ビジネス書の厳選情報を毎日お届け 「ビジネスブックマラソン」 バックナンバーズ

アマゾン元バイヤー、土井英司による厳選ビジネス書評メルマガ。ベストセラー分析と本当に読むべき珠玉の一冊を提供しています。

『世界で最も偉大な経営者』

2005年07月16日 | Weblog
http://tinyurl.com/d8lb7
本日の一冊は、鉄鋼王カーネギーからアイアコッカ、ウェルチ、マイケル・デル、ウォーレン・バフェットまで、世界の名立たる経営者たちのプロフィールと功績をコンパクトにまとめた、いわば「経営者大全」です。

それぞれの経営者の生い立ちから成功までの経緯、時代背景、われわれが学ぶべき経営のエッセンスまでが、じつに手際よくまとめられています。

若干、各経営者の成功要因の分析が甘く、また経営哲学的な部分が欠けているため、読み応えに欠けますが、各経営者をより深く知りたい人のためのブックガイドなどもあるので、あわせて読めば理解が深まると思います。

手っ取り早く経営のエッセンスを学びたい場合にはもちろん、ちょっとした調べものにも重宝する一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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「成功したいと夢見る人はいっぱいいますよ。僕の場合、成功なんてものは失敗と反省を何度も何度も繰り返したあげくに、やっとつかむものです。実際、成功は仕事の1%。これは失敗に終わる残りの99%の仕事があって、はじめてたどりつけるもの」
(本田宗一郎)

◆リー・アイアコッカ
才能豊かなセールスマンと、部下の気持ちがわかる経営者が同居している希有な存在のアイアコッカには、どのモデルが売れるか売れないかを本能的に感じ取る力があった

「GEを世界で最高の価値を持つ企業にする、そのためには利益の出ない分野はすべて切り捨てる。将来、すべてのGEの事業は、その業界でナンバーワンあるいはナンバーツーの立場を確保しなければならない」
(ジャック・ウェルチ)

「経営のプロフェッショナルに求められる最も高度な資質は、あらゆる事象から本当の事実をかぎ分ける能力だ」
(ハロルド・ジェニーン)

◆松下幸之助
松下は優秀な技術者だったが、それ以上にマーケティングの才があった。砲弾型ランプの需要が旺盛なのに乗じて、日本全国に販売網を構築した。全国的な販売網を構築し終わると、今度は松下の製品に商標の「ナショナル」を表示し、大量販売できる製品に育つことを狙ってそのランプの価格を引き下げた。さらに、他に先駆けて全国紙を使った新聞広告も打った。これは1920年代の日本にはほとんど見られない手法だった

◆ウォーレン・バフェット
バフェットが並はずれた成功を重ねることができた理由は、投資の原則をあくまでも貫こうとする姿勢があるからだ。企業に栄枯盛衰はつきもので、流行の最先端を突っ走っていると思っていても、次の瞬間には倒産の憂き目にあうこともある。バフェットはどんなお祭り騒ぎにも、断固として乗ることはない
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『世界で最も偉大な経営者』
http://tinyurl.com/d8lb7
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■目次■
第1部 冒険者たち
第2部 マネジメントの神々
第3部 伝説のキングダム
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『ハーバード・ビジネス式 マネジメント』

2005年07月15日 | Weblog
http://tinyurl.com/77gq4
本日の一冊は、ハーバード・ビジネススクールで教鞭をとる、リーダーシップ・交渉術の専門家、マイケル・ワトキンスさんが、新任リーダーのために書いた、新しい切り口のマネジメント本です。

アメリカでは、新任リーダーが成果を出すまでに与えられる猶予が90日らしく、本書では、その90日の間に成果を出すための考え方と業務進行のステップを説いています。

それぞれの章で、状況の異なるリーダーの例が登場し、具体的なケースを論じながら、リーダーとして必要な考え方やスキルが学べるようになっています。

なかには、中間管理職としての処世術や、「やっていいこと悪いこと」などのリストもあり、会社生活全般に役立つ知識も盛り込まれています。

あくまでフレームワークなので、より具体的な解決策が欲しい方には、若干物足りない部分もあるでしょうが、経営者だけでなく、現場のマネジャークラスも対象に書いた点がよかったと思います。

新たにマネジャーに昇進する人、マネジャーとして転職する人など、すべての人にとって役立つ内容だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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新任リーダーに必要なのは、職場の状況、組織内での位置づけ、そして本人の経験や知識に配慮した実践的なアドバイス

◆コカ・コーラ社のアイベスターの失敗
細心で几帳面なことは財務や業務部門では美徳だが、経営者としてはけっして好ましくはない。アイベスターは日々の仕事に首を突っ込みすぎた。このため戦略やビジョンに十分な時間を割けず、CEOに求められる一国の首相のような役割を果たせなかった

問題点を整理して学習の優先順位を考える新米リーダーは、残念ながらほとんどいない。着任前に計画を立てておく人はもっと少ないだろう

組織の文化をろくに理解しないうちに、それを変えようなどと思ってはならない

◆文化を理解するうえで、注目すべき3つの要素
1.象徴:ある職場と別の職場を際立たせ、職場の連帯感を高める何か
2.規範:どんな行動が奨励され、称賛されているか、など
3.価値観:組織全体に浸透し人間関係の基本になっている考え方

新任リーダーにとっていちばん重要なのは、権力の所在と価値観

◆新任リーダーが決めておくべき3項目
1.学習と行動のどちらに力を入れるか
2.攻めと守りのどちらに力を入れるか
3.緒戦の勝利はどこで狙うか

◆信頼されやすい新任リーダーのイメージ
1.要求は多いが満足することも知っている
2.意見は言いやすいが馴れ馴れしくはできない
3.決断力はあるが思慮深い
4.指導力に富むが融通もきく
5.エネルギッシュだが程を知っている
6.厳しいことも言うが人間味にあふれている

