERPベンダーが食い込んでいるのは、貿易産業などグローバル対応が欠かせない市場だ。これは多通貨や多言語などの機能が欠かせないためだ。

 今回、SAP Business Oneが日本の商習慣に対応した機能を強化したのは、中堅・中小企業市場に本格的に参入しようとしている一つの表れと見てよさそうだ。ERPの中堅・中小企業市場にはマイクロソフトも参入を果たすなど、これまで国産ベンダーの牙城だった市場に、果たして外資系ベンダーが風穴を開けることが可能かどうか。この結論はもう暫く時間がかかりそうだ。(ESN)

◇企業システム◇NECと独SAPが「グローバルパートナー契約」締結

2008-04-27 15:06:05 | ERP
 NECは独SAPと「グローバルテクノロジーパートナー契約」を締結し、「SAPグローバルコンピテンスセンター」を独SAP本社内に開設した。NECは同センター内において、SAPプラットフォームソリューションの開発・検証ならびにSOAに基づく新ソリューションの開発推進などを行う。NECは同センターをグローバルビジネスの中核拠点と位置づけ、同センターに要員約10人を常駐し、順次規模を拡大していくことにしている。これによりNECグループとしてのSAP関連ビジネスを、2011年には1000億円を目指す。(08年4月18日発表)

 【コメント】NECは07年から08年にかけて、SAPのERP事業について次のような一連の発表を行ってきた。

 07年3月にNECとSAPジャパンは、ERP分野における協業を強化するため、戦略パートナーとして共同事業計画に関する契約を締結した。NECではこの契約締結を機に、中国・東南アジア圏に進出する現地日本企業向けのSAP導入や運用サポート体制を増強し、販売強化を行う。中国でSAP事業を推進しているNECITマネジメント(中国)などアジア地域の4社の要員数を今後2年間で、現在の200人から500人にする。

 また、07年11月にはNECとSAPジャパンは、製造業向けソリューション領域において協業の強化の発表を行った。これは①「SAP NetWeaver」に精通したSAPコンサルタントの育成を行う「製造業eSOAソリューションセンタ」を20人体制で発足させる②「SAP NetWeaver」を活用し、「SAP ERP」と統合可能なソフトウエアを拡充した製造業向けソリューションを08年4月から提供開始する③RFIDと「SAP ERP」の相互活用ソリューションの開発の推進―からなる。

 そして、08年3月にはSAPの中堅・中小企業向けERPパッケージ「SAP Business One」を短期間、低コストで導入できる「業種別導入支援パック」に建築/工事業および繊維業を加え、全部で7業種と充実させた。このほか、06年6月にNEC製ソフト「Obbligato Ⅱ」と「mySAP ERP」の連携、06年12月にNEC、NEC情報システムズ、SAPジャパンの3社が、製造ラインの「見える化」で協業関係を発表している。

 NECとSAPジャパンは、このような協業関係を頻繁に行い、その上に立って今回のNECと独SAPとの提携関係が結ばれたことがよく分かる。もともとNECは独自ERP製品などで、製造業において多くのERPユーザー持っている。SAPとの一連の事業提携はこれらのノウハウの上に築かれたものだけに、その意味づけは他社との間に比べ、SAPにとって一層重いものになる。

 いま日本の大手IT企業の大きなテーマに一つに、いかにグローバル化を推進していくかが挙げられている。これまで日本の大手IT企業は国内需要一辺倒であり、内弁慶の最たるものだった。日本の自動車産業はいち早くグローバル化を実現したのに、日本のIT産業はグローバル化にからきし弱かった。この汚名を返上するには、「SAP ERP」事業でグローバル化を図るのが最善の方法だ。その意味で今後NECが「SAP ERP」事業でグローバル化をものにして、日本のIT企業もグローバル化できることを証明してほしいものだ。(ESN)