新・桜部屋

主に伝統芸能観劇記。
その他鑑賞日記

「纏足の靴~小さな足の文化史」

2006-03-21 15:49:50 | よみもの
ドロシー・コウ著;2005年平凡社刊
台北へ旅行した際、骨董品店の店先で本物の纏足の靴を見たことがあります。正直、その小ささと古びた生々しさにぎくりとしました。
本書に所収の纏足靴コレクションの写真には、纏足に対する古今の視点が如何にかけ離れているのかについてしみじみ考えさせられる何かがあります。掌の上に咲く刺繍の靴(錯視によって実際より足を小さく見せるテクニック)、単に足を縛り上げ変形を促すものではなく足の骨の再構成によって成される金蓮三寸。人目にさらされることで終焉を告げた纏足の伝統。読み応えのある本でした。