◆職場の部下の能力を評価する視点
1.個人の能力 2.関係構築能力 3.技術的能力 4.メタ知識

◆職場の文化にメスを入れる5つのヒント
1.実績評価基準とインセンティブを変える
2.パイロット・プロジェクトを立ち上げる
3.社外から人材を登用する
4.組織学習を奨励する
5.集団思考を刺激する
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『ハーバード・ビジネス式 マネジメント』
http://tinyurl.com/77gq4
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■目次■
序章 最初の九○日 
第一章 スイッチを切り替える
第二章 謙虚に効率よく学習する
第三章 状況を診断し戦略を立てる
第四章 緒戦で勝利を目指す
第五章 上司といい関係を築く
第六章 組織をデザインする
第七章 適材を適所に
第八章 ネットワークをつくる
第九章 上手にバランスをとる
第一〇章 全社的なサポート体制を整える
終章 溺れるリーダーをつくらない
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『ひらがなで考える商い(上)』

2005年07月14日 | Weblog
http://tinyurl.com/7kmzp
『ひらがなで考える商い(下)』
http://tinyurl.com/cuorv

本日の一冊は、イトーヨーカ堂の名誉会長、伊藤雅俊さんの過去の著書を何冊かまとめて再編集したものです。

「最後の大商人」と謳われる著者が記しただけに、内容は、今どきのビジネス書ではなかなかお目にかかることのない、骨太の商売論となっています。

変化を愛し、孤独と付き合う商人の生き方と美学、質素を常とするストイックな姿勢、そして会社を伸ばすための心構え…。決して甘えを許さない著者の厳しい言葉に、思わず背筋がピンとします。

梅雨どきの憂鬱な気分も一瞬で吹っ飛ぶ、そんな刺激的な本です。

ここで語られている仕事哲学は、小売やサービス分野の人はもちろんのこと、製造業や情報分野の方にとっても役立つ内容です。

上巻はどちらかというと商売の話、下巻はマネジメントの話なので、ぜひ自分に必要な方を読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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【上巻】
商売にとって一番大切なものは、一時的な売り上げや利益の増加ではなく、信用を築き上げること

◆商人として生きるうえで大切な3要素
1.運:環境に対応する適応
2.鈍:利口すぎては成功しない
3.根:お客様から信頼されるまで、根気よく努力すること

◆お取引先に対して、常に心がけてきたこと
1.商売はお客様と同時に、お取引先があってこそ成り立っている
2.お取引先との約束は必ず守る
3.お取引先の接待は受けない
4.返品を出さないようにする

たとえ「商売ばか」と言われようと、ひとつのことに徹する姿勢が大切(中略)いろいろなことに目移りせず、愚鈍なまでにがまんし続けるのが、プロのあり方

お客様は商品を買いにいらっしゃるのであって、言い訳を買いにいらっしゃるわけではありません

仕事に関しては、お客様の暮らしを下から支えるのが商人の仕事

【下巻】
会社が大きくなったときこそ、最も危ない時期です。経営者や社員が少しでも慢心することは、不況など外部環境の悪化よりも、経営にとってはるかに大きな危険要素だと思います

商人として当たり前のことを、決して手抜きすることなく続ける以外に、いい商人になったり、いい小売業になったりする方法はない

志を共有し、実践する社員を育てるのが、経営者の一番大事な役目であり、最大の経営課題

◆経営に必要な3つの要素
1.世の中の役に立つ 2.永続性を持つ 3.成長性がある

私は何かを「する決断」よりも、「しない決断」を多くしてきたように思います

イエスマンをかわいがり、身辺に集めるようになったら、おしまいです

謙虚な気持ちを持ち続けるという、口で言えば簡単そうなことが、大変難しい
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『ひらがなで考える商い(上)』
http://tinyurl.com/7kmzp
『ひらがなで考える商い(下)』
http://tinyurl.com/cuorv
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■目次■
【上巻】
まえがき
第一章 愚直な自由人
第二章 基本の心がまえ
第三章 商人の仕事
第四章 質素な人生観を持つ
第五章 商業と商人の未来

【下巻】
まえがき
序章 小売業の新局面
第一章 経営には志が必要だ
第二章 不変の哲学と変化対応の経営戦略
第三章 チェーン運営の工夫
第四章 人材育成が最大の課題
第五章 オーナー経営者の孤独
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『私の財産告白』

2005年07月13日 | Weblog
http://tinyurl.com/ddy2v

本日の一冊は、土井の『成功読書術』でも紹介した、明治の大富豪、本多静六さんの不朽の名著を復刊したものです。

※参考:『成功読書術』
http://tinyurl.com/52sdn

今回の復刊事業では、ほかにも、本田健さんが解説を書いている、『人生計画の立て方』、渡部昇一さんが解説を書いている『私の生活流儀』が出され、全三部作となっています。

※参考:『人生計画の立て方』
http://tinyurl.com/c28pd

※参考:『私の生活流儀』
http://tinyurl.com/avq5k

本日のBBMでは、このうち、かつてもっとも世間に衝撃を与えた『私の財産告白』を紹介しようと思います。

すでに『人生と財産』を読まれた方には、当然ながら目新しいところはありませんが、本多氏の著作を初めて読む方にとっては、骨太な人生論や蓄財・投資法に心打たれるに違いありません。

※『人生と財産』
http://tinyurl.com/96edz

最近、サラリーマンで年収100億円というのが話題になりましたが、この本多静六さんも、学者でありながらそれに匹敵する莫大な富を築き上げた人物です。

著者曰く、「財産や金銭についての真実は、世渡りの真実を語るに必要欠くべからざるもので、最も大切なこの点をぼんやりさせておいて、いわゆる処世の要訣を説こうとするなぞは、およそ矛盾もはなはだしい」ということで、本書では、本多氏個人のお金にまつわるあらゆる話が盛り込まれています。

内容は、極めて正統派の主張であり、奇をてらったものではありませんが、それだけに心に訴えてくるものがあると思います。

ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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あらゆる通常収入は、それが入ったとき、天引き四分の一を貯金してしまう。さらに臨時収入は全部貯金して、通常収入増加の基に繰り込む

