新・桜部屋

主に伝統芸能観劇記。
その他鑑賞日記

歌舞伎座新開場五月こけらおとし3部(2013年5月28日)3階A席東

2013-05-29 23:53:21 | 歌舞伎鑑賞雑記
>梶原平三誉石切
梶原平三景時に吉右衛門,無骨で渋い関東武士。菊五郎が大庭三郎景親。中盤までのいい人ぶりから後半は短気の演じ分けで,物語の流れが非常に分かりやすくなっていた。娘、梢に芝雀,父に歌六。
芝雀の娘役は「歌舞伎らしい」完璧な娘の型。歩き方,身もだえ方,最後に景時との目線が合っての恥じらいよう。父と娘のかけあい,景時と親子のかけあい,せっぱ詰まっていてもどこかおかしみのある情深いものでした。

>京鹿子二人道成寺
白拍子花子に菊之助と玉三郎。前回はただひたすらに美しかった二人道成寺でしたが,今回は凄みがありました。花道からの花子の出は菊之助,セリで花子の生き霊のごとく玉三郎が登場。左右対称連れ舞い,花子の精神の内外を表すがごとし。はじらい,やっかみ,徐々に動転していく花子の心。虚か実か,悋気と情の織りなす怪しの舞い。
通常,道成寺の所化は舞台の上に座って舞いを見て見ぬふりの背景と化すものですが,このたびの舞台では全員が集中して一挙手一投足も見逃すまいと,舞いを見守っておりました。芝翫や勘三郎の道成寺を思い出しつつ,勢いのある山づくしから鈴,蛇体と変化した花子が鐘の上で二段構えで見得を切る。恍惚の瞬間。
奮発してよい席をとった甲斐がありました。大満足の道成寺でした。

最新の画像もっと見る