N試作場

ジャンルにとらわれず、新しい組み合わせ、おもしろいことを考えていきます。

文体練習34 「お客様へのハガキで差をつけろ!」

2013年03月23日 | 文体練習
[ とある美容院。男性スタッフの加藤が、女性スタッフの田畑に声をかける ]

加藤   お客さんに出すハガキの文章を考えてみたんだけどさ

田畑   おっ、やってますね~

加藤   ま、だいたいイイ感じで書けたんだけど、ちょっと見てくれる?

田畑   いいですよ~


 ひと雨ごとに寒さもつのり 冬めいてまいりました。
 山口先生におかれましては、お元気でご活躍の事と存じます。

 さて、先日はお忙しい中、お時間をお取りくださり、
 ご来店賜りましたこと心よりお礼申し上げます。

 また、ご来店時は、貴重なお話をお聞かせ頂き誠にありがとうございました。
 山口先生の鋭気に富んだお話で、たくさん学びを得ることができました。

 お陰をもちまして、有意義な美容活動の場を持つことができました。
 伏してお礼申し上げます。

 微力ではありますが鋭意専心努力する所存でございますので
 今後ともよろしくご指導とご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
 
 末筆ながら、先生のご活躍をお祈りいたしております。




田畑   う~ん、ちょっとカタイですね

加藤   そうかなぁ…

田畑   それに「先生」ってなんですか。 はは

加藤   やっぱりフレンドリーなほうがいいかな?

田畑   そうですね

加藤   実は何パターンか書いてみたんだ。ほかのも見てもらえる?

田畑   いいですよ



 山口 和江 chan

 ちょっとさー、こいよー。
 
 ぶっちゃけ、最近ヒマなんだよね。
 今週か、来週の早いうちに来れる? 待ってます。

 野田さん、いつも同じ服着てるじゃん。 また同じかなー。 楽しみ ((o(*゜▽゜*)o))

 誕生日いつだっけー。 おめでとう。

 じゃあね (^_-)-☆

 P.S. 野田さんの髪、まじハンパなく多いっす。 早めに切ろうよ~。 こっちも楽だし(爆)



田畑   ぶっちゃけすぎです

加藤   う~ん。「こいやー」にしたほうがよかったかな。「出てこいやー!」かなぁ

田畑   変わりません! それに名前、間違えてますから。途中から

加藤   じゃ、こっちはどうかな


 
 いつも当店をご利用いただきまして、ありがとう御座います
 お客さまの髪点検の日が近づいております

 今日は調子よくても明日は?

 カットやシャンプーはお客様にとっては重要なことです。
 ご来店を忘れないように。

 【ご来店の際、あらかじめご用意いただくこと・もの】
  ●事前洗髪
  ●歯みがき
  ●お好みの本・週刊誌
  ●お金

 ※平日はCUT予約が21時迄OK!
  (でも早く帰りたいときもあるので、お店じゃなく僕のメールに直接連絡ください)

 ☆まごころサービス☆
 これからも<お客さま目線>でがんばってまいります



田畑   車検ですかっ!

加藤   ばれたか。次は自信あるよ~

田畑   まだあるんですか



 いよいよ冬到来ですね。ヒートテック着始めた加藤です。

 パーマのかかり具合は、いかがですか?
 気分によってはワックスなどで軽く立ててみるのも素敵だと思います。

 トライ&エラーで、実践の中で技術を上げていきたいです。
 また新しい髪形に挑戦したいので、ぜひ来てください。

 僕のトリートメントは、かなりヤバいです。

 さてさて先日は、映画を観に行きました。
 美容室がテーマなんですよ。

 店員がお客さんを好きになって、ラストシーンでは
 カットをしている最中にかっとなり(ダジャレではありません)、
 持っていたハサミでお客さんを切りつけてしてしまうんです。

 今後の仕事の参考にもなる映画でしたよ。

 野田さまも、ご来店前に観られてはいかがですか?

 お体をご自愛下さい。 お体くれぐれもお大事に。




田畑   怖いでしょ!

