今回は、「色絵 熨斗文 箸置形爪楊枝入れ」の紹介です。
これは、平成2年に(今から31年前に)、お隣の県の田舎に遊びに行った際、たまたま立ち寄ったお隣の県のその田舎にあった骨董屋から買ってきたものです。
31年も前の出来事ですし、小さな物ですから、それほど値段も高いものではなかったのにもかかわらず、どういうわけか、今でも、妙に、当時、これが売られていたお店の様子や、そのお店の中の置かれていた位置などまで鮮明に覚えているんです。
これを見たとき、最初、「これは、何なのだろう?」と思いました(~_~;)
「箸置かな?」と思いましたが、箸置ならば、箸が転がらないように両端が少し高く作られているはずなのに、それがなく、表面が平らになっていますから、そうではなさそうだな~と思いました。それに、1箇所に穴が穿けられ、しかも、その穴が綺麗に仕上げて穿けられていますし、その穴の大きさも、ちょうど、爪楊枝が1本入るような大きさになっていますから、これは、箸置形に作られた爪楊枝入れなのだろうと思ったわけです。
しかし、「江戸時代の爪楊枝といえば、木枯らし紋次郎に出てくるように、今の爪楊枝のように短くはなく、長いものなのだろうな~、そうであれば、この「箸置形楊枝入れ」は江戸時代に作られたものではなく、最近作られたものなのだろうか、、、?」などとの疑問も生じてきました。
でも、たいした値段でもなかったものですから、とりあえず買って、後で調べようと思ったわけです。
ところが、帰宅してから調べようと思っても、手持ちの図録等には、このようなものは載っていませんし、その後も、積極的に調べようともしなかったものですから、いまだに、このものが、どんな用途のために作られたものなのか、また、いつ頃作られたのか分かりません(><) ただ、作られた時代は、長年の経験から、最近ではなさそうには思えます、、、。
そこで、これを紹介するに当たり、やむを得ず、急きょ、とりあえず、ネットで「爪楊枝」の歴史を調べてみました。
それに依りますと、「爪楊枝」の歴史は古いようですが、江戸時代になると、片側が房状で反対側が尖った「房楊枝」というものが使われたということのようですね。そして、先端が尖った「爪楊枝」は江戸時代後期から庶民の間に広まったとのことのようです。
それで、ネットの情報だけから判断するのは根拠薄弱ではありますが、一応、ここでは、江戸時代後期に作られた箸置形の爪楊枝入れとして紹介したいと思います(~_~;) 間違っていましたらご容赦を(~_~;)
上面
熨斗文になっています。
側面
箸置ならば、箸が転がらないように両端が少し高く作られていると思われますが、
これにはそれがなく、表面が平らになっていますので、箸置ではないと思われます。
穴の開いた面
爪楊枝が1本、自由に出入り出来るように、穴は綺麗に仕上げられています。
穴の開いた面の反対面
裏面
生 産 地: 肥前・有田
製作年代: 江戸時代後期
サ イ ズ : 長さ;6.1cm 幅;1.4×2.2cm 高さ;1.3cm
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追記(令和3年3月6日)
これを紹介してから、故玩館館主の遅生さんより、これは、「茶席用に作られた『香立て』ではないでしょうか」とのコメントをいただきました。
このコメントに接し、目から鱗の思いでした!
現代の形に囚われ、これまで、この器を「爪楊枝入れ」とばかりに思っていたわけです。ただ、「爪楊枝入れ」とするには、現代のような形の「爪楊枝」が江戸時代から普及していなければ、時代が合わないわけです。というのは、この器の製作年代は、江戸時代に遡るからです。
それで、これまで、どうしても、この器の製作年代を特定する自信がもてなかったわけですが、今回、この器を紹介するにあたり、やむを得ず、強引に、現代のような形の「爪楊枝」は江戸時代後期には普及していたものとして、この器の製作年代も江戸後期として紹介したわけです(~_~;)
しかし、この器を、茶席用に作られた『香立て』とすれば、疑問は氷解するわけですね(^-^*) 『香立て』なら、江戸期には存在していましたから(^-^*)
ということで、この器の名称を、「爪楊枝入れ」から「香立て」に変更したいと思います。
遅生さん、ありがとうございました(^-^*)