Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

ITが低下させるナレッジの価値

2005-01-29 | ◆ビジネス
更新せぬまま2週間。やや心に余裕が出来たので再開。

日経新聞のコラム「やさしい経済学」で、ナレッジマネージメントの権威である野中郁次郎の連載が始まった。その第二回(1/28)は『問われる「質」』と題されている。

記事では知識の定義について触れている。認識論において知識とは「正当化された真なる信念」なのだそうだ。客観的というイメージがつきまとう「知識」の定義において、「信念」という言葉に違和感を覚えた。しかし、「知識」が作り出されるものであるならば、それは個人の信念から出発し、正当化のプロセスを経ることによって「知識」に至る解釈すれば、納得できる。

議論の最後で野中氏は「ITの発達がもたらしたのは、ITで取り扱えるような形式知や情報の価値を著しく下げたという逆説である」という。ITによって形式知を容易かつ大量に獲得できるようになったがために、「高質な暗黙知に基づいて、自分にしかつくり出せない知識を創造すること」が逆に減ったのではないかという警鐘である。

「知識」の定義で「信念」という言葉に違和感を覚えるあたり、自分も形式知に押し流されつつあるのではないかと危惧する。RSSリーダーは、そのままでは形式知の箱である。そこから「信念」と呼ぶにに足るものを作れるか。ブログを書いていくプロセスがそれを担っているのではないかと、自分では考えたいが、ならばそれを怠った過去2週間、私は形式知の人であったのだ。