Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

染錦 松に桜花文 飯茶碗

2021年03月12日 11時55分26秒 | 古伊万里

 今回は、「染錦 松に桜花文 飯茶碗」の紹介です。

 実に華やかです!

 高台内には「木の葉文」の銘が描かれています。「木の葉文」の銘は、柴田コレクションⅣ(佐賀県立九州陶磁文化館 1995(平成7)年発行)のP.272~273によりますと、1690~1730年代の作品に多くみられるとのことです。1690~1730年代というのは、元禄~享保にかけての時代ですね。

 この飯茶碗は、文様といい、作られた時代といい、正に、元禄の華やかさのまっただ中で作られたものであることを物語ります(^_^)

 典型的な元禄古伊万里と言えるものでしょう(^-^*)

 どうぞ、元禄の華やかさを存分に味わってください!

 

 

立面(正面と仮定)

 

 

正面から左に90度回転させた面

 

 

正面の反対面

 

 

正面から右に90度回転させた面

 

 

見込み面

 

 

裏面(1)

 

 

裏面(1)の反対面

 

生  産  地: 肥前・有田

製作年代: 江戸時代中期(1690~1730年代)

サ イ  ズ: 口径;10.8cm  高さ;6.3cm  底径;4.5cm

 

 

 なお、この飯茶碗につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中でも既に紹介しておりますので、次に、参考までに、その紹介文を再掲いたします。

 

 

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        <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー120 古伊万里様式染錦松に桜花文飯茶碗 (平成20年4月1日登載)

 

  

 実に華やかである。桜の今の季節にはぴったりだ!

 ただ、様式的に見ると、柿右衛門様式のように余白をたっぷりととった表現をしていない。文様を描き過ぎていてちょっと煩わしい。そうかといって、型物のようにきちっと隅々まで描いてはいないが、型物の意匠構成の一つである石畳文を一部に使用したりしている。ようするに、様式的には中途半端である。古伊万里様式といわれるゆえんであろう。

 このような物は、輸出向けにも国内向けにも作られたようであるが、これは国内向けに作られたものと思われる。
 文様がかなり和様化されて描かれているからである。松に桜をあしらったところなど、和風の典型ではなかろうか。
 また、器形も和風だからである。恐らく、これは、既に蓋が欠損しているが、蓋付きの飯茶碗として作られたのであろうと思う。

 高台内には「木の葉文」が描かれている。「柴田コレクションⅣ」(P.272~273)によると、「木の葉文」の銘は、1690~1730年代によく使用されたとのこと。この飯茶碗も、その頃に作られたのであろう。

 

江戸時代中期    口径:10.8cm  高さ:6.3cm  高台径:4.5cm

 

 

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*古伊万里バカ日誌58 古伊万里との対話(桜花文の飯茶碗)    (平成20年3月筆) 

登場人物
  主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
  サクラ (古伊万里様式染錦松に桜花文飯茶碗)

 

 

・・・・・プロローグ・・・・・

 今回の対話は4月1日である。4月といえば「桜」であろう。そこで、主人は、ガラクタの詰った押入れの中をガサゴソさせ、「桜」の描いてある古伊万里を引っ張り出してきて対話をはじめた。

 

 

主人: また春が巡ってきてくれた。「春爛漫!」というにはちと早いが、「桜」と対話がしたくなって出てもらった。

サクラ: そうですね。今年も、また、私の季節になりましたね。

主人: この時分は、なんといっても、「サクラ咲く!」の頃合いだからな。なんとなく浮き浮きしてくるものね。もっとも、私の今までの人生は、「サクラ咲く!」ことはほとんどなく、「サクラ散る!」ことばかり多かったが、それでも、なんとなく浮き浮きした気分になるな~。やはり、まだ、心の片隅に、「サクラ咲く!」を期待している部分があるからなのかな~。なんとなく、まだ、希望とか明るい未来を期待する気持ちがあるからなのだろう。希望とか明るい未来を信じられなくなったら、生きる望みもなくなるものね。

サクラ: そういう点では、私は、多少なりとも、皆さんに希望とか明るい未来を与えることができるのでしょうか?

主人: そうかもしれないね。
 ところで、今回、我が家に、「桜」を描いた古伊万里があったかな~と思って、あちこち捜して、やっとお前を見つけたんだ。案外、「桜」を描いた古伊万里というのは少ないんだよね。「桜」なのか「梅」なのか、あるいは別な花なのか、よくわからないのはけっこうあるんだけど、これぞまさしく「桜」というのは少ないね。

サクラ: そうですか。「桜」は日本を代表するお花ですから、沢山あってもいいですのにね~。

主人: 確かに、「桜花幔幕の図」なんていうのは、よく図録や美術館で眼にするから、市場にも沢山出回っているように錯覚するけど、現実には、少ないんだよね。「桜」は皆んなに好かれるから、「桜」を描いた古伊万里のほとんどは、既にコレクターの所に収まってしまっていて、市場には出回らないのだろうかね?

サクラ: それじゃ、比較的に珍しい、「桜」が描いてある私を見つけた時は嬉しかったんでしょうね。

主人: それがね~、お前には悪いんだが、全く記憶にないんだよ!
 「押入れ帳」によると、平成3年に購入しているんだけど、名称も「色絵草花文飯茶碗」と記入されているんだ。当時、私は、お前を「桜」文の古伊万里として購入したという意識がなかったんだろうね。桜花爛漫の下、幔幕の中に元禄美人でも描いてあったんなら、強烈な印象として残っていたんだろうけど・・・・・。

サクラ: それはそれは失礼いたしました。ガッカリさせてしまったんですね。

主人: そうはいっても、やはり、何かインパクトはあったんだろうよね。私の心を捉える何かが・・・・・。
 「きれいだな~。ホホー、我が家にはこんなものもあったのか~。」と今思うものね。じっと見ていると、遠く、源氏物語の世界にでもタイムスリップしていくような錯覚を覚えるよ。

サクラ: どのような方が使ったんでしょうか?

主人: そうね~、当時、こんな高級な食器は一般庶民はとても購入できなかったろうからね。豪商とか大名とかが使ったんだろうかね。
 ひとつ、桜花爛漫の下で、お前に赤飯でも盛って食事でもしてみようかな・・・・・。

サクラ: 是非ともそうしてください。そして、豪華な気分を味わってください。

主人: そうだな。ここのところ、「サクラ咲く!」なんていう気分を味わってないから、お前を使って、久しぶりに、「サクラ咲く!」の気分を味わってみることにしよう!