何事も中途でやり直すことは難しい。最初から決めてかかるのが一番楽で、一番効果的である

いかに学者でもまず優に独立生活ができるだけの財産をこしらえなければ駄目だ。そうしなければ常に金のために自由を制せられ、心にもない屈従を強いられることになる

貯金がある程度の額に達したら、他の有利な事業に投資するがよい。貯金を貯金のままにしておいては知れたものである

貯金生活をつづけていく上に、一番のさわりになるものは虚栄心である

好景気時代には勤倹貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時機を逸せず巧みに繰り返す

人生の幸福というものは、現在の生活自体より、むしろ、その生活の動きの方向が、上り坂か、下り坂か、上向きつつあるか、下向きつつあるかによって決定せられるものである

事業を守り、財産を守ろうとする者は、常に怠らず他人の意見に耳をかすことが大切である

投資の第一条件は安全確実である。しかしながら、絶対安全をのみ期していては、いかなる投資にも、手も足も出ない。だから、絶対安全から比較的安全、というところまで歩み寄らねばならぬ

いつも場合何事も自分一個の功となさず、つとめて人にも譲るべき

西洋の人生訓にも、「汝の上位は常に空席である」というのがある。本当に勉強し、本当に実力を養うもののためには、その進むべき門戸はいつも開かれている
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『私の財産告白』
http://tinyurl.com/ddy2v
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■目次■
自序
私の財産告白
一、貧乏征伐と本多式貯金法
二、金の貯め方・殖やし方
三、最も難しい財産の処分法
四、金と世渡り
五、これからの投資鉄則
私の体験社会学
一、儲かるとき・儲からぬとき
二、儲ける人・儲けさせる人
三、人間的サラリーマン訓
四、人を使うには・人に使われるには
五、平凡人の成功法
解説 岡本吏郎
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『いい会社をつくりましょう。』

2005年07月12日 | Weblog
http://tinyurl.com/9goha

本日の一冊は、創業以来46年間連続増収増益で注目を浴びている、伊那食品工業の代表取締役、塚越寛さんによる著書です。

おそらく「かんてんぱぱ」のブランド名でご存知の方も多いのではないでしょうか。

タイトルには『いい会社をつくりましょう。』とあいまいな言葉が謳われていますが、そこが本書の哲学的なところです。

「いい会社」とはそもそも何なのか、会社は何のために存在するのか、経営者の役割とは一体何なのか、深いところで考えさせてくれる一冊です。

土井は数年前から、拝金主義の後はスピリチュアルか、世間的な成功とは次元の違うところで生き方や理念を説いた本が流行る、と主張してきましたが、本書はまさに、ビジネスパーソンとしての行き方を説いています。

土井には、じつは今回の『成功読書術』でも紹介しなかった、自分の原点となる本があります。

※参考:『成功読書術』
http://tinyurl.com/52sdn

本書で説かれている理想郷的な考えは、その本にも通じるものがあります。久しぶりに骨のある経営論を読んだ気がしました。

久々に、自信を持っておすすめできる一冊です。ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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遠くをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す(二宮尊徳)

◆二一世紀のあるべき経営者の心得(一部のみ紹介)

2.変化し得る者だけが生き残れるという自然界の法則は、企業経営にも通じることを知り、すべてにバランスをとりながら常に変革すること

4.人間社会における企業の真の目的は、雇用機会を創ることにより、快適で豊かな社会をつくることであり、成長も利益もそのための手段であることを知ること

8.専門的知識は部下より劣ることはあっても、仕事に対する情熱は誰にも負けぬこと

人間どこで苦労をするのも同じ。目先の利益を案ずるよりも、与えられた職業を天職と思い、とことん努力すべきではないか

人のためとか、会社のためというより、若い時の苦労は結局、自分のためになります(中略)何が自分に一番向くかということは、案外分からないものです

運をつかまえる人は、行動力があって、先見性がある人

先見性のある人になるためには、どうするか。専門分野のほかに幅広い知識をもっていることが、大切です。そして一番大事なことは、人間の社会を、常に、「本来あるべき姿はどうなのか」、「目的は何なのか」という目で、冷静に見定めていること

「運をつかむ」ことのなかでも、良き師や良き友に恵まれることは、大変重要

人件費ははたして、ほかの諸科目と同じような「費用」なのでしょうか。疑問です。人件費は、幸せを求めて働く社員たちの労働への対価であり、この支払いは企業活動の目的そのものです

◆真の老舗の条件
1.無理な成長をしない
2.安いというだけで仕入れ先を変えない
3.人員整理をしない
4.新しくより良い生産方法や材料を常に取りいれていく
5.どうしたらお客様に喜んでいただけるかという思いを、常にもちつづける

本来の姿に戻しつづけること、原点に戻ることが、真の改革

経営とは「知らしめること」(中略)どんなに高い志も、話が下手では伝わりません

お城を支える石垣は、大きな石だけでは築けません
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『いい会社をつくりましょう。』
http://tinyurl.com/9goha
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■目次■
はしがき
プロローグ
第一章 目的と手段
第二章 自然体経営
第三章 開発型企業として、”種まき”を
第四章 モラール経営
第五章 「かんてんぱぱガーデン」に込めたこころ
エピローグ 学ぶ目的
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『会社成長の原理』

2005年07月11日 | Weblog
http://tinyurl.com/97rq7

本日の一冊は、前著『会社存続の原理』で好評を博した著者が、企業を成長させるための原理原則と、経営者の役割、具体的な戦略の策定、そして成長を支える財務のあり方について論じた力作です。

※参考:『会社存続の原理』
http://tinyurl.com/7u2fm

本書の冒頭で著者は、企業が成長するために欠かせない投資とそのリスクをヘッジするための財務の健全性を説いています。そして、具体的な財務上の目標を掲げたうえで、それを実現するために経営者は何をなすべきかを考えさせる内容になっています。

著者が公認会計士ということもあり、さまざまな企業の数字を用いながら進められるケーススタディはじつに読み応えがあります。

戦略をどうやって数値目標に結び付けていくか、また数値から何を読み取るべきなのか、といったことが、懇切丁寧に説かれています。

会社の成長にとって重要な投資を、「設備投資」「在庫投資」「人材投資」と明確に示してくれたり、新規事業創造の戦略的視点として、「国内において300億円以下のマーケットサイズ」を挙げるなど、経営者が持つべき視点を明確に示しています。

経営者がその責務を果たすために、またビジネスパーソンが戦略と数字の関係を学ぶうえで、大いに役立つ一冊だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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会社の成長は、利益(Income)、財政の安定(Balance)、キャッシュフロー(Cash-Flow)、シェア(Share)もしくは特別な付加価値(Special added value)という四つの成長指標(IBCS)と、普遍的な事業構造の転換により測られなければならない

