今回は、「色絵 松竹梅文 小皿」の紹介です。
これは、平成3年に買ってきたものです。
表面
裏面
ところで、この小皿の図柄は、なかなか変わっていますよね。
「柴田コレクションⅢ」(平成5年(1993) 佐賀県立九州陶磁文化館発行)にもこの小皿と同じようなものが掲載されていて、その図142(62ページ)では、「折紙梅文」というように、「折紙」と「梅」を描いたというように表示していまが、私は、「松竹梅文」と表示した方が、よりふさわしいのではないかなと思っています。
確かに、「折紙」と「梅」を描いてあるのは見てのとおりで、まちがいはないのですが、夢がないですよね。詩情が足りません。味もそっけもないというところですね(笑)。もう少し詩情を加えて見るならば、「折紙」の緑のところを「松」と、赤のところを「竹」と見たてることもできますよね。そうすると、「松」と「竹」の抽象と「梅」の具象を組合わせた現代的な素晴らしいデザインになると思うんです。そういうふうに見ていきますと、ずっと夢が出てくるし、ロマンを感じると思うんです(^-^*)
また、同じ「柴田コレクション」でも、「柴田コレクション総目録」(平成15年(2003) 佐賀県立九州陶磁文化館編集発行)の図0489(69ページ)では、「短冊梅文」と表示しています。ここでは、梅文以外の文様を「短冊」と見たわけですね。
このように、佐賀県立九州陶磁文化館内部でも、この小皿の梅文以外の文様部分を「折紙」と見たり、「短冊」と見たりしているんですね。担当者の主観によって、呼ぶ名称も違っているんです。
そうであれば、私のように、より詩情を加え、ロマンを漂わせ、「松竹梅文」とすることも許されるものと思います(^-^*)
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代前期(1650~1660年代)
サ イ ズ : 口径;14.3cm 高さ;2.8cm 底径;8.1cm
<参考> 「柴田コレクション総目録」から転載
なお、この小皿につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中でも既に紹介しているところですので、その紹介文も、参考までに、次に再度掲載いたしますので、よろしかったらご覧ください。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー28 古九谷様式色絵松竹梅文小皿 (平成14年3月1日登載)
私は、最初見た時(注:平成3年)から「松竹梅」文と思っていた。しかし、その後、「柴コレⅢ」に同類があることを発見し、そこに、「折紙梅」文とあることを知る。いわれてみれば、確かに、梅以外の図は「折紙」であろう。
しかし、私は、自分の直感と感性を大事にしたいので、依然として「松竹梅」文でとおしたい。
ところで、古九谷様式には、いろんなものがあるようだ。胎土についても鉄分が多くて黒っぽいものとそうでなくて白っぽいもの、器体についても薄作りのものと厚手のもの、高台についても大きいものと小さいものという具合に。
こうした中にあって、この小皿は、胎土は白く、比較的に薄作りで、高台も大きい。
きっと、古九谷様式は、有田皿山のいろんな窯場で、いろんな技術集団によって焼かれたからなのであろう。
江戸時代前期 口径:14.3cm