加藤   でも、観ちゃったからなあ。映画

田畑   なにげに「エラー」とか言ってるし

加藤   ははは。じゃ、次

田畑   ずいぶん書きましたね…



 和江へ

 ちゃんと髪洗ってるか? 月に一度は美容室に行きなさい。

 外食ばかりしないで、ちゃんと栄養を考えて、たまには自炊しにゃーとあかんよ

 店長も心配していたよ。

 それから、今月来店すると全メニュー20%OFFなんだってね。

 このはがきを持参するとワンドリンク無料サービスさせていただきますとか
 言っていたよ。ぜひご利用ください。

 ****************************************************
   ☆忘年会コース始めました☆
   お友達誘い合ってみんなでお越しください。貸切もできます。
   幹事の方には、一度でお得『2回無料カット券』をプレゼント!
   一回のご来店につき、30円が被災地に寄付されます。
 ****************************************************



田畑   何からつっこんでいいか分からない…

加藤   「居酒屋ですか!」とか言うんでしょ~。「ふるさとのお母さんですか!」とか~

田畑   てゆーか、出さないほうがいいっす

加藤   えっ、もう2番目のを清書して出しちゃったよ

田畑   えーー!

文体練習18 「禁煙アイデアコンテスト」

2013年02月14日 | 文体練習
[ とある会議室。社内コンテストの選考会が行われている。]

PJリーダー:「前回の社内プロジェクトチームは…」


紙のムダ遣い!やめようよPJ


「このPJは、訳の分からない提案をしたあげく、
ムダ紙で千羽鶴を折って、ロビーに飾っただけでした…」




「今回の禁煙PJでは、“禁煙アイデアコンテスト”と題して、
社員からアイデアを募集しました。ここまでは順調です」

総務部長:「どのくらい集まったかな?」

メンバー:「3件です」

総務部長:「す、少ない!!」

PJリーダー:「では、ひとつずつ検討していきましょう」


 *  *  *  *  *



1.口を縫う



2.禁煙成功者にはお好きなタバコを1年分進呈
  (組み合わせは自由)



総務部長:「どれもダメだろ」

平田:「飛び入りですみませんが、こんなのどうでしょう…」


タバコに顔をかいて驚かせる



平田:
「うちの子を乳離れさせるときに、母親のおっぱいに顔をかいたんです。
驚いたのなんのって。ワーっと泣きましたけど、これは効果てきめんでした」


PJリーダー:「え~っと、次いきます。リストの3番ですね」


3.タバコ吸ってもよろしい


総務部長:「え、いいの?」

PJリーダー:「続きがあります」


…でも煙はくべからず。


総務部長:「一休さんかよ!」





平田:「あっ、じゃあ、会社の金をつかいこんで、ばれたときに、

タバコをたくさん吸って死んでお詫びをしようと思ったんです。

そういって、泣きながら吸うのはどうでしょうか?」


総務部長:「いったい何の話だよ!!」


窓際係長:「ちょちょ、ちょっとよろしいでしょうか?」

PJリーダー:「よろしくないです」

窓際係長:
「さきほど、2番のアイデアでタバコの組み合わせは自由、とありましたが、」

吸う人は結局、銘柄決まってるんですよ!

「組み合わせって言っても意味ないですねー」

総務部長:「だから、この案そのものが意味ないんだよ!」


 *  *  *  *  *


平田:
「部長、知ってます?」
「女子社員の間では、喫煙室はナチスのガス室って呼ばれてるんですよ」

総務部長:「へ~、そうなのか」

平田:「扉に“ガス室”って紙を貼っておけば吸う人減るんじゃないですかね?」

総務部長:「それは見栄えが悪いなあ」

平田:「じゃ、どうですかね、喫煙者全員を喫煙室に集合させて有毒ガスを流し込んでは?」

総務部長:「本当のガス室になっちゃうだろ!」

PJリーダー:「平田、お前タバコ吸わなかったっけ?」

平田:「あ、」


(了)


文体練習14 「業務改善」

2013年01月24日 | 文体練習
[ とある会社の会議室 ]