企業が新しい環境に適応できなくなることは必然のものではなく、まさに経営者の適応力次第

会社の成長に必要な正しき利益の定義づけを行なうことが、会社成長の原理原則を理解する出発点

◆会社成長の視点から望ましい財政
1.公表するために作成するバランスシートではなく、経営者が実務の指針として作成するバランスシートに、これら(固定資産や退職金など)の残高を負債として加えればよい
2.あくまでも会社を清算するうえでの処分価格を基本とすべき

戦術の習得と実践により機会費用を排除し、短期的な利益を獲得してゆくこと、戦略の適用と実践により長期的な利益を獲得し続けることは、会社成長の基本セオリーである

◆会社の成長に重大な影響を与える投資(倒産の大半の原因でもある)
1.設備投資 2.在庫投資 3.人材投資

◆繁栄を続ける組織体とその本質的要因
1.金融=資本または資産の回転率
2.宗教=On Demand(満足度)
3.風俗=Low Cost(真の意味のローコスト経営)
※真の意味のローコスト:イニシャルコストが極めて低いこと

◆新規事業創造の戦略的視点
1.国内において300億円以下のマーケットサイズの製品・サービス分野に進出する方法
2.国内において衰退しつつある、もしくは疲弊しつつある業種の分野へ進出する方法
3.今後生じるであろう経済社会の構造変化に適合した製品・サービスを開拓する方法
4.すでに開発された技術、あるいは開発されつつある技術に適合した製品・サービスを開拓する方法

◆財務目標と現実とのギャップを埋めるためにやらねばならないこと
1.製品の集中と選択
2.総原価の削減による利益率の改善
3.攻める顧客と守る顧客の明確化
4.少ない資産で多くの利益を稼ぐ経営
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『会社成長の原理』
http://tinyurl.com/97rq7
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■目次■
はじめに
第1章 会社の成長とは何か
第2章 成長指標としてのIBCS
第3章 会社成長のための戦術と戦略
第4章 革新を生むリーダーシップと組織風土
第5章 いかにして革新の継続を図るか
第6章 会社の成長とコーポレートガバナンス
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『信念をつらぬく』

2005年07月10日 | Weblog
http://tinyurl.com/bm75v
本日の一冊は、臨床心理学者として知られたB・スイートランドによる、自己啓発書の古典です。

一時は入手困難となっていたものを新装版として出版したもので、2001年の新装版発行以来、順調に売れているようです。

事例やエピソードの紹介が冗長で、いかにもアメリカの自己啓発書、といった趣ですが、なかにはいくつか、深みのある言葉が見つかります。

成功とはそもそも何なのか、成功を実現するためにはどういった考え方、態度を持てばいいのか、といった話は、他の本でも繰り返し説かれていますが、本書は単なる成功法則にとどまらず、きちんと読者が行動できるレベルまで話を落としこんでいます。

結局のところ、成果を出すためには、行動するかしないかがカギを握っています。本書は、その行動の原動力と指針を与えてくれるという点で、良質な自己啓発書と言えるでしょう。

ぜひ読んでみてください。
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◆成功の重要な要素
1.私は成功者になることができると知ること
2.私は成功者になるぞと決意すること
3.あなたとあなたの目標の間に横たわっている障害の理解に基づいた行動計画を立てること

あなたがどれだけの高所に登れるかを決定する要素はただ一つ――
あなたの想像力の規模だけである

人が失敗するのは、成功者となるためにとるべき手段を考えないで、いつもなぜ失敗したかという言い訳を探すことばかりしているからである。一方、人が成功するのは、ある方法が役に立たないとわかったら、そこでやめて、失敗を認めるかわりに、どうしたら成功するかという別の方法を探すからである

世の中の不満には二種類ある。役に立つ不満と両手を縛ってしまう不満だ

ほとんどの人間の大きな欠点は、自分が現在あることを当然のことだと思っていることである

人びとの行動は、彼らの考えの最もよい説明者である(ジョン・ロック)

自分がしたいと思うことをしている間は、人は決して怠惰にはならないものだ。だから、怠惰な状態を克服するには、あなたがしようとしていることを好きになることを学ぶことである

人生の幸福も成功も、すべてはわれわれが直面している将来に対して、われわれがとる態度にかかっている

今すぐ、あなたの目標の一つを採り上げて、それを構成要素に分解してみることである。目標を達成するために踏まなければならない、すべての考えうるステップを書き出してみることである

われわれはだれでもものを見るが、観察する人はきわめて少ない

どんな習慣にせよ、それがある人をとらえた時には、彼はもはや楽しみのためにそれを追い求めるのではなくて、苦しみから逃れるためにそうするのである

われわれのすべては、良くも悪くも暗示の力によってたえず影響を受けている
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『信念をつらぬく』
http://tinyurl.com/bm75v
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■目次■
第1章 成功は旅である
第2章 あなたの旅の地図作り
第3章 旅立つための準備
第4章 用意はできた―さあ出発だ!
第5章 第1のステーション――幸福!
第6章 第2のステーション――熱意!
第7章 第3のステーション――楽しい不安
第8章 第4のステーション――行動!
第9章 第5のステーション――連続性
第10章 第6のステーション――構成要素
第11章 第7のステーション――分解と統合
第12章 第8のステーション――大と小
第13章 第9のステーション――生活の新しい基準
第14章 第10のステーション――新しい生活のパターン
第15章 第11のステーション――優雅に金持ちになる法
第16章 第12のステーション――あなたの最初の高原
第17章 新しい道しるべ
第18章 過去・現在・未来
第19章 心があなたを富める者にすることができる理由
第20章 特別の目標のための特別の方式
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『人生をプロジェクトマネジメントしよう!』

2005年07月09日 | Weblog
http://tinyurl.com/d7m6s
本日の一冊は、久々に読者の方からのリクエスト本です。

正直、リクエスト本は質がまちまちなので、ご紹介する際はかなり慎重になるのですが、今回の本は、なかなか読み応えがありました。

理系のビジネスマンが書いた本らしく、人生をプロジェクトマネジメントになぞらえて、人生設計のノウハウや心構えを説いています。

主に20代の読者をターゲットとしているようで、それだけに話は、就職から仕事の進め方、対人関係、目標設定など、社会人として必要な基礎的な考え方やスキルが中心となっています。

