ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

フィット・アウト

2008年01月11日 00時01分01秒 | ビジネス
事務所移転に関する経験を少しまとめておく。本来であれば1年前に経験しているはずだったが、幸か不幸か、入居を希望するフリーゾーンには手ごろなオフィススペースがなく、1年までという前提でサービスオフィスを借りることになったことは述べた。

これからドバイに進出する企業の多くは、ジュベル・アリ・フリー・ゾーン(JAFZA)やドバイ空港フリー・ゾーン(DAFZA)、またはドバイ・インターナショナル・フリー・ゾーン(DIFC)などの新築ビルに入居するものと思う。新築ビルのオフィスは箱として渡されるので、オフィス内の間仕切りや内装などは入居者側で業者を使ってやることになる。当地ではこれをフィット・アウトと呼んでいる。なお、インターネットや電話の配線については、別の業者と契約する必要がある。

移転先のビルを決定し、1ケ月分のデポジットを払うとようやく賃貸借契約のドラフトをもらえる。それと同時に、イダマ(IDAMA)というビルの管理を請け負っている会社にオフィスの図面が入ったCDROMをもらいに行くように言われる。だが、ファイルを開こうとしても、特殊なソフトでなければ開けないらしく、結局相談に行ったゼネコンの知人に印刷してもらうしかなかった。

フリー・ゾーンからはフィット・アウトの業者15社ほどのリストをもらった。小さなオフィスではなかなか相手にしてもらえないと言う話を先輩駐在員から聞いていたので、これもゼネコンの知人のアドバイスで家具を売っている業者3社に絞って声をかけることにする。1社からは、自分達は大きなプロジェクトしか請け負わないので、下請けに声をかけると言われ、その下請けも含めて3社が現場の下見に来る。その内2社から見積をもらう。別の1社(ジェマコ)は、工事は最小限にして家具を売る方針であるらしく、会議室はハイ・パーティションを使うことを勧められた。私が会議室だけは外に音が漏れないようにしたいと言うと、それきり連絡をしてこなくなった。見積を比較した結果、アル・レヤミという業者に発注することにする。このアル・レヤミ、私の印象では日本企業のフィット・アウトの実績では過半数を超えているのではないかと思うくらい、よく使われている。オカムラの家具のUAEでの販売代理店をしていることも少し関係しているかもしれない。

フィット・アウトの業者を選定すると、工事を始める前にオフィスのレイアウトをイダマから承認してもらう必要がある。CDROMをもらう時にイダマから聞いたところによれば、最大3日かかるということだったが、実際に承認が下りるまでには2週間かかった。工事が一通り終わって、さあ入居しようとすると、またまたイダマの検査が必要だと言われる。すぐに検査しに来てくれれば良いが、なかなか来ない。こちらは、すでに工事をさせるためだけに2ケ月分の賃料を払っている。いよいよしびれを切らして、フリーゾーンに一応断った上、引越してしまうことにした。もともと荷物は大してない。MRVで3往復するだけで十分だった。

留意した点としては、イダマの承認を得やすいように、会議室以外にはなるべく造作に変更を加えないようにしたこと。それでも、スプリンクラーや出口の表示などの位置を変更するため、別の業者と契約をしなければならなかった。アル・レヤミには毎日のように進捗確認の電話を入れるようにしたが、犠牲祭、クリスマスや年末始の休みもあり、必ずしも容易ではなかった。

今年も日本企業のドバイ進出ラッシュは続きそうだ。私自身、多くの先輩駐在員から話を聞いたが、最近ドバイに進出した企業の駐在員の経験談が最も参考になった。最近では相談を受ける側に立つこともある。フリーゾーンごとにやり方に違いがあり、必ずしも役に立つとは限らないが、できる限り親切に答えるようにしている。

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