社長:「今日は総務部から業務改善についての提案があるそうだね」

総務部長:
「はい。最近は社員間のコミュニケーションが希薄になってきています。
そこで、社内の風通しを良くするための方策をメンバーに考えてもらいました」

「うちの平田と鈴木が発表します。私も今日初めて聞くのですが…」


 *  *  *  *


平田:「あっれー、うちは社員数が多いから、同じ社内でも知らない人が多いなあ」

鈴木:「平田くん、誰が誰だかすぐ分かるようにする工夫はないかな?」

平田:「そうだ!あれが、参考になるんじゃない?」   

鈴木:「と、申しますると?」


 冠位十二階(かんいじゅうにかい)



鈴木:「お、聖徳太子だね。冠の色で互いを識別したんだってね」





平田:「さて、みなさん。我が社も役職によって帽子を変えると~?」

鈴木:「社内でも声をかけやすい!」

平田・鈴木:「それではモニターをご覧ください」


 *  *  *  *

[ モニターにテロップが流れ出す ]

業務改善案~社内の風通しをよくするために~

係長の場合




平田:
「みなさま、おなじみの山村係長です(笑)。帽子をかぶるとこのように…



誰が見ても係長だと分かります」

鈴木:「夏はサンバイザーに衣替え。頭も涼やかです」




課長の場合




営業部長:「カーニバルかよ!」

鈴木:「こちらもサマー・バージョンがあります」




部長の場合




営業部長:「酋長かよ!」

社長:「おいおい、だんだん派手になるな。私は一体どんなことになってしまうんだ?」





社長:「金の権化かい!」

平田:「海外出張のときは…」





 *  *  *  *


鈴木:
「平田くん。平社員たちはどうするの?」
「もっとみんなの交流を深められないかな?」

平田:「鈴木くん。心配ご無用!モニターをご覧あれ!」


未婚の場合




営業部長:「まずいだろ!」


バツイチの場合




鈴木:「困ったなあ~。うちの会社にはバツヨンの岡部さんがいるじゃない」

平田:「鈴木く~ん、心配ご無用!モニターをご覧あれ!」





鈴木:「さすが、平田くん!」

平田:「まだまだあるよ」


お局様(おつぼねさま)の場合




営業部長:「頭から蛇…。あ、メドゥーサか!つか、おまえら怒られるぞ」

鈴木:「お客様が来たときはどうするの?」

平田:「心配ご無用!来客用も用意してあるよ」





鈴木:「スリッパか。ナイスアイデアだね」

社長:「失礼だろ!」


 *  *  *  *


鈴木:「この改善案を導入したら社内はどんな感じになるの?」

平田:「モニターをご覧あれ!」

会議風景



鈴木:「平田くん、これはスゴイ!一目瞭然だね」


社員食堂風景




鈴木:「類は友を呼ぶ、だね」

平田:「はっははは。うまいな鈴木くん」

窓際係長:「う~ん、まずいでしょ。これ」

社長:「また、おまえか」

窓際係長:
「社員旅行で温泉に入ったら帽子を脱ぎますでしょ」

「分からなくなりますよ!」

「この案には大きな穴がある、そう言わざるを得ません」

営業部長:「この案そのものが穴なんだよ」


 *  *  *  *


鈴木:「ところで、平田くん。この改善でどんな効果が期待できるかな?」

平田:「社員のヤル気が高まります。我が社の業績もぐんぐん上がるかもよ~~」

鈴木:「我々のボーナスもアップ、アップと願いたいところ」

平田・鈴木:「わっはははは」

総務部長:「……」

平田:「鈴木くん。早速、うちの会社に導入しちゃおうか?」

鈴木:「いいね。すぐにやろうよ」

社長:「やる訳ないだろ!!」

文体練習36 「 顧客接点」

2013年01月17日 | 文体練習
[ 外資系スーパーのレジに並んでいる夫婦。前の客(おばあさん)がレジの店員と会話している ]

   大晦日からずっと寝てたよ

店員   やだ~、体には気をつけてね

   少し歩かなきゃね

店員   そうだね。 本当に元気でね



 *  *  *  *  *  *



[ 買い物を終え、帰る道すがら話をする夫婦 ]

   いやー、さすがだな


   なにが?