欲を言えば、タイトル通り、もっとプロジェクトマネジメントと絡めてほしかったのですが、全体としてはよくまとまっていると思います。

30代以降の方にとっては、若干物足りないかもしれませんが、まだ仕事を始めたばかりの20代や、これから就職する学生さんには役に立つ本だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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自らの意思によって挑戦した結果として遭遇する困難は、乗り越えることによって得られる大きな満足感と幸福につながる

いま自分が最も重要とすることが何であるかを常に考えておくことにより、さまざまな判断を行う際に、最適な解を選択することができます

「先送り」は幸福につながらない
先送りの最大の問題点は、課題に対する解決策の選択肢が少なくなること

人がやりたくないと思うことを引き受けよう

期待と異なる状況に置かれた時、その状況の打破を目指すのもひとつの方法です。しかし、その状況を利用する余地がないかという点についても、一度は考えてみてはいかがでしょうか

◆失敗確率を下げ、失敗の質を高める二つの方法
1.失敗に早く気づき、失敗の被害を最小限に食い止めること
2.リスク回避をしながら、最も早い行動をとること

最初から目標を正確に狙って進むのではなく、目標から少しずれたところを一気に目指します。目指したところに到達したとわかった時点で、最終目標に向かって緻密に進む

「スピードを上げる期間」と「緻密に完成させる期間」の切り替えタイミングを的確に見極めれば、スピードと品質を両立できる

困難を乗り越えて幸福を得るためには、無駄な失敗を減らすことが必要です。失敗を減らすうえで、異なる視点に立って意見してくれる人は貴重な存在

自分が考え、行動していることと著者が言っていることが異なっている場合、その本は自分にとって価値がある

自らの死を意識し、人生が有限であることを認識する時、限られた時間をいかに有効に使うべきかということを考えられるようになります

◆仕事選びのポイント
1.就職先の仕事を通して、自分が社会に貢献できる可能性があるか
2.「将来の夢」を抱くことができる就職先

課題に遭遇したら、すぐに着手することが重要です。まず着手してみて、課題の全貌をつかみます。そして、自分だけで解決できる仕事であるのか、それとも他の誰かの協力を得る必要があるのかを見極めます
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『人生をプロジェクトマネジメントしよう!』
http://tinyurl.com/d7m6s
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■目次■
基本編・「人生のプロジェクトマネジメント」7つの基本
「幸福」について考える
目的を明確にする
将来像を描く
先送りしない
視点を変える
悪い失敗を防ぐ
よい人間関係を築く
実践編・「人生がうまくいくプロジェクト」11の鉄則
PHASE1 知恵を生み出す
PHASE2 生と死の価値を知る
PHASE3 仕事の満足度を高める
PHASE4 家庭生活を充実させる
PHASE5 価値ある財産を築く
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『バフェットの投資原則』

2005年07月08日 | Weblog
http://tinyurl.com/d5d76
本日の一冊は、久々に世界一の投資家、ウォーレン・バフェットに関する本です。

本来なら、本人が書いたものを読みたいところですが、今回もまたジャーナリストが書いたもので我慢するしかありません。

著者のジャネット・ロウは、そういった読者ニーズを理解して、今回の本では、なるべくバフェットの生の声を残そうと、腐心しています。本書でカッコ書きで示されているセリフは、ほぼ本人の発言そのものであり、バフェットという人物を正しく理解する上で、とても参考になります。

本当の生声を聞きたい人は、アマゾン時代、土井が出版社さんに無理を言って作ってもらった字幕版ビデオ『ビルゲイツとバフェット』を見るといいでしょう。

※参考:『ビルゲイツとバフェット』
http://tinyurl.com/eyj37

本書には、これまで何度か紹介されているバフェットの投資原則のほかに、彼の信条や人となりを示す発言が、たくさん紹介されています。バフェットの口癖やたとえ話を繰り返し読んでいるうちに、投資に必要な考え方や価値観までが身についてしまう、そんな本です。

また、著者自身が書いているように、本書では、バフェットに対する批判の声なども拾っており、これまでのバフェット本とは一線を画しています。

投資で成果を上げたい人はもちろん、資本主義社会において豊かな人生を送りたい人には、ぜひ読んでもらいたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆バフェットの発言に見られるパターン
・いろいろなものを測る癖がある
・「もし××年間どこかに出かけたら」と仮定するのが好き

◆グレアムの教えの3つのポイント
1.株式は単なる紙切れではなく、その企業の一部
2.市場の変動を敵視せず親しく付き合うこと
3.”安全余裕率”を考慮すること

リスクとは、自分が何をやっているかよくわからないときに生じるもの

二人(バフェット&マンガー)の共通点は、自分たちを早い時期から信頼してくれた人たちのために金を稼ぐのが好きだということだ。特に、若くて貧しかったころに信頼してくれた人たちのことを思うと、そういう気持ちが強くなる

動いたことによる失敗よりも、動かなかったことによる失敗のほうがやっかいだ

馬鹿でも経営できる企業を探しなさい。いずれ、そういう人間が経営者になるのだから

最高のCEOと呼ばれる人は、会社の経営が大好きで、財界人円卓会議やオーガスタ・ナショナルでゴルフをすることなど好まないもの

人生のカギは、誰のバットボーイになるかを見極めることにある

私はビジネスマンである分だけ、優れた投資家であると思います。また投資家である分だけ、優れたビジネスマンでもあると思います

企業経営でも投資でも、私は同じようなことを感じます。並外れたことをしなくても並外れた業績を達成することはできる、ということです

自分はいずれ金持ちになると信じていました。それについては、一瞬たりとも疑ったことはありません
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『バフェットの投資原則』
http://tinyurl.com/d5d76
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■目次■
はじめに
第1章 投資の原則
第2章 仕事の原則
第3章 経営の原則
第4章 人生の原則
第5章 交友の原則
第6章 家庭の原則
謝辞
訳者あとがき
出典一覧
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『商売で大事なことは全部セブン-イレブンで学んだ』

2005年07月07日 | Weblog
http://tinyurl.com/b9o8o

本日の一冊は、かつてセブン-イレブン・ジャパンで加盟店指導やスーパーバイザー教育、新店立ち上げなどを経験し、現在はコンサルタントとして活躍中の著者が、セブン-イレブンのタンピンカンリと仕入れの心構え、ノウハウをまとめた一冊です。

