新・桜部屋

主に伝統芸能観劇記。
その他鑑賞日記

歌舞伎座新開場 杮葺落六月大歌舞伎 (2013/06/16)

2013-08-01 23:05:35 | 歌舞伎鑑賞雑記
第1部 
>鞘当
橋之助と勘九郎,女将に魁春。
叔父と甥と,イトコ同士?そういえば,橋之助と勘九郎はよく似た体型です。
すこしもったりした立ち回りのあとで,喧嘩をおさめる女将。画面がきりりと締まった所で,太刀と鞘が入れ替わって見得。衣装と台詞と見得の様式美,あたまを空っぽにして見ていて染みるようでした。


>喜撰
三津五郎家のまさにお家芸。
これを観ておけば,末代まで自慢が出来る踊り盛り三津五郎の至芸。
色に迷った高僧が茶汲み女(時蔵)相手に世にもおかしな舞踊を繰り広げます。まさに自在な手足の運び。そして弟子連中が舞台に上がるやいなや,背筋を伸ばしただけで高僧のたたずまいに変化。そこからの,茶屋女のしぐさ,見立ての道具で勢いのある舞いの数々。
圧倒されつつも,この踊りになんなく比肩できたのは勘三郎しかいなかったのだと再び確認してしまいました。

>俊
吉右衛門の俊,広く大きく使いやすくなった舞台のおかげでスムーズな場面転換。
仁左衛門さんの丹左衛門は,ほんとうに瀬尾(左團次)がうっとうしかったのだな,と思わせます。俊の狂乱に乗じて邪魔者を始末してしまう,善人にみせかけた色悪の気色。
芝雀の千鳥はじたばたした海女のかわいらしさが充実,そこに切なさ。
出て行く舟,見送る俊。新設の回り舞台がなめらかに展開して渚に潮が満ち,丘に駆け上った俊の表情が一瞬で虚になり魂もなにかもすべて抜け落ちてしまう終劇。この後まもなくの死まで感じさせる俊でした。

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