Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

日本BEAのユーザー会組成

2005-02-11 | ◆ビジネス
ソフトウェア会社が顧客の囲い込みやニーズの吸収のためにユーザー会を組成することは良くある話である。ただ、今回の日本BEAのユーザー会組成は少し面白い。ユーザー会を経営・企画・開発の三階層で立ち上げるというのである。

『日本BEAが3月にもユーザー会立ち上げ、経営・企画・開発の3階層で』 NikkeiBP

営業活動において、判断に関わる当事者を全て押さえよというのは鉄則である。ただし、これは理論的な話で、現実にそれがうまくいくことは少ない。どうしても、ユーザー部門だけ、あるいはシステム部門だけ、あるいは上の繋がりで経営者だけ、などと偏った営業活動となり、結果的にビジネスが成り立たないケースも多い。

BEAは、アプリケーション・サーバーという領域が主であるから、開発者層への浸透度は強くてもそれ以外の層への浸透度はそれほど高くないだろう。日本BEAもそれによって案件が成立しない、という状況を打破したいと考えたようだ。これだと単に外資系の1ソフトウェア会社の悩みであるが、BEAが今後狙いを定めているのがSOA(サービス指向アーキテクチャー)の分野であることを考えると、今回のユーザー会組成は少し面白い。つまり、日本BEAのユーザー会の組成方法が、SOAという概念の売り込みにくさを表しているようにも解釈できるからだ。

よく指摘されることだが、SOAとは概念的には新しいものではない。むしろ、テクノロジーの進展によって、これまで概念でしかなかったものが現実のものとなろうとしている事象である。しかし、経営者を裏切ってきたIT業界が経営者をSOAという薔薇色の概念で再度説得するのは容易ではない。一方で、経営者のIT投資判断への関与が高まってきている。日本BEAのユーザー会組成はそんな状況に対応していると読めるのである。

三階層ものユーザー会を組成すると、運営もさぞかし大変かと思うが、その効果には期待したいところ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