土井も前職でエディターからバイヤーになる時は、基本を学ぶべく、いくつかセブン-イレブンに関する本を読みましたが、この本は正真正銘、内部で経験した人が書いた本です。

それだけに、仕入れから在庫管理、陳列まで、セブン-イレブンが実践しているあらゆる点に話が及んでいます。

装丁やフォントの大きさからは予想もできませんが、さすがに商業界さんが作っているだけあって、内容は細かく、実践的です。現場で店長をやっている人が読んでも参考になるはずです。

「タンピンカンリ」って何? という人はもちろん、セブン-イレブンのビジネスを詳しく学びたい人、小売業に携わる人には、見逃せない一冊だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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タンピンカンリの真骨頂は、過去の情報の流れから妥当な数量を導くのではなく、根拠をもって異常な数字に挑戦し、それを達成することにある

「マーケティング」「消費者志向」が言われたが、それはメーカー側から出てきた言葉であり戦略であって、消費者に最も近いはずの小売業からのマーケティングは残念ながら存在しなかった(『セブン-イレブン社史より』)

POS導入を境に単品管理が始まったわけではありません。単品管理を続けるために、単品管理をさらに深めていくためにPOSを入れたのです

◆発注にあたり、著者が言われたこと
1.単品で考えること
2.勝手に判断しないこと
3.必ず数字を変える(上げる)こと

アイスの発注ではもう一つ、とても重要な法則を発見しました。それは、「商品は見えなくなると売れなくなる」ということです

◆発注業務を任せて大成功した若いパートの女性
1.とびきり素直(お客さまの意見(データ)に逆らわない)
2.いい意味で調子に乗るタイプ
3.商品を片っ端から食べていた

商品を変えない限り売上げは上がらない
店の関心はコロコロ変わるが、お客さまの関心は一貫して商品に集中している売り手は商品を集団で考えたがるけれども、買い手は商品を単品で評価する

◆過剰在庫を削減するに当たってのヒント
1.「すべての在庫は不良在庫である」と考える
2.バックヤードの位置付けを変えてみる(保管場所→荷物をさばく所)
3.スチール棚を減らす
4.在庫を”時間”に換算する
5.売り場在庫もきちんと数える
6.常に一望できる状態を保つ
7.在庫はお金、在庫は腐ります、在庫はコスト、在庫は「おもり」、
  在庫は障害物、在庫は悪

何でも仕入れるのは商人じゃない
・商人に必要な能力
=「より多くの商品を確保する能力」から「売れる商品を選ぶ能力」へ半年に1回、完璧な売場をつくる店より、多少荒っぽくても毎週売場を変えられる店の方が強い

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『商売で大事なことは全部セブン-イレブンで学んだ』
http://tinyurl.com/b9o8o
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■目次■
まえがき
第1章 「売り方」の発明
第2章 その気になれば簡単さ
第3章 誰でも数字を変えられる
第4章 変化、大好き
第5章 お客の「飽き」と戦う
第6章 合言葉は勇気
第7章 誰よりもたくさん売ってみたい
第8章 誰だって1年で賢くなれる
第9章 仲間を「アッ」と言わせたい
第10章 小さく考え、小さく手を打つ
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『スイスプライベートバンク口座開設のすすめ』

2005年07月06日 | Weblog
http://tinyurl.com/8zdar

本日の一冊は、ありそうでなかった、スイスプライベートバンクの口座開設マニュアルです。

著者は、夫婦でスイスのプライベートバンクに口座を開いたという人物で、本書にはその際のリサーチや、担当者とのやり取りなどの経験が生きています。

このテーマで書かれた本としては、『スイス銀行体験記』や『スイス人銀行家の教え』などがありますが、書かれた目的が違うため、実際に口座を開設したい人にとっては、断片的な情報でした。

※参考:『スイス銀行体験記』
http://tinyurl.com/cpxx7

※参考:『スイス人銀行家の教え』
http://tinyurl.com/a3fc4

本書では、具体的なプライベートバンクのリストや、著者が実際にEメールでやり取りした際の文章例(英語・日本語)、口座開設の手順までを網羅し、さらにQ&Aまで用意しています。

もちろん、薄い本ですし、これで十分ということはありませんが、現時点で出されているなかでは、もっとも網羅性の高い一冊ではないでしょうか。

プライベートバンクに興味のある方は、要チェックです。
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■ 本日の赤ペンチェック
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プライベートバンクの口座開設において、語学は、母国語しかできなくとも全く問題はなく、金融知識がなくとも、紹介者がいなくとも口座開設はできる

◆プライベートバンクの特徴
1.貸し付けは行なわない=負債を抱えない=破産しない=顧客の資産保全
2.決して個人情報がもれないように保証されている
3.政治的・経済的動乱で国家がなくなるというリスクまで想定し、資産を増やすために運用するのではなく、減らさないために運用

◆著者がプライベートバンクをふるいにかけた基準
1.日本語の話せるスタッフがいること
2.日本駐在の日本人スタッフがいること
3.不良債権を抱えていないこと(純粋なプライベートバンクなら無縁)
4.歴史的経験値が高いこと
5.日本国内に支店を持たない(あると日本の銀行法で規制される)

◆スイス・プライベートバンクの業務内容
1.顧客の資産保全
2.顧客の資産運用
3.顧客の資産管理のアドバイス
4.プライベートな人生のサポート
5.次世代への資産継承

◆最低預入金額の一例
3000~4000万円「EFG」「BEC」
8000万円「SG」
1億円「ROTHSCHILD」
2億円「HSBC」「UBS」
3億円「PICTET」
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『スイスプライベートバンク口座開設のすすめ』
http://tinyurl.com/8zdar
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■目次■
第1章 はじめに プライベートバンクって何?
第2章 スイス・プライベートバンク口座開設全軌跡
第3章 プライベートバンクの検証
第4章 世界の流れと国家的リスクの検証 
第5章 富を築く精神の検証
第6章 これさえあれば誰でもできる!「口座開設」虎の巻
Q&A集 よくある質問にすべてお答えします。
おまけ──英語がまったくだめな人へ
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『情報整理術クマガイ式』

