N試作場

ジャンルにとらわれず、新しい組み合わせ、おもしろいことを考えていきます。

ニトリの送料

2012年02月11日 | ビジネス試論

PCを見ていた奥さんが
「おもしろーい」と言うので何かと思ったら、

ニトリの通販サイトを見ていて、
送料を確認したら、こんな表示だったとのこと。



「普通、何千円以上買うと送料無料とか言うでしょ」

「うん」

「これって、逆よね。購入金額が高くなると送料も上がる」

「あ、そうだね」


例えば、ハンディクリーナー(1,990円)を1個買うと送料は500円。



ハンディクリーナーに電気ケトル(2,900円)とコーヒーメーカー(1,400円)を加えると、
合計で5,000円を越えるから送料は1,000円になる。




ただ、完成家具は送料無料(離島など一部地域を除く)とある。

「完成家具」というのは、学習机とか本棚とかベッドとか、
いわゆる「大型家具」のことらしい。

他の通販サイトを見てみると、様相が異なる。

これは「ディノス」の送料。



小さい物なら一度に何個買っても送料は一律350円。

ただし、荷物が大型になればなるほど配送料が高くなる。

次は「ベルメゾン」。



もう少し買えば送料無料になる…ということで、
一人当たりの購入金額を上げようという作戦である。

でも、本当に顧客の購買意欲にリーチしているのだろうか?

顧客目線から発想していくのがトレンドになってきている今、
なんだか企業側の理論は古くさい感じがしてしまう。

で、「ベルメゾン」も家具が大型になればなるほど送料が高くなる。

その他の通販は調べていないので、サンプルは少ないのだが、
ニトリの発想のベクトルは、従来の逆を向いているところに注目したい。

ニトリは、一体どういう観点で勝負しているんだろうか?

そういえば、出店計画も、店内がガラガラになるように考えている
という噂を耳にしたことがある。

空いているほうがお客さんが買い物がしやすいから、という理由らしい。

店が混みだすと、もっと人のこないところへ移転してしまうとも。

それが本当だったら相当ユニークだ。


送料に話を戻すと、

今や、amazonが、何でも送料無料という、
通販のルールを根底からひっくり返すような仕掛けをした。

念のため、大型の家具も確認してみたが、あらかた送料無料となっていた。

これからのネットショップは、よほどニッチに特化しているか、
ファンづくりをしているか、他では買えない商材を扱っているか、
何か強みがないと厳しいのではないか。

リアル店舗から、商店街やパパママストアが消えていったのと同じ現象が、
ネットの世界でも起こりつつあると思われるからだ。

ニトリについては、あまり詳しくないので分からないが、
分析してみたら、ユニークな戦略の全体像が垣間見えるかもしれない。

こうしたユニークさの裏には、従来の枠組みにとらわれない良質な「問い」がある。

・通販の送料は、なぜたくさん買うと安くなるのだろうか?

・店内は買い物客でにぎわっていないほうがいいのではないか?


ニトリは、そのほかにどんな「問い」を立てているのだろうか。




【オマケ】

ネットで検索したら、こんなPDFファイルを見つけました。

「ニトリの中期経営計画に関するお知らせ」