   あの店の顧客対応さ。低価格だけじゃないね


   ああ


   形式ばらず、お客さんとの「フレンドリーな関係」を目指している。
    企業の狙いとして顧客接点である店舗で「おもてなし」をしているんだね。
    そのあたり、かなり現場の裁量に任されていると思うよ

    一見なれなれしいように見えるかもしれない。かもしれないけど、
    高齢者なんかは、あのくらいの距離感がいいんだよ

    なんて言うかなー、ひと昔前の商店街のお店というかさ、
    『サザエさん』で言えば三河屋の三平さんみたいなさ
    あんな感じでやってれば高齢者のリピーターが増えるだろうな


   


   ……


   ブランド戦略だね。 戦略的にやっている個別対応だよ。 すごいね
    お客さんが何を求めているかは個人個人違うし、
    一律にマニュアルでコントロールできないでしょ?
    恐らく、ザッポスとかああいうの相当研究してると思うよ


   あの二人、知ってる。 親戚だよ

文体練習32 「お好み焼き屋」

2013年01月13日 | 文体練習
[ お昼休み。新しくオープンしたお店を見つける佐藤と平田 ]



佐藤   おっ、お好み焼か

平田   いいですね。 入ってみましょう


 *  *  *  *  *


店員   いらっしゃいマセ

平田   え~と、お好み焼ください

店員   ありません

平田   え、焼きそばとか、たこ焼とかは?

店員   ありません

佐藤   じゃ、何があるの?

店員   「 海鮮丼 」 と 「 たらこ丼 」 と 「 釜揚げシラス丼 」です

平田   市場の朝ごはんかよ

店員   あ、あと日替わり定食は 「 中華丼 」 か 「 天丼 」

平田   どんぶり専門店かよ!

佐藤   なんだぁ、お好み焼ないのか~。 平田くん、どうする?

店員   あ、チヂミならあるよ

後ろを振り返り、大声で厨房へ声を掛ける店員

店員   おかあさ~ん、昨日の晩ごはんの残り、冷蔵庫に入ってたよね?

佐藤   (苦笑して) 晩ごはんの残りって何だい。 じゃあ、俺は海鮮丼でいいや

平田   じゃ、チヂミ

佐藤   えっ、食べるの?


 *  *  *  *  *


食べ終わり会計をする佐藤


店員   ありがとうごじゃいました

佐藤   はいどうも


店を出る二人


平田   ごちそうさまでした

佐藤   いやいや。 でも、海鮮丼、意外とウマかったよ

平田   そうなんですか

佐藤   チヂミは?

平田   まずかった。 ナンかと思った



佐藤   え~、まずいの!

文体練習20 「タクシー」

2013年01月11日 | 文体練習
[ タクシーに乗り込む若者。]

若 者:「小森駅までお願いね」

運転手:「はい」


[ ふと、ドライバーのネームプレートを見て ]




若 者:「あれ? 仮免許って…」
     「運転手さん、まだ仮免なの?」

運転手:「ちがう」

若 者:「だって、ほら。顔写真の横に書いてあるじゃん」

運転手:「“仮免許”ちがう。“仮 許免”。わたくしの名前」

若 者:「仮許免? 仮さんてお名前?」

運転手:「そう」

若 者:「ドライバーさん、外国の人?」

運転手:「そう。わたくしの部族では、よくある名前よ」

若 者:「へ~」

運転手:「わたくしの親戚に“無許免”もいるよ」

若 者:「まぎらわしーなあ。仮免許に無免許だって、ハハ」

運転手:「ちがうよ。“免許”でなくて“許免”ね」


 *  *  *  *  *


運転手:「あー、お客さん、お願いがある」

若 者:「なに?」

運転手:「タバコくれ」

若 者:「え~、ないよ」「普通、客にせびらないっしょ」

運転手:「そうか…」


[ タクシーが小森駅に着く。 ]


若 者:「えっと、いくらだっけ?」

運転手:「1万円」

若 者:「えー!高いよ」

運転手:「じゃ、無料でいいからタバコ1本くれ」

若 者:「どんだけタバコ欲しいんだよ


(了)






文体練習13 「プロジェクトチーム」

2013年01月09日 | 文体練習
[ とある会社の会議室 ]