2005年07月05日 | Weblog
http://tinyurl.com/9c8b4
本日の一冊は、GMOインターネットの代表取締役、熊谷正寿さんによる、注目の新刊。『一冊の手帳で夢は必ずかなう』以来、久々に見せる、マニアックなクマガイ式整理術の世界です。

※参考:『一冊の手帳で夢は必ずかなう』
http://tinyurl.com/a8e75

見開き2ページで、それぞれ情報整理の原則や具体的手法、各種ツールの説明が完結するように構成されており、とても使いやすいのが特徴です。

著者は、「整理オタクのための情報整理の本」ではありません、と断言していますが、実際には、整理オタクも舌を巻くほどの徹底したこだわりが感じられる一冊です。

内容はかなり具体的かつ実践的なので、本当に活用したいと思う方は、赤ペンチェックで満足せずに、ぜひ本書のメソッドを試してみてください。

著者が言うように、夢をかなえるには、時間と情報の活用が不可欠です。そして、多くの本で語られているように、われわれの多くは、日々の貴重な時間を、探し物に費やしています。

この悪の循環を断ち切ろう、と思う方には、本書は極めて貴重な情報を提供してくれるでしょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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探し物をしなくて済むように整理整頓をしておくということは、夢の実現に必要な時間を増やすということに他ならない

情報を探し出してすぐにルールに則って整理・保存すれば、それに要する時間は一分とかかりません

◆クマガイ式情報整理7つの原則
1.夢・目標の原則
2.一箇所の原則
3.サイズ・形統一の原則 手帳サイズとA4サイズで統一
4.日付・情報元の原則 発信する情報、入手した情報、利用する情報…
5.インデックスの原則 頭文字のア行、頭三文字、件名、備考・詳細
6.クロスリファレンスの原則 会社名、氏名、時系列別
7.一件一リフィルの原則

情報整理には確かに「あとで容易に素早く検索するため」という目的があるのですが、もう一つ大きな裏の目的があるのです。それは「情報への接触頻度を高める」ということです

パソコンの中のファイルやフォルダはすべて「お気に入り」(インターネットエクスプローラーのブラウザ)に、メールはメールソフト(アウトルック)にという具合に二元管理

◆「お気に入り」のなかに作る3つのフォルダ
1.目的別 2.時系列 3.ToDo

◆受信メールを整理する際に作る3つのフォルダ
1.時系列 2.送信者別 3.目的別

写真や絵も「メモ」と考えて積極的に手帳に綴じ込み、手帳の効果をどんどん高めましょう

大切な言葉や格言金言はポストイットに書いて後で整理

◆A4ファイルの整理方法
1.現在ファイル 2.未来ファイル 未決ファイル

「情報を見つける目」だけ持っていたのでは、みんなと同じラインに立つことしかできません。一歩先に行くには「選別する目」を身につけ、より早く重要な情報を見極めてアクションを起こす必要がある

情報も、ある程度の情報を相手にギブすれば、それを上回る情報がテイクできる

情報整理は、その時、その場でやるのが鉄則
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『情報整理術クマガイ式』
http://tinyurl.com/9c8b4
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■目次■
夢をかなえるために必要な「情報」と「時間」――まえがきにかえて
序章 夢を「より早く」「より確実に」かなえる法則
第1章 クマガイ式情報整理「七つの原則」
第2章 クマガイ式情報整理術【デジタル編】
第3章  クマガイ式情報整理術【アナログ編】
第4章 夢をかなえるための情報収集術
第5章 夢をかなえるための時間節約術
第6章 ITを使った情報収集&時間創造プラスα
あとがきにかえて
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『新富裕層マーケティング』

2005年07月04日 | Weblog
http://tinyurl.com/ay8cd

本日の一冊は、「好みがうるさく、ちょっとリッチで、欲しいものがあればよろこんでお金を出す」という、新富裕層のマーケティングについて書かれた一冊です。

もしこれが、「貧富の差が拡大しているから金持ちを狙え」というコンセプトなら決しておすすめはしませんが、本書の最大のポイントは、従来のこうした考え方を統計的に否定した上、新たなマス・マーケットを提唱した点にあります。

ワン・トゥ・ワン・マーケティングを否定し、可処分所得の高い新しいマス・マーケットを狙うという発想…。

なぜスターバックスが受けたのか、なぜセブン-イレブンで高級アイスが売れるのか、なぜヘルシア緑茶が売れているのか、そしてなぜ、プロ志向の物を家庭に持ち込むと成功するのか…。

これからのヒット商品のヒントが体系的にまとめられた、注目の一冊です。

ちなみにこの辺の話は、土井も日本経営合理化協会さんのセミナーでお話しました。この本で述べられている内容からさらに一歩突っ込んだ実践的内容を知りたい方は、ぜひCDを聴いてみてください。

「最強の仕掛け人が明かす5つの最新拡販ノウハウ」
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■ 本日の赤ペンチェック
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マス・マーケットという言葉自体、もはや時代遅れな富の配分の理論に基づいている

個々の顧客についてよく「把握できていない」商品やサービスがいくつもヒットしていた

大半の世帯にとって、今や課題は必需品を手に入れることではなく、ほしいものを手に入れること

優れたマス商品より高く超高級品より安い、新たなミドルグラウンドを探せ

◆ミドルグラウンドを制覇するための3つの戦略
1.新たなミドルグラウンドを企業のコア・ポジションとする
2.マス・マーケット向け商品をバージョンアップする
3.極上品の味わいを覚えさせる

◆優れものを味わってみたい消費者の欲求に訴えつつ、リスクを避ける方法
1.コストを削りながらも、高級ブランドのもっとも重要な特徴は手放さない
2.売上を伸ばしコストを削減する努力は必要だが、品質では妥協しない
3.ブランド崩壊を防ぐために希少価値に訴える

