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僕の先輩、高橋コージ

2019-08-17 19:17:55 | 日常





僕には先輩がいない。
もちろんこれまでに大変お世話になった年上の方々はいてとても感謝しているのだけど、先輩はいない。
良かったと思うのは、言うことを聞かなければいけないような世間のような先輩などいたら、多分いま僕はここにいないから。
だけど僕はここにいて、そして僕には先輩がいる。
先輩は地元の名古屋に住んでいて、事あるごとに東京にやってきてBIG LOVEにもやって来て、そして僕はその先輩に冷たく当たりボロクソに言う。
なぜか先輩はいつもそれに感動している。



高橋コージ。
東京には大学の4年間、確か1988年から1992年の間にしかいなかった。
大学を卒業すると同時に実家の仕事を継ぐために地元の名古屋に帰った。
最後の日、彼は泣いて泣いて駅のホームまで僕らは見送りに駆り出され、そして山手線を一周し忘れ物を取りに僕らの元に高橋コージは帰ってきた。
翌日帰った。

だから彼の昔話はその4年間に凝縮される。
30年前の1459日一日一日を彼は濃密に話すが、僕らにはその後の1万日の東京生活があったことを彼は知らない。
「で、あの時ケイちゃんがさぁ〜」
と笑いながら話すが、僕らは笑うところがない。
なぜならそれよりももっと笑える話がその後の僕らの東京生活にはあったから。
そこに彼はいなかった。
高橋コージがいなかった東京にはもっと楽しい毎日があった。
先輩はそれを知らない。
今度来た時教えてあげよう。



僕は年齢が上だからといった理由で誰かを先輩などとは言わないし思わないし、職場、と言ってもレコード屋だけど、そのZESTでの一応先輩であるカジヒデキくんに限っては、親友でありながらアンチ、奴がもっとも警戒するレベル5の人間は仲真史だとマネージャーに伝えていやがったほどで、奴の人間の小ささとチ○ポの大きさがよくわかる。
彼には後輩をもっと大事にしてもらいたい。

なのになぜ高橋コージがなぜ僕の先輩と言うのかというと、高校が同じなのであった。
しかし在学中にはお互い面識はなく、東京で出会った際に彼とは同郷だと知りさらに高校まで一緒だったわかり、だからといって二人の距離が縮まったわけではなく、なぜならば僕は地元とわかりいきなり方言で喋り出すような地元愛と仲間愛と人間愛に包まれた人間なはずがないし、逆に僕はこいつを嫌いになるべきかと熟考したほどで、そしてその後も会うたびに色々気に入らないところがあるのは兄弟のようだけど、実際は他人として普通に気に入らないだけで、相変わらず昔話と昔のバンドの話しかしないし、若いお客さんにいっそのことおやじ狩りをしてもらいたいと思うほどだ。

しかし彼は僕が尊敬する数少ない人間である。

僕の人生で出会った人間の中では、イナズマKこと土屋ケイスケくん、ベイビーレコーズの梶本聰くん、そして高橋コージの3人だけ。
僕は彼らをオタクを超えたオタクとして尊敬しており、しかし彼らは自分たちのことをオタクだなんて一ミリも思っていない。
僕から言わせるとその辺の自称オタどもは全然オタクではなく、ただそれを普通に好きなだけに見える。
つまり、オタクからク(苦)を取り除いたものがオタである。
苦しみがないものからは何も生まれない。

ある時、梶本くんに電話した。
僕「もしもし梶本くん?思い出せないんだけどさ、80年代のシンセの女性の人でタ...」
梶本「ローリー・アンダーソン」
僕「タ、タ、短髪のタだけで正解するとは!」

ちなみにケイスケくんは彼が23歳の時に押入れの上の棚にしまっておいたヘビメタの帯付き日本盤1000枚を母親に知らぬ間に捨てられ1日だけ家出した。
それくらいしか思い出す特別な話はひとまずない。





先輩高橋コージから突然荷物が届いた。
彼はいつも自分の好きな映画をレーベル面自作のDVD-Rに焼いてよこす。
もちろん僕からは一切求めていない。
アウトサイダーやウィッカーマンのような全部、本当に全部、あんな暗さを持った映画ばかりをよこす。
今回もそんな類かと思って開くと、こう書いてあった。





この文章からすでに僕へのハンパのない気遣いと一方通行の愛が感じられ、そのまま一日開かずにおいたのだけど、先輩なので今日渋々開けてみた。





トムとジェリー...
開ける前の嫌な予感を軽く超えて来た。
なんだかホッチキス留めした書類が見えるのでしょうがないから読んでみる。





最初の封筒の言葉を今一度読み返してもらいたいのですが、これは彼がたった3人、僕と彼の名古屋の後輩、そして自分高橋コージのためだけに作ったもの。
よってこの文は僕と僕が知らない彼の名古屋の後輩、二人しか読まないはずのものである。
















読めますか?読めなかったら今度見せます。

あなたは悪い意味での本物を目の前にしてる。
何度も言うが、これは決してブログやSNSで公開することを目的にしたものではない。
たった二人と自分のためだけに書かれたもの。
暇なだけじゃ...と僕も充分に思いましたが、先日本人に確認したところなんとしっかりと働いていた。
そりゃそうです、彼はそのために30年前名古屋に帰ったのでした。
僕はすっかり30年間働いたことがない大人の人とずっと思っていたけど。


最後の「あとがき」だけは大きく見せよう。
何度も何度も言いますが、これは世界で二人と高橋コージ自分にだけに向けられたもの。





つまり先ほども言いましたが、世間の軽々しく己をオタなどと呼ぶ最近の人間たちは、せめてこれを超えてこい。
高橋コージは自分のことを一切オタクだと言ったことも思ったこともはない。
そしてトムとジェリーの第一人者になろうなどという気もサラサラない。
言ってみればこれは高橋コージの日常...




何故、私はこのような人間とばかり出会ったのか。
と思いに耽け、一生観る気のないトムとジェリーの高橋コージお手製DVD-R14枚組の始末に困る、2019年8月であった。

*先輩は「DVD-Rは違法といえば違法だからな...」と心配してましたが、これに文句を言う人間などいるのでしょうか。いるとすればそんな人間こそ違法!僕が先輩を守る。