議長:
「我が社では、今まで様々なプロジェクト・チームが結成された」
「記憶に新しいのは…」


 自販機PJ


「このPJは、我が社の自動販売機から、お汁粉を撤去し、コーンポタージュを投入しただけだった」

「そして今回、社長の肝入りで結成されたのが、」


紙のムダ遣い!やめようよPJ


「これから、この3ヶ月の活動の成果を報告してもらいたい」


PJリーダー:
「我々PJは、あれもこれも…ではなくて、
【一点突破型】の提案を上申いたします」

「検討の末、我々が注目したのが名刺です」

「今まで、どれほどの名刺が刷られ、交換され、捨てられていったことでしょう」

「このムダを省くことで、紙資源は大幅に節約できます。
パワポをご覧ください」

「まず、紙じゃなくても手のひらがあるじゃないか!と発想しました」



「手のひらに印刷すれば、何回でも誰にでも名刺をみせることができます」

社長:「印刷??」

PJリーダー:「いわゆる刺青(イレズミ)です」

課長:「実現性はともかく、部署異動したらどうするんだ?」

PJリーダー:「右手を使ったら左手を使え、ですよ」

課長:「さらに異動したら??」

PJリーダー:「足の裏があります」




PJリーダー:「昇進したときは、豪勢に背中に彫りましょう」




PJリーダー:「定年退職する頃には、次の図のようになります」




課長:「耳なし芳一かい!」


窓際係長:「えーっと、いいですか。ひとつ疑問がありますが…」

部長:「また、おまえか」

窓際係長:
「あのー、最後の図ですが、これ一体どこを読んだらいいんでしょう」
「問題あるんじゃないでしょうか」

部長:「そこかよ!」

PJリーダー:「最後に」

PJメンバー全員:

「今日からやりましょう。今すぐできます!」

「紙のムダなくそうよナウ!」


PJリーダー:「以上でPJからの答申を終わります」

社長:「できるかっ!」

(了)


文体練習42 「 有限会社カオス 」

2012年11月24日 | 文体練習
[ 有限会社カオス。 ここでは全ての事務が混沌としている。そんな会社にも電話はかかってくる… ]

高木   はい、カオス営業部高木です

松本   あ、山田商事の松本です。あの~、先日の件なんだけど…

高木   少々お待ちください

田畑   はい、お電話代わりました 経理部の田畑です

松本   田畑さんでいいのかな、ほら、先日の請求の件でさ…

田畑   はあ、その件ですね。少々お待ちください

高木   お電話代わりました。営業部の高木です

松本   ははは。また高木さんか。えっと…

高木   すいません。少々お待ちください

田畑   お電話代わりました 。経理部の田畑です

松本   何で交互に出るんだよ!

田畑   あ、大変失礼しました。少々お待ちくださいませ

社長   お電話変わりました社長の富田と申します

松本   え、富田社長! 確かに交互じゃないけど…

社長   は?

松本   あわわ、申し訳ございません。つい…、でも何で富田社長が出られたんですか?

社長   いや~全く分かりません。はっはっは。ちょっと待ってくださいね

前田   はい。管理室の前田です

松本   え~~!!

[ たらい回しにされたあげく営業の高木に回される ]

松本   結局、高木さんか。一体どうなってるの?

高木   申し訳ございませんでした。

松本   まあ、いいや。それで、請求金額はアレで先方のOK取れたの?

高木   それなら、ああ… よろしくお願いします

松本   よろしくの意味がわからないよ 

高木   そうですね~、少々お待ちください

[ 保留音が鳴り、数分待たされる松本 ]

高木   お待たせしてすみません

松本   いや~、別の人に変わらなくてよかったよ。ははは

高木   大変申し訳ないんですが、今、田畑に話しましたので、もう一度、田畑に代わります

松本   …

田畑   よろしくお願いします、経理部の田畑です。その件はよろしくお願いします。

松本   だからよろしくって何なんだよ!

文体練習41 「 特別メニュー 」

2012年11月18日 | 文体練習
[ 洋食屋に入った一組の男女。メニューを見ながら話している ]

   ねえ、この 「 いろいろスパゲティ 」 って何かな?

