[昼下がり。地下鉄の車内。高齢のご婦人の会話が聞こえてくる…]
「うちのワンちゃんがね…」
「メールだか何だか知らないけどさあ、やっちゃって…。孫よ、ほら、下の娘」
「ああ。旦那さんは勤め人?」
「そう。コンピータ関係」
「へえ、そうなの」
「もう勝手にやってくれって感じよ」
「下の娘さん、男っぽいよね。元気というかさ」
「人は悪くないんだけど。小さい頃、近所の悪ガキどもに慕われてさあ…」
「へえ」
「“親分”とか言われてんのよ」
「会ったのは何年前だったかしらね~」
「下の子に言ったことあんのよ。あの子も21歳だから…」
「へえ」
「もうねえ…」
「うちは、ワンちゃんがね」
「あら、もう内幸町なの?早いねえ」
「あなた、次で降りるのよね。ところで、腰は大丈夫?」
「えっ?」
「腰は大丈夫?」
「ええっ?」
「 こ・し 。 腰よ」
「えええっ?」
「あなた耳は大丈夫?」
「ああ、腰ね。大丈夫よ」
「やっぱり70歳過ぎると何だかんだと…」
「あ、着いたわよ」
「じゃあ、あんたもお元気でね」
「ありがとう」
「えっ?」
「ありがとう」
「ええっ?」
「 あ・り・が・と・う! 」
「えええっ?」
「耳は大丈夫?」
「ああ、どういたしまして。じゃあ、またねえ」
[解説]
「うちのワンちゃんがね…」
「メールだか何だか知らないけどさあ、やっちゃって…。孫よ、ほら、下の娘」
( あ、犬の話はスルーした )
「ああ。旦那さんは勤め人?」
「そう。コンピータ関係」
( コ、コンピータ? )
「へえ、そうなの」
「もう勝手にやってくれって感じよ」
「下の娘さん、男っぽいよね。元気というかさ」
「人は悪くないんだけど。小さい頃、近所の悪ガキどもに慕われてさあ…」
「へえ」
「“親分”とか言われてんのよ」
「会ったのは何年前だったかしらね~」
「下の子に言ったことあんのよ。あの子も21歳だから…」
「へえ」
「もうねえ…」
( な、何を言ったんだ? )
「うちは、ワンちゃんがね」
「あら、もう内幸町なの?早いねえ」
( おいおい、犬の話も聞いてあげなよ )
「あなた、次で降りるのよね。ところで、腰は大丈夫?」
「えっ?」
「腰は大丈夫?」
「ええっ?」
「 こ・し 。 腰よ」
「えええっ?」
「あなた耳は大丈夫?」
「ああ、腰ね。大丈夫よ」
( 聞こえてんじゃん! )
「やっぱり70歳過ぎると何だかんだと…」
「あ、着いたわよ」
「じゃあ、あんたもお元気でね」
「ありがとう」
「えっ?」
「ありがとう」
「ええっ?」
( また、このやりとりかよ! )
「 あ・り・が・と・う! 」
「えええっ?」
「耳は大丈夫?」
「ああ、どういたしまして。じゃあ、またねえ」
( やっぱ、聞こえてんじゃん! )
「うちのワンちゃんがね…」
「メールだか何だか知らないけどさあ、やっちゃって…。孫よ、ほら、下の娘」
「ああ。旦那さんは勤め人?」
「そう。コンピータ関係」
「へえ、そうなの」
「もう勝手にやってくれって感じよ」
「下の娘さん、男っぽいよね。元気というかさ」
「人は悪くないんだけど。小さい頃、近所の悪ガキどもに慕われてさあ…」
「へえ」
「“親分”とか言われてんのよ」
「会ったのは何年前だったかしらね~」
「下の子に言ったことあんのよ。あの子も21歳だから…」
「へえ」
「もうねえ…」
「うちは、ワンちゃんがね」
「あら、もう内幸町なの?早いねえ」
「あなた、次で降りるのよね。ところで、腰は大丈夫?」
「えっ?」
「腰は大丈夫?」
「ええっ?」
「 こ・し 。 腰よ」
「えええっ?」
「あなた耳は大丈夫?」
「ああ、腰ね。大丈夫よ」
「やっぱり70歳過ぎると何だかんだと…」
「あ、着いたわよ」
「じゃあ、あんたもお元気でね」
「ありがとう」
「えっ?」
「ありがとう」
「ええっ?」
「 あ・り・が・と・う! 」
「えええっ?」
「耳は大丈夫?」
「ああ、どういたしまして。じゃあ、またねえ」
[解説]
「うちのワンちゃんがね…」
「メールだか何だか知らないけどさあ、やっちゃって…。孫よ、ほら、下の娘」
( あ、犬の話はスルーした )
「ああ。旦那さんは勤め人?」
「そう。コンピータ関係」
( コ、コンピータ? )
「へえ、そうなの」
「もう勝手にやってくれって感じよ」
「下の娘さん、男っぽいよね。元気というかさ」
「人は悪くないんだけど。小さい頃、近所の悪ガキどもに慕われてさあ…」
「へえ」
「“親分”とか言われてんのよ」
「会ったのは何年前だったかしらね~」
「下の子に言ったことあんのよ。あの子も21歳だから…」
「へえ」
「もうねえ…」
( な、何を言ったんだ? )
「うちは、ワンちゃんがね」
「あら、もう内幸町なの?早いねえ」
( おいおい、犬の話も聞いてあげなよ )
「あなた、次で降りるのよね。ところで、腰は大丈夫?」
「えっ?」
「腰は大丈夫?」
「ええっ?」
「 こ・し 。 腰よ」
「えええっ?」
「あなた耳は大丈夫?」
「ああ、腰ね。大丈夫よ」
( 聞こえてんじゃん! )
「やっぱり70歳過ぎると何だかんだと…」
「あ、着いたわよ」
「じゃあ、あんたもお元気でね」
「ありがとう」
「えっ?」
「ありがとう」
「ええっ?」
( また、このやりとりかよ! )
「 あ・り・が・と・う! 」
「えええっ?」
「耳は大丈夫?」
「ああ、どういたしまして。じゃあ、またねえ」
( やっぱ、聞こえてんじゃん! )