新・桜部屋

主に伝統芸能観劇記。
その他鑑賞日記

歌舞伎座新開場柿葺落 七月花形歌舞伎 2013年7月7日(日)観劇

2013-08-01 22:47:10 | 歌舞伎鑑賞雑記
加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)
 先月までの大御所連の特盛り歌舞伎から,やっと昼夜二部制の興行に戻りました。そして俳優の平均年齢もぐっと下がって舞台が華やかです。派手で短い演目をこれでもか,のこけら落としから,歌舞伎座で長い話をじっくりと鑑賞できるひさびさの機会です。
菊之助が愛妾藤の方と二代目尾上,染五郎の殿様にあやしくしなだれかかる藤の方。実はお家の乗っ取りを画策する一味。ほとんどの俳優が二役を敵味方にふりわけて演じていたため,「これはどちらのお役?」と混乱する場面が幾度かありました。
お衣装も配役ごとに強烈な印象があるものではなかったことが,さらにわかりにくさを読んでいたようです。まだ初日から日が浅いこともあるのでしょう。

 松緑は江戸の若者,性根はやさしいのに騙されやすく,短気が災いして命を落とすような役がとても巧い。ふとしたはずみで非業の最期を遂げる,若さの虚しさ。又七宅の段では,妹とお主(しゅう)の恋話から妹の身売り話(代金をお主の薬代とする)へ展開して「誰も止めへんのや!?」(一緒に観ていた友人談)という流れの強引さが江戸歌舞伎の醍醐味。
愛之助の望月弾正は悪人ながら藤の方との情が深いところをうまく見せておりました。
染五郎の殿様は,どの殿様を演っても背筋が寒くなる恐ろしさ。見た目は本当に美しく,美女に骨抜きにされている感のバカ殿様が,気が変わった・真実を知った瞬間にあっさりと寵姫を斬殺します。あの温度の下げ方,醒め方にはとても芝居とは思えない怖さがあります。染五郎独特の持ち味であるように感じております。
土手の骨が寄り集まって松緑の二役目,岩藤の霊は傲慢さと愛嬌がありなかなか好感がもてました。
若い情熱あふれる歌舞伎座の舞台,ひさしぶりに若々しい芝居を歌舞伎座で観ることが出来て幸せでした。

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