幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

「命令違反が組織を伸ばす」 菊澤研宗著 日本の戦争時の事例から

2015-02-08 03:52:38 | 本の紹介
限定的合理性
 人間の情報認識能力は限定されており、人間はそこで得た不完全な情報の中でのみ合理的に行動する。

二つの不条理
1)タイプⅠの不条理

正当性と効率の不一致が生みだす不条理である。限定的合理的な世界では、正当なことと効率的なことは必ずしも一致しない。 
2)タイプⅡの不条理
私的個別性と社会性の不一致が生みだす不条理である。限定合理的な世界では、しばしば(指摘利益・正当性)と(社会的利益・正当性)とか一致しない。

タイプⅠの不条理
インパール作戦での牟田口康也

 38,000人の日本軍を飢餓と弾薬不足によってジャングルの泥濘のうちに白骨化させたインパール作成は、戦史上、最悪の作戦といわれ、兵站や自然条件を完全に無視したまったく異常で杜撰なものであった。

タイプⅡの不条理
ガダルカナル戦での白兵突撃戦術での一木清直

 一木大佐は「白兵威力による夜襲で、飛行場占領までは銃剣突撃により、占領後はじめて発砲を許す」と豪語して、軍刀を振りかざして突進していった。これにより一木隊916人のうち、777人が戦死した。そして15人が捕虜となり、残り100人がジャングルに逃げ込んで増強部隊の到着を待つという最悪の結果になった。

タイプⅠの不条理を打破する命令違反
ベリリュー島での中川州男n良い命令違反

 命令に違反して持久作戦。大本営の米軍を水際撃滅戦術に固執してそれを繰り返して絶滅していたので、命令違反で持久戦を選択した。米軍の上陸から2か月抵抗を続け、中川大佐死去後も、部下は戦争が終結したのも知らず戦い続けた。

ノモハン事件での辻政信の悪い命令違反
 日本陸軍史上にける最悪の戦いの一つでもある。56,000人の日本兵のうち、死者が8,440人、負傷が8,766人で、死傷率は30%にも上がった。これを指揮していたのが関東軍の若き参謀 辻政信中佐であった。ノモハン事件の際に、辻は捕虜交換によって送還されてきた将校に対して、病院に榴弾を持ち込んで、武士の恥を雪(すす)げと自決を強要した。その際、嫌がる将校の泣き叫ぶ声が室外にまで響き渡ったといわれている。ある大隊長が遺書を残して自殺した。この時、辻はこれを武士の鑑(かがみ)であるとして、ことさら強調し、その上で、これは将校だけに適用し、下士官には適用しないとした。戦後、辻は戦争犯罪人としての追及を避けるために、僧侶に姿を変えてタイの寺院に身を隠し、その後ラオス、ベトナムを経由して中国に潜伏する。そして、戦犯の時効成立を見定めると、昭和25年に突然東京に姿を現した。以後、政治家として衆議院、参議院に当選し、一匹狼として政治の舞台でも活動した。

タイプⅡの不条理を打破する命令違反
ミッドウェー海戦での山口多聞の良い命令違反

 「飛龍(空母)は直ちに敵に向かって進撃、飛龍一艦で敵空母と差し違えるのだ」と命令した。懲罰を恐れぬ指揮官の勇気ある決断でモチベーションが高まり、指揮官の意気に応えようという雰囲気が艦内に醸成された。敗戦のミッドウェー海戦の中で一矢報いた。

レイテ海戦での粟田健男の悪い命令違反
 当時、マッカーサー司令部以下輸送船団80隻は、砲弾不足を危惧する金経度護衛艦隊のもと、無防備な状態でレイテ湾を揚陸中であった。もし、粟田艦隊が当初の命令通り、レイテ湾に突入していれば、日本軍の作戦目的は達成されていた可能性が十分あった。おとりになった小澤艦隊は、空母四隻を失ったのと引き換えに、ハルゼー率いる米空母部隊を北方におびき寄せるのに成功していた。このチャンスに命令通りにレイテ湾に進行していれば、揚陸中の砲弾も爆発して火の海になっていたと思われる。戦艦大和を指揮していた粟田中将の命令違反によって、小澤艦隊の犠牲を無駄にしてしまった。粟田中将は戦艦大和を守りたかったと思われるが、結局大和は沖縄に向かう海上で米軍の攻撃を受け沈没した。後に米国戦略爆撃調査団の質問に対して、粟田は狭い湾内では艦隊の動きが窮屈で十分な戦果が得られない。そのため、外海で強力な艦隊と戦う方がよいと思ったと答えている。そして、反転命令(レイテ湾に向かっていたが反転した)については、「三日三晩寝なかったために、疲労の極み、判断を誤った」と述懐している。「そのときは最前と信じたが、今では自分が悪いと思う。命令を守らなかったのは軍人として悪かった」

命令違反マトリックス
命令         非効率的命令         効率的命令

反社会的命令   反社会的非効率的命令     反社会的効率命令
         タイプⅠとⅡの不条理     タイプⅡの不条理 
         (組織自滅・淘汰)       (組織淘汰)

社会的命令    社会的非効率的命令      社会的効率的命令
          タイプⅠの不条理         服従
           (組織自滅)       (組織生存・選択・進化)

カントが発見した内なる道徳法則
「君自身の人格ならびに他のすべての人の人格に例外なく存するところの人間性を、いつでもまたいかなる場合にも同時に目的として使用し決して単なる手段として使用してはならない」

「これから行う行動は命令違反であり、たしかに不正かもしれない。しかし、これを実現させれば、必ずや他の組織メンバーのため、あるいは組織のため、社会のためになる。そして、最後はメンバーの誰かにわかってもらえるのだ」といった思いを抱き、他方で上司が、「あいつの行動はたしかに命令違反だ。しかし、あいつはおそらく自分の目的達成だけのために、それゆえわれわれを単なる手段をして扱っているとは思えない」と思うような関係が必要となるのだ。

感想;C級戦犯として上官の命令で捕虜を銃殺した兵士が処刑されました。一方、多くの兵士を白兵戦や悪い命令違反で死なせてしまった上官が処罰されることもなく、生きながらえました。
戦争する判断をした人、戦地でも戦場の現場に行かずに後方で指揮した人が生きながらえて、戦争にかりだされた人が亡くなっている。武力行使による解決は、犠牲と憎しみの連鎖を生みだすだけで、真の解決手段にはならないということを歴史が証明しているのですが。