   お店の人に聞いてみよう


[ 店員が通りかかる ]


   あの~、 「 いろいろスパゲティ 」 って何ですか?


[ ニコーと笑って去って行く店員 ]


   あれ? 行っちゃったよ

店員   ( 厨房に向かって ) いろスパ2ちょう! ひとつ大盛りね

   え、ひょっとしてオーダー入っちゃってない? 聞いただけなのに

   まあ、いいんじゃない…


[ 隣の席に若い女性二人が座る ]


隣A   なに~これ~。 「 いろいろ 」 って。きゃはは

   ( おっ、同じ展開になるぞ )

隣B   すみませ~ん、 「 いろいろスパゲティ 」 って何ですか?

店員   ああ、これはですね。お皿が4つに区切られていまして、そこに4種類のパスタが入ります

   えっ

店員   旬のお野菜とか、お魚を使ったのが二品、あとはナポリタン、カルボナーラ、
      それから、うにのクリームパスタ、イカすみ、タラコから二品選べます

   ( 説明してんじゃん )

隣A   えぇ~、おいしそう!! じゃ、わたしエビドリア

隣B   わたしは洋風茶漬け

   ( おい、頼めよ )


[ 店員が男女のテーブルにパスタを運んでくる ]


店員   はい、 「 いろいろスパゲティ 」 ね

   だから頼んでないって!

   おいおい…


[ 店員、女のほうに大盛りを置く ]

   アタシが大盛りかよ

   ん? これナポリタンですよね?

店員   はい

   4種類のパスタじゃなかったんでしたっけ…

店員   だから “ いろいろ ” です

[ ニコーと笑って去って行く店員 ]


文体練習40 「 読み聞かせ会 」

2012年07月14日 | 文体練習
[ とある保育園。 今日は読み聞かせ会の日。 ]

園 長   今日は先生たちが、順番に一番好な本を読んでいきます

園児達   は~い

園 長   最初は、ゆりこ先生から。 ゆりこ先生はどの本が好きなのかな?

保母A   はい。 ゆりこ先生の一番好きな本は 『しょうぼうじどうしゃ じぷた』 です

男児達   あー、それ知ってるー! おれも好きー!



保母A   あるまちの まんなかに しょうぼうしょが ありました…


[ ゆりこ先生の読み聞かせが終わる。次の先生の出番。 ]


保母B   みき先生は 『ぐりとぐらだよ』

女児達   やったー! わーい



保母B   のねずみの ぐりと ぐらは おおきなかごを もって…


[ だんだんと園児たちも盛り上がってくる。 ]


園 長   最後は経さんね。

保母C   経先生は森本哲郎の 『この言葉!』 を読みます



園 長   え?

保母C   なぜ、人間は遠きを求めるのだろう。 「遠き」に夢を求めるからである。
       遥かな目標をめざすゆえだ。

       たしかに、高遠な理想を掲げるのは、おおいに結構なことである。
       しかし、そのために、足もとを見失えば、つまずいてしまう。

       メーテルリンクの童話『青い鳥』も、それを諭している。
       青い鳥(幸福)を求めて、さんざん森を探し回ったすえ、
       わが家の鳥カゴのなかに、その「青い鳥」を見つけるチルチルとミチルの物語だ。

       幸福はごく身近にある。

       ただ、人はそれに気づかないだけなのである。


[ 静まり返る会場。 微妙な空気が流れる。 気にせず続ける経さん。 ]


保母C   幸福は「ある」ものではない。 幸福に「する」ものなのだ。

       どんな状況や境遇にあっても、幸福は自分で作り出すもの、
       という自覚がいちばん大切であるはずなのに、
       人間は、つい、それを見失ってしまう。


[ 口を開けて茫然と経さんを眺めている園児達。 ]


保母C   もういちど、自分の足もとを見つめ直すべき時が、
       いま、個人の生活にも、そして社会にも、
       訪れているのではなかろうか。

園 長   あっ、終わりましたかね

保母C   第2章。 ある夏。 オアシスでの午後のこと。 ぼくは退屈しのぎに…