小千谷から(Ojiya kara)

新潟県中越大震災の、とある被災者からのメッセージ
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【雪害】公共性より緊急性

2006年01月12日 19時27分11秒 | 新潟県中越大震災・地震
スノーダンプで親指の皮がべろんと剥けた。
毎日毎日同じところに力を入れるので一向に治らない。
今年は寒い。
捨て場のない雪が凍ってカチカチになり道路へせりだし、いつも子供が歩いている通学路は人がひとりやっと通れるくらいの狭さになってしまった。
しかし高齢のおばあちゃんに「あなたの家の前の雪片付けてくださいよ」とはとても言えない。

雨が降り滲み雪はさらに重くなった。
重い雪は処理に困る。
重労働になる前に降ったらすぐに片付けたいので毎日雪をいじってないと気になってしかたがない。
家もあけられない。
健康な私でさえ毎日毎日ひとりで雪かきしてると疲労がたまってくるというのに。
高齢者や病気がちの人の気持ちは察するに余りある。

1月後半から2月にかけて最も積雪量が多いときのことが心配だ。
昨年の豪雪では地震後ということもあって「行政も業者も大変なんだから無理はいえない。」と市民は除雪に対する不満をのみこみ我慢してきた。
今年は昨年のように災害弱者に負担を強いることのないよう柔軟な姿勢で対応してもらいたい。

お隣の川口は昨日「災害救助法」が適用になった。
「災害救助法」が適用された市町村では「民家の雪下ろし」を自衛隊が行うかどうかで予想どおりモメている。

不公平感が出るのを覚悟で倒壊の危険性の高い要援護者世帯の除雪を要請した妙高市と長野県飯山市に私は敬意を表する。
「行政や業者に除雪を頼んでも手一杯と断られる。一週間や10日待たされるあいだに倒壊してしまうおそれがあるのでやむなく頼んだ」と住民の生命と緊急性を最優先に考えているからだ。

弱いお年寄りが苦しい思いをしているのを黙って見過ごしているのはもう嫌だ。

今年の「猛豪雪」のニュース映像に自衛隊が写るたびに私はこのおじいさんを思い出し、怒りに似た気持ちがこみあげて泣けてくる。

「(雪下ろしをこんなに待たされるなら)自衛隊を呼んでほしいよ・・」と「もう小千谷なんか嫌だ!!」と去年雪に向かって絶叫していたこのおじいさんが忘れられない。