新・桜部屋

主に伝統芸能観劇記。
その他鑑賞日記

歌舞伎座新開場柿葺落 七月花形歌舞伎 夜の部(7月19日観劇)

2013-08-01 22:52:22 | 歌舞伎鑑賞雑記
通し狂言東海道四谷怪談
 伊右衛門に染五郎,我が儘で男前,誘惑に弱くて意志の弱い浪人。色男から悪人に変わり,岩に取り殺される気弱な男になるまでの変化が見事。
菊之助のお岩はほんとうに血の道の病かと思うくらい,具合が悪そう。早変わりと仕掛けは若さをもってすれば,もっとキレがあってもよいのでは?前回の勘三郎のほうが,目を奪う緩急の工夫があったように思う。
ただ,前髪立ちの伊右衛門と良家の娘・岩との逢瀬の場面はこの世のものとは思われない美しさでした。これが伊右衛門の見た過去の情景を再現したものだったとすれば,ロマンチストで尻の座りの悪い浪人がとった支離滅裂な行動が現実逃避の為だったのだろうと推測がつきます。
松緑はこのたびも粋な江戸っ子。こればかりで気の毒な感もあるものの,はじける気っぷのよさは時分の花。堪能させていただきました。

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