新富裕層は忙しく、時間の浪費を嫌うから、信頼できる迅速なサービスは非常に重宝する

消費者は、商品やサービスを必要以上に買わずに、ステータスに伴う恩恵を受けたいと思っている

「日常的なもの」の特別バージョンをつくれ

◆マーケターが見逃している所有モデルの後半4ステップ
保管、メンテナンス、レストレーション、処分

使用ごとの支払いやリース方式、すべてが込みの一括価格など、新しい支払い方法の可能性を探るべき

見返りの期待できる新しい消耗品を提供せよ

消費者は、その商品の歴史や、製造技術、伝統的な職人芸、類似品との違いなどについてうんちくを傾ける願望をもっている
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『新富裕層マーケティング』
http://tinyurl.com/ay8cd
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■目次■
序文
第一章 新しいマス・マーケット
第二章 新たなミドルグラウンドを探せ
第三章 顧客を平等に扱わない
第四章 必需品ではないが、あれば便利なものを探せ
第五章 新たな所有形態を模索せよ
第六章 消費に対する見返りを大きく
第七章 グローバルに考え、地元密着で売る
第八章 不特定多数に向けたプロモーション
第九章 明日のマス・マーケット
エピローグ 新しいビジョンを求めて
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『イチロー262のメッセージ』

2005年07月03日 | Weblog
<http://tinyurl.com/cwvv2

本日の一冊は、今年3月に出され、ベストセラーとなった、イチローの珠玉のメッセージ集です。

2001年から2004年における、イチロー選手の各メディアでの発言をもとにまとめたもので、プロゴルファーの宮里藍選手も愛読している一冊だそうです。

この手の流行りモノはあまり好きではないので、これまで食指が動かなかったのですが、読んでみたら、これはいい本です。

ちょっと疲れ気味の土井にも明日へのエネルギーを吹き込んでくれたので、ぜひ読者のみなさんにも一読をおすすめしたいと思います。

本書で選ばれている言葉は、すべてとは言いませんが、その多くが、イチロー選手の仕事に対する静かな情熱とストイックさ、そして職人としてのプライドが伝わってくる、とても力強い言葉です。

じっくり読めば、そこに仕事や生き方へのヒントが見えてくるに違いありません。

赤ペンチェックでいくつかご紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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夢をつかむことというのは、一気にはできません。ちいさなことをつみかさねることで、いつの日か、信じられないような力を出せるようになっていきます

毎年、気持ちは変わりますし、体も微妙に変わります。いいフォームが何年経ってもいいとは思いません。その時々の自分に合うフォームがかならずあるはずです

長く続く強い発見は、凡打をして、その凡打の理由がわかったときなのです

ぼくらのいる世界というのは、どういう自分であるかということを見てもらって、応援するかどうかは、見る側が決めることなのです

考える労力を惜しむと、前に進むことを止めてしまうことになります

ミスショットの原因は気持ちの中にあると思っていたのです。だけど違っていました。技術によるものでした

試合では、打ちたい球は来ない。好きな球を待っていては終わってしまいます

野球がうまくなる環境が作れるなら、投資をします。家は、そういうものです

相手が変えようとしてくるときに、自分も変わろうとすること、これがいちばんこわいと思います

首位打者を目標にしていたら、どこかで挫折をしていたでしょう

どんな状況でも、自分のパフォーマンスをしなくちゃいけません。どんな状況でも、一定のラインをクリアするのがプロですから

妥協をたくさんしてきたし、自分に負けたことも、いっぱいありますただ、野球に関しては、それがないというだけで

プレイを見るだけで、なにを語ろうとしているかわかる選手は、かっこいいと思います

モチベーションは、野球が好きだということです

成功とはとてもあいまいなものです。他人が思う成功を追いかける必要はありません
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『イチロー262のメッセージ』
http://tinyurl.com/cwvv2
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■目次■
第1章 イチローの精神と目標
第2章 イチローの準備と訓練
第3章 イチローの不安と逆風
第4章 イチローの形と野球観
第5章 イチローの技術と結果
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『借金国家から資産を守る方法 不動産編』

2005年07月02日 | Weblog
http://tinyurl.com/7g2ed

本日の一冊は、ベストセラーとなった『借金国家から資産を守る方法』の不動産編です。

※参考:『借金国家から資産を守る方法』
http://tinyurl.com/8c8ae


既に類書でも書かれている内容が大半ですが、不動産投資に潜むリスクや、関係業者の利害関係、今後のトレンドなど、ひと通り知りたいことが手際よく網羅されています。

業者のセールストークに騙されることなく、賢明な投資をしたいと考える読者には、それなりに読み応えのある内容だと思います。

ただ、不動産投資は、個別商品の需要と供給によって上がるか下がるかが異なるため、あまりこの手の論調にだけ左右されるのはいかがなものかと思います。

不動産投資に関わる最新動向をアップデートしておくという意味では、参考になる一冊かもしれません。
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■ 本日の赤ペンチェック
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世界的には不動産投資をする場合、すべての経費等精算後年利10%以上は常識です(中略)年利10%以上が常識と言う背景には、不動産投資はリスクが大きいということがあります。空き室のリスクもありますが、災害のリスクもあります

住宅販売業者に言わせれば、「家賃並みのローン負担で都心に広めのマンションを手に入れることも可能」(中略)でも、実際にはそんなことはありません。昔、高値で仕込んだ土地があまっているから買ってくれ」と言っているだけのことなのです

マンションの過剰供給は地価値上がりに水を差すことになるでしょう。それが不動産不況を引き起こします

都内で地価が上昇した地点を分析すると、四つのキーワードが浮かび上がってきます。それは「海外ブランド店」「都市の再開発」「マンションブーム」「不動産投資ブーム」です

私は基本的に人口が減少する国の不動産は上がらないと考えています

住宅ローン利用者は過去最高

賃料の取れない不動産の価値はゼロですから、資産としての価値はありません。それが現実です

近い将来、富裕税の導入が現実化すると、不動産価格はもっと下がります

海外不動産投資で成功したいなら実際に現地に住むこと

日本の会社のREITを見ると、身内の土地ばかりをラインアップに入れています

◆資産を守りながら増やすポイント
1.流動性を重視する
2.「投機」ではなく、効率いい「投資」を行う
3.資産を保全する
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『借金国家から資産を守る方法 不動産編』
http://tinyurl.com/7g2ed
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■目次■
はじめに プライベート・バンカーが教える不動産のこと
第1章 日本の不動産は上がっていくのか?
第2章 住宅ローン、不動産投資ローンの本当のこと
第3章 間違いだらけの不動産投資
第4章 プライベート・バンカーが教える資産の守り方・増やし